超国家主義の論理と心理 他八篇 (岩波文庫)

著者 : 丸山眞男
制作 : 古矢 旬 
  • 岩波書店 (2015年2月18日発売)
4.70
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  • 7レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003810439

作品紹介

明治以降の日本のナショナリズムは、なぜ超国家主義へと突き進んだのか?敗戦の翌年、日本軍国主義の精神構造に真っ向から対峙し、丸山の名を高めた表題作。他に、冷戦下でのマルクス主義とマッカーシズムについてなど、著者の原点たる戦後約一〇年の論考を集成。

超国家主義の論理と心理 他八篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 不勉強ながら丸山眞男を読まずにきてしまいました。戦後10年ほどの論考、講演録を収めたこの本、非常に勉強になりました。「現代文明と政治の動向」は、あたかも今の時代を描いているようにも思われ(登場する諸国などを今の状況に置き換えてみると)、偉大な思想は古くならないことを実感。

  • 敗戦後あまり間をおかずに発表された論考の集成で、早いものは1946年に発表されている。よくこんなのをすぐ書けるなという驚きの一方、とにかくも頭の中をdumpして、そこに土台を築かないことには思想的に前に進んでいかれない、という切迫した思いも感じられる。

    今日にも通じるような「無責任の体系」論や、目的が欠如したところに生まれるニヒリズムへの警鐘もあれば、結果を知る現在からみれば過度のコミュニズムへの期待もあり、思想史的にも興味深い。「労働者」っていまはどこいっちゃったんだ。

    丸山が引く東京裁判の速記録によると、弁護人は1928年から1945年までの間に内閣が15代も変わったところに驚きをもって日本政府の非合理性・盲目性をみているが、今でもまったく変わっていない。海外のメディアはこの非合理性は理解できないだろうし、日本人でも合理的な説明はつけられまい。

    丸山は屈辱的な軍隊経験をよく語ったということだが、なんとなく在郷軍人会や地方の擬似インテリに対する嫌悪感を本文からも節々に感じた。

  • 今から見れば確かに首をかしげたくなることはある。しかしこの先見性には舌を巻く。まるで今のこと言ってんじゃないの?と疑いたくなるくらい。

  • 『現代政治の思想と行動』を中心に戦後約10年の論文を9編セレクトしたもの。
    論文自体は発表された当時から有名な論文が多く、『丸山眞男集』にも収録されているので特に目新しいものはない。
    しかし、この本には編集者の注がついており、丸山文庫の資料をふんだんに使うことにより、その思想の成立過程の一端をのぞくことができる。また、今からだとわからない時代背景であったりについても解説が入っているので、若い人には読みやすいと思う。
    丸山は確かにいろいろ評価がわかれるところではあるが、間違いなく色褪せない論文を書いている。
    そして、それは未だに克服されていない問題も多い。
    日本の民主主義を考える上で、避けては通れない人物であるのは間違いない。
    個人的には、このシリーズに古層論文と江戸期の論文のシリーズが出るのを期待している。

  • 311.3||Ma

  • 戦後間もない頃の政治学論文・講演録集。
    最初の方の、戦時中における日本独特の「ファシズム」体制についての分析が面白かった。
    漠然とした表象に忠義を尽くし、「みんなで」そこに一新に命を賭す。みんなで、空気のままにやっているわけだから、誰も責任者はいない。強いて言えば全員に責任があるとしか言えない。イタリアのファシズムとレジスタンスの歴史と比べると明らかに異様な戦時下の日本社会は、なるほど、「誰も責任をとろうとしない」ままに敗戦を通り抜けた。
    そして今、福島原発事故に関しても「誰も責任をとろうとしない」ままに、「空気のせい」と言わんばかりの逃避言動がまかり通っている。
    こうした無責任な言いぐさは公務員の得意とするところでもあり、いわば「官僚的」性質だ。個人は自らの行為を自己の選択に基づくものとはなかなか認めない。逆に言えば、自分に責任が帰着しないように、うまく間合いをとりながら行動している。
    これは「私的な領域」を決して社会と結びつけようとしなかった日本的特質が結果したものだろう。
    これのために、現在も無責任でいいかげんな政治が政府内で行われているのだから、困ったことである。やはり何かが、ざっくりと変わらなければ、この国に民主主義は実現しないのではないかという気がする。

  • ・出版社の詳細頁
    http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/38/0/3810430.html
    “日本ナショナリズムは,なぜ超国家主義(ウルトラ・ナショナリズム)へと突き進んだのか? 敗戦の翌年,日本軍国主義の精神構造に真っ向から対峙し,抑圧が下位に移されていく「抑圧委譲の原理」,それゆえの「無責任の体制」などを鋭く指摘し丸山の名を一躍高めた表題作.他に,冷戦下でのマルクス主義再検討など,著者の原点たる戦後10年の論考を集成”

    【目次】
    凡例 [003-005]
    目次 [007-008]

    I  日本のファシズム 
    超国家主義の論理と心理 011
    一  011
    二  013
    三  020
    四  027
    五  034
    『現代政治の思想と行動』追記  037

    日本ファシズムの思想と運動 041
    一 まえがき 041
    二 日本ファシズム運動の時代的区分 044
    三 そのイデオロギーにおける特質 
    四 その運動形態における特質 083
    五 その社会的担い手における特質 091
    六 日本ファシズムの歴史的発展 102
    『現代政治の思想と行動』追記・補注 128

    軍国支配者の精神形態 141
    一 問題の所在 141
    二 ナチ指導者との比較 149
    三 日本ファシズムの矮小性――その一 169
    四 日本ファシズムの矮小性――その二 184
    五 むすび 203
    『現代政治の思想と行動』追記・補注 205

    II 戦後世界の革命と反動 
    ファシズムの現代的状況 217
    一  217
    二  221
    三  226
    四  235

    E.ハーバート・ノーマンを悼む 245
    無名のものへの愛着 245
    後記  257

    「スターリン批判」における政治の論理 259
    一  259
    二  263
    三  271
    四  283
    五  291
    『現代政治の思想と行動』追記 306

    反動の概念――ひとつの思想史的接近 325
    はじめに 325
    一 歴史的範疇としての反動 328
    二 反動概念の古典的定式――バンジャマン・コンスタン―― 337
    三 進歩と反動の弁証法――マルクス・エンゲルス―― 349
    付記 370

    III 現代世界への基礎視角 
    ナショナリズム・軍国主義・ファシズム 373
    まえがき 373
    一 ナショナリズム 378
    二 軍国主義 395
    三 ファシズム 404
    『現代政治の思想と行動』追記 423

    現代文明と政治の動向 427
    一 テクノロジーの発達 430
    二 大衆の勃興 455
    三 アジアの覚醒 466
    四 現代政治の根本問題 479


    注 [491-529]
    解題 [531-542]
    解説(古矢旬) [543-580]

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