国語学原論 続篇 (岩波文庫 青 N 110-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003815038

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    P155 自然主義文学が、作者の身辺雑記の報告に堕して、社会性を失ったのは、贈物の菓子に、自分好みの菓子を選んで贈ったと同じようなものである。これを、甘いと受取るものは、極めて狭い範囲の人に限られてしまったのである。

    P247 特に、文言二途に別れていた明治以前においては...

    P260 例えば、国語では、口語と文語との間の乖離が甚だしい。古代においては、言文の差は、今日ほど甚だしくなかったのではないかという事実も明らかにされている。また、純粋に大和言葉の傍らに、支那起源の漢語が多く用いられて、しかも、それが、国語表現において支配的である。これも古代には見られない現象

    P263 仏教語彙と儒教語彙との併存

    P264 国語史は、国語を、その根源よりの分化発展として樹幹図式に捉えるべきものではなく、異分子の総集合として河川図式に捉えるべきものであること

    P266 訳読を通して、国語の表現に影響を及ぼす。

    P268 訳読の事実は、明治以後の欧文についてもあることで、それらが明治以後の文体改革特に言文一致運動と、その成果に関連して重要な事実である。

    P269 本来、同一系統の言語である場合には、その混合は、容易であり、やがてその言語の中に融解してしまう。

    P270 国語の文章表現を規定し制約したものは、何よりも、漢文の文章表現の型であったのである。

    P274 例えば明治以前においては、口語は俗語形式は俚言として低い価値においてしか認められていなかった。ところが、明治以後になると俗語は口語と呼びかえられ、更に、それは文語よりも重要な言語であると考えられるようになった。そのような価値意識の転換が、何によって生じたかということは、(略)考えられる理由の一つは、口語が、言語における最も自然な、また、真の言語であるとする、十九世紀以来の言語理論である。他の一つの理由は、近代の思想傾向の重要な要素をなす現代中心主義の考えに基づく。現代を中心として考えた場合、現代生活を支えるものは、現代の口語であって、古典の言語ではない。

    続篇カバー
    本論は「国語学原論」正篇の後を継いでその発展的な諸問題を扱う。<言語過程説>の立場から、言語を人間生活全体の中で据え、それとの交渉連関において考えようとした、新たな国語学の設計図とも言うべき書 1955刊

著者プロフィール

1900-67年。国語学者。東京帝国大学卒業。京城帝国大学教授を経て、東京帝国大学教授。ヨーロッパの言語学に依拠した明治以降の国語学に抗して独自の考察を深め、「時枝文法」と称される体系を築いた。本書(「口語篇」1950年、「文語篇」1954年)は、その集大成である。他の主要な著作に、『国語学史』(1940年)、『国語学原論』(1941年)、『国語学原論 続篇』(1955年)など。

「2020年 『日本文法 口語篇・文語篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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