余はいかにしてキリスト信徒となりしか (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003815120

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  • 原題:How I Became a Christian
    著者:内村鑑三(1861ー1930)

     教科書に出てくる程に有名な本。同じくタイトルのほうが有名な『代表的日本人』は、学位論文で少し利用させてもらいました。
     古典新訳文庫から出た『ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか』を既に読んでいたので、読み比べてみるためにこの本を買いました。
     どちらも読みやすく、訳文についても考えさせられました。なにより、前回に理解ができなかったり甘かった箇所を考え直すことができたといった、再読(?)の効用を享受できたのが大きいかも。
     近いうちに、(おそらく読みにくいであろう)1958年に刊行された旧訳(岩波文庫)にも取りかかることにします。

     ちなみに、ブクログで「内村鑑三」のページを見ると、「著書」が402件も出てきます。実際は十数程ですから、まことにおかしい。どうやら古典まとめ系、おてがる日本人論系の本(私の知る限り、いずれも中身は大同小異)に加え、電子書籍版が水増しの要因になっているようす。
     単に「ほかにどんな著書があるのか」を知りたいのであれば、ブクログ著書ページよりWikipedia(これも凝ってるんですが)の方が勝りそうです。内村先生の生涯や思想について知りたい場合、専門書や、それこそ本書の解説や本文が役に立つはずです。


    【書誌情報+内容紹介】
    内村鑑三 著 |鈴木範久 訳
    本体1,070円+税
    通し番号:青119-2
    刊行日:2017/02/16
    ISBN:9784003815120
    文庫 並製 カバー 416ページ
    在庫:あり

      幕末から明治へ,激動する時代を生きた内村が,自らの魂の変容を記した記録.札幌農学校に進学した青年は,上級生に強制されてキリスト信徒となり,新しい自分と世界を知る.二十四歳で単身渡米,養護院で働き大学に通うなかで,徐々に天命を悟る.傑出した宗教家は,キリスト教の「聖地」アメリカと明治日本で,何を見,経験したのか.【新訳】
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b280257.html


    【簡易目次】
    まえがき
    序文

    第一章 異教
    第二章 キリスト教に入信
    第三章 初期の教会
    第四章 新教会と信徒の説教
    第五章 世の中へ──感情的キリスト教
    第六章 キリスト教国の第一印象
    第七章 キリスト教国にて──慈善事業家のあいだで
    第八章 キリスト教国にて──ニューイングランドの大学生活
    第九章 キリスト教国にて──神学に触れる
    第十章 キリスト教国の実感──帰国

    訳注
    内村鑑三略年譜
    若き内村鑑三と心の世界(鈴木範久)
    索引

  • いかにして、ちということで、なぜキリスト教徒になったかを書いているものではない。著者は日記をつける習慣があり、本書は、その日記をもとに、そのとき考えていたことを振り返りながら、著者がいかにしてキリスト教徒になっていったかを現実の生活とともに書いてある。
    内村は武士階級で育ってきたため、当初は神道や朱子学に重点をおいて育ったが、それがキリスト教に帰依した成り行きと、信徒になってからの行動、思想などに触れられる。

  • 札幌農学校で「少年よ、大志を抱け」の人が作った契約書にほぼ無理やりサインさせられて入信。その後どっぷりハマって家族全員を改宗させ、本場に行かねばとアメリカに渡って現実を見て激憤、自分だけはストイックに信仰を追求していく、という波乱のドラマ。
    まったく異質のもの(異教・異国)に浸かることで初めて自分(たち)とは何かを考える「自分探し」の記録。
    本書には出てこない「不敬事件」とあわせ、本当に人生をかけて自分とカミとイエスとの関係性を真剣に追い求めた人なんだろうなあ、と。真っ直ぐすぎて理解者少ないだろうけど。

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著者プロフィール

1861年生まれ、1930年没。思想家。父は高崎藩士。札幌農学校卒業後、農商務省等を経て米国へ留学。帰国後の明治23年(1890)第一高等中学校嘱託教員となる。24年教育勅語奉戴式で拝礼を拒んだ行為が不敬事件として非難され退職。以後著述を中心に活動した。33年『聖書之研究』を創刊し、聖書研究を柱に既存の教派によらない無教会主義を唱える。日露戦争時には非戦論を主張した。主な著作は『代表的日本人』、『余は如何にして基督信徒となりし乎』など。
佐藤優
作家、元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。現在は、執筆活動に取り組む。著書に『国家の罠』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。おもな著書に『国家論』(NHKブックス)、『私のマルクス』(文藝春秋)、『世界史の極意』『大国の掟』『国語ゼミ』(NHK出版新書)など。『十五の夏』(幻冬舎)で梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞。ほかにも著書多数。

「2021年 『人生、何を成したかよりどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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