禅と日本文化 (岩波新書)

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感想 : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004000204

作品紹介・あらすじ

禅は日本人の性格と文化にどのような影響をおよぼしているか。そもそも禅とは何か。本書は、著者が欧米人のためにおこなった講演をもとにして英文で著わされたものである。一九四〇年翻訳刊行いらい今日まで、禅そのものへの比類なき入門書として、また日本の伝統文化理解への絶好の案内書として読みつがれている古典的名著。

感想・レビュー・書評

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  • 禅を世界に広げた第一人者である鈴木大拙が欧米社会向けに禅と日本文化の精神について記した本。
    元々は英文であったが、翻訳されている。
    日本人の精神的背景にある禅の考えを日本文化という型を通して教えているという感じ。

    日本人である私が読むと改めて私たちの意識・無意識に関わらず如何に禅が深く根付いているかが良くわかる。

    題目は以下。
    1.禅の予備知識
    2.禅と美術
    3.禅と武士
    4.禅と剣道
    5.禅と儒教
    6.禅と茶道
    7.禅と俳句

    いいなと思った言葉
    ・般若を得れば我々は生と世界との根本的の意義を洞徹し、単なる個人的な利益や苦痛に思いわざずらわなくなる。大悲がその時に作用する。

    ・侘びの真意は「貧困」つまり、時流の社会のうちに、またそれと共におらぬということである。富・力・名に頼っていないが、普遍的な最高の価値を持つものの存在を感じること。

    ・美術品が表面的にもでも史的時代感を示せば、そこにさびが存在する。

    ・禅は武士を2面から支持した。その道徳的側面では、禅は一たびその進路を決定した以上は、振り返らぬ事を教える事。その哲学的側面は、生と死を無差別に扱うからである。

    ・天台は宮家、真言は公卿、禅は武士、浄土は平民

    ・鎌倉時代、天才は僧侶か武士になった

    ・刀には2重の務めがある。1つに持ち主の意志に反するいかなるものをも、破壊する事であり、もう一つは自己保存の本能から起こる一切の衝動を犠牲にすることである。

    ・刀剣の製作には、神徳の幾分かが加わるから、日本刀を帯するものは、精神的な人間たるべくして、獣性の代表者たるべきではない。

    ・一帯の水あれば、そこに月が映る。月はただひとつだが、水あるところどこにもその影を映す。これが理解されるとき、その技は完全になる。

    ・茶の精神は「和・敬・清・寂」である。

    ・禅に必要なのは心の誠実であり、そのたんなる概念化や物理的模倣ではない。

    ・無常を思い煩って何の益があろう。

    ・旅行が容易で快適に過ぎれば、その精神的意味は失われる。

    ・人生は畢竟、一つの未知から他の未知への旅であるからだ。我々に割り当てられた60年、70年、80年という期間は、できれば神秘のとばりを開くためのものである。

    この本が記されたのは1938年。
    反日感情渦巻く欧米社会においてどのように受け入れられていたのか気になる。

  • 禅とは、日本人とは何か。日本人なのに答えられない自分を問題視して、手に取った本。
    本著では、禅を茶道、俳句や武士といった様々な関係性で論じ、その中で日本文化と核心とは何かに迫る。特にp155,156の日本人の心の捉え方は必見。著者によれば、日本人の心の強味は、最深の真理を直覚的につかみ、表象を借りてこれをまざまざと現実的に表現することにある。
    今の教育システムは、こうした日本人の心の強味を活かせるものになっているか?欧米の影響を過度に受け、強味を失いかけていないか、考えさせられた。

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  • マックさんおすすめ

  • 言葉が指してるものから言葉を引っ剥がした実体をそのままに体験的に理解すること、理解したものが文化の基盤にある
    みたいな感じなのかな

  • 日本人の心の深層に「禅」があるのではないか?禅を理解することにより、今日のさまざまな社会問題の解決の一助になるのではないか?そう思い、本書を読んでみたものの、やや難解であった。禅の入門書としては難しい。

    要点のメモを取ったのだけど、失ってしまったので、あとであらためて書く。

    <目次>

    原著者序
    第一章 禅の予備知識
    第二章 禅と美術
    第三章 禅と武士
    第四章 禅と剣道
    第五章 禅と儒教
    第六章 禅と茶道
    第七章 禅と俳句

  • 殊のほか晦渋で読了に骨に折れる作品。恐らくは、英文の翻訳であること、古文漢文の引用が多いこと、この二つのためなのであろう。とまれ、趣旨はただ一点、日本の芸術も武術も、禅的な直観、すなわち悟りによって「無意識」に見出だされた真理(神秘)を具現したものである、ということ。日本の風土に生まれぬ外国人はこの精神に入れないと書いているわけだから、「何のための本書?」という気もするけれど、不立文字の道を敢えて言葉にしているのだからしょうがないのか。個人的には上杉謙信への言及が多いのは嬉しい。

  • 以下引用

    見わたせば
    花も紅葉もなかりけり
    浦のとまやの
    秋の夕暮


    花をのみ待つらむ人に
    山里の雪まの
    草の葉を
    見せばや


    ほととぎす
    鳴きつる方を眺むれば
    ただ有明の月ぞ残れる


    ★日本人の心の長所は、事物を哲学的に推理すること、すんわち偉大な思想体系を建設するために思想を配列することに存じない。

    日本人の心の強みは、最深の真理を直覚的につかみ、表象を借りてこれを表現すること

    俳句ー直観そのもの

    西行、新古今
    風になびく
    藤の煙の
    空に消えて
    行方も知らぬ
    我が思ひかな

    旅人と
    わが名呼ばれん
    初しぐれ


    形式の単純性はかならずしも内容の瑣末姓を意味せぬ

    禅の方法に影響された芸術家は、最少の言葉や筆触を用いるかたむきがある

    文字の数は詩人の資質となんら関わりがない

  • 先日読んだ『茶の本』に続き、私にとっては難解な本で、単語も調べつつ読んでいきました。

    著者が外国人のために、禅が日本文化に与えた影響について書いた書籍を和訳したもの。

    読んでも禅について明確に分かった!という気にはなれなくて、

    禅と日本文化(美術、武士、剣道、茶道、俳句)とに共通する思想がぼんやりと分かったような。

    あまり著者について詳しくないのですが、「集合的無意識」と何度か出てくるところは、ユング心理学の影響を受けているのでしょうか。

    説明苦手なので、恒例の一部抜粋。

    <印象に残った個所>

    ・禅は初唐即ち八世紀に中国に発達した仏教の一形態である。

    ・禅のモットーは「言葉に頼るな」(不立文字)

    ・道徳的というのは、禅は、一たびその進路を決定した以上は、振り返らぬことを教える宗教だからで、哲学的というのは生と死とを無差別的に取扱うからである。

    ・禅には、一揃いの概念や知的公式を持つ特別な理論や哲学があるわけではない。ただそれは人を生死の覉絆から解こうとするのである。

    ・剣道の極意は死を恐れざることで御座る。

    ・「業」もじつは「心」から発する。ゆえに最も肝要なことは、「心」そのものを洞徹することである。

    ・禅宗と同様に、芸術のすべての部門において、この危機の通過ということは、あらゆる創造的作品の根源に到達するためにきわめて肝要だと考えられている。

    ・剣道においてその技術以外に最も大事なことは、その技を自由に駆使する精神的要素である。それは「無念」または「無想」という心境である。

    ・まことに和や柔軟心はこの世の生活の基礎である。

    ・茶の湯が原始的単純性の美的鑑賞であること、換言すれば、茶は人間の生存が許しうるところまで自然に還って、自然と一つになりたいという、われわれの心奥に感じる憧憬の美的表現であることを示している。

    ・一芸の熟達に必要なあらゆる実際的な技術や方法論的詳細の底には、自分のいわゆる「宇宙的無意識」に直接到達するある直覚が存し、各種芸術に属するこれらの諸直覚はすべてみな、個々無関連な、相互に無関係なものとみなすべきものではなく、一つの根本的な直覚から生ずるものと、見なすべきものだ

    ・最大の芸術品は、それが絵であれ、音楽であれ、彫刻であれ、詩であれ、間違いなくかかる性質を、すなわち、なにか神の仕事に近いものを持つものである。

    ・禅が日本人に教えた多くの事柄のなかで、芸術と生活に関連して注目すべき一事は、すでに示唆したように、悟りの体験を強調していることだが、これによって「宇宙的無意識」が具現化して現れるのである。

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著者プロフィール

1870年、石川県金沢市に生まれる。本名、貞太郎。1891年に上京後、鎌倉円覚寺の今北洪川、釈宗演に参禅。1996年の蝋八接心で見性。1997年より米国でオープンコート社編集員となり、1909年に帰国。学習院教授、東京帝国大学講師を歴任。1921年大谷大学教授となり、The Eastern Buddhist Societyを設立。禅や浄土系思想を発信する拠点とする。その後、米英の諸大学で禅と日本文化についての講義を続ける。1949年、学士院会員となり、文化勲章を受賞。1966年、没。

「2021年 『真宗とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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