近代の政治思想―その現実的・理論的諸前提 (岩波新書 青版 A-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004100027

感想・レビュー・書評

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  • 1960年代の講演であることに時代を感じる。政治思想の由来を紐解きながら、最後に当時の問題意識に焦点を当てる。
    「人間のつくりだしたものが非人間化して、人間に対立し、人間を非人間化するのが、まさに現代の特色」
    この問題提起と回答を探るとすれば、おそらく当時の言論界としてはマルクス主義的なものを土台とすることが一般的だったことだろう。歴史の法則に光をあて、革命を含めたパラダイムの変革を呼び起こす…と。
    もしそうだとすれば本書はその対案を示しているのかもしれない。いかに近代的な事物であってもそこに関わる生身の人間いるわけで、人間ひとりひとりを信頼し、憐憫や同情を持って思想的に訴える。エンタープライズが日本に出入りし、冷戦下で核戦争が現実味を帯びる時代、それでもまだ、いやだからこそ人の可能性を信じている。
    現在本書の議論に窮屈さを感じるのは、問題提起も回答も近代思想の枠組みの中でこねくり回しているようにみえるからだ。科学的理性とは異なる理性的な何かを想定し、近代の枠組みに捉われない思想を展開しようとしているのかもしれないが、人間を信頼する根拠を人間の作り上げた文化に由来する何かに依拠するのであれば、やはりそれは近代の枠組みの中の話であって、結果的に説得力に欠ける大きな原因なんだと思う。

  • 全く理解できず、途中で諦めた。
    そもそも文章の組立てが難解なので、近代思想について知識のみならず理解があり、いくらかでも自ら語れる程度のレベルにないと、言っていることが理解できない。
    某政治学入門書に参考文献として書かれていたので読んだのだが、初学者に毛の生えた程度では太刀打ちできない。
    知識を得た後に読み直したら、その価値がわかるだろうことを期待したい。

  • 2019/04/14

  • 権力の制限と人民主権を理解することが政治の理解だ。それが21世紀に入って少しずつ変わっていっているのか。人々は人民主権があまりにも当たり前になり、政治参加を面倒と感じているように見える。
    講演を書き起こしたものなので読みやすいが、読みやすいからとどんどん読んでいくと、内容が全然頭に入ってこなくなってしまう(反省)。再読したい。

  • 本書はヨーロッパの政治思想を中世まで遡って考察したものである。
    まず、ルネサンス期においてマキアヴェリが成し遂げたことは「人間が本来社会秩序のなかに生まれて、そして、この社会秩序を、自然の本性から尊重していくものだという考え方を、徹底的に打ちやぶった」とする。体制的には、近代国家の土台を絶対主義の時代に求め、その後、ホッブズ、ロック、ルソーを引きながら、近代の政治思想とは何かを論じていく。
    平易に書かれているのであろうが、このような分野には疎いため、よく理解できないところも多かった。

  • 著者の深い理解を感じつつ、講義体で書かれているのでさらっと読める。

    あまりにさらっと読めて、理解できるが、身につかない感があり、もう一度読みたい本。

  • 政治思想に限らず、「近代」というもののエッセンスが新書一冊に収まっているという驚異の本です。

  • 講演録。思想が成立する社会的な条件と思想的な条件を整理。
    後半は、冷戦下の文明に対する危機感が色濃く反映されている。
    絶対主義時代の遺産である主権という概念を、批判的に吟味する必要性を訴えている。
    国民主権とは、まったくなぞの言葉である。
    それに、人々が政治を考えなくなってる。
    批評の力が衰微した社会に未来は期待できない。「パンとサーカス」に安住してはいないか、常に意識する必要がある。

  • 【4. 宇宙像の解体と政治の世界】p67
    カント「私の上にある星を散りばめた天と、私の内にある道徳律」

  • 東京大学法学部にて、長年に渡り政治学史の講義を務めた西洋政治思想の泰斗、福田歓一先生の一般向け講義録です。1968年に東京・神保町岩波ホールで行われた市民講座が元になっています。

    福田先生はその名もズバリ『政治学史』(東京大学出版会:1985)という、名高い「教科書」を作られています。これはわたしのバイブルでもあります。しかしこれは内容・価格・装丁いずれもかなりの重厚感があり、学生さん以外にはおすすめしにくい。一方、本書はタイトルこそカタい感じですが、口語調のまったりとした講義録になっており、お手頃価格で読みやすい一冊になっています。

    第1章、第2章までは中世以後のヨーロッパの歴史、ならびにキリスト教が社会統治において果たしてきた役割が俯瞰されます。第3章では近代政治思想の三羽烏、ホッブズ、ロック、ルソーの思想がまとめられます。「結び」では、『政治学史』からは見えにくい、福田先生ご自身の考えや価値観を垣間見ることができ、特に興味深いところです。

    空母エンタープライズの佐世保入港が「身近な例」に取り上げられる(P.188)時代の本ですから、いささか言葉づかいが古臭いことは否めません。しかし、現在の日本も依然「主権国家」であり、そこは1968年当時と変わっていません。そしてその「主権国家」が生まれた背景やメカニズムを知ることは無意味ではない、と思われます。

    福田先生は、東大法学部で学んだ人たち、つまり良くも悪くもいまの日本をかたちづくってきた人たちが、若かりし頃に教わった先生です。その意味で、本書は日本における、ヨーロッパ的政治思想のスタンダードな受け取られ方、を伝える本ともいえるかと思います。

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著者プロフィール

1923年神戸に生れる。1947年東京大学法学部政治学科卒業。東京大学名誉教授。日本学士院会員。2007年歿。著書『近代政治原理成立史序説』(岩波書店、1971)『政治学史』(東京大学出版会、1985)『ルソー』(講談社・人類の知的遺産40、1986)ほか。なお『福田歓一着作集』全10巻(岩波書店、1998)が公刊されている。訳書 バーリン『自由論』(共訳、みすず書房、1971)ほか。

「2018年 『自由論 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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