- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004120797
作品紹介・あらすじ
人生の途上で行き会うのは喜びよりもむしろ辛く苦しい事どもであるに違いない。そんなとき誰もが意識するのは、さまざまな形で現われる人間の限界という問題であろう。生をがんじがらめにするこの人間の限界に、われわれはいかなる意味を見出すべきか。この重い問いに著者は実存分析(人間学的精神病理学)の立場から迫ろうとする。
感想・レビュー・書評
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精神分析、とくにフランクルの実存分析に深い関心と理解をもつ著者が、身近な現象を手がかりに、世界のなかで生きる人間のありかたについての考察を展開しています。
「味わう」「遊ぶ」「賭ける」といった存在のしかたや、他者とのまなざしの交錯、手や足の人間学的機能、そして旅や祈り、蒼穹、死といったテーマをとりあげて、著者の自由な思索が語り出されていきます。
和歌や俳句、東西の詩人の言葉などをふんだんに引用しながら考察が進められていくのですが、文学的表現が多様されており、けっきょく人間の存在のしかたについてどのように考えているのか、明瞭にされていないようにも思えました。
もっともこれは著者のせいではなく、フランクルの実存分析から引き継いでしまった問題なのかもしれません。おなじ「実存分析」を名乗ってはいても、ハイデガー哲学に依拠するビンスワンガーとメダルト・ボスや、ベルクソン哲学に依拠するミンコフスキーと比較すると、フランクルの立場は「人生哲学」的な雰囲気が濃厚で、理論的な側面に弱いところがあるように思えますが、本書の議論にも同様の印象を受けます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Twitterで見かけてタイトルに惹かれて読みました。「人間の限界」と題されていますが、読んでみると「人とは何か」「どう生きるべきか」といった内容で、とても心に響きました。「生きる楽しみはあるのか」という問いを皮切りに人の「眼差し」の意味、手や足に象徴されるものについて、更には「自由」へと誘うめまい、有限でありながら無限をも包含する地平のかなたと頭上に広がる蒼穹……数多の和歌、俳句、漢字、文学作品を引用しながら、人が生きることの本質に迫っていく。どの章も目から鱗が落ちることばかりではっとさせられます。とても素晴らしい著書でした。
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霜山徳爾先生の著作.臨床心理学者としての深い知見と,古今東西にわたる文学への広範な造詣に基づいた,人間と人生に対する真摯な洞察.多くの人に読んでほしい,人生の一冊.
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[ 内容 ]
人生の途上で行き会うのは喜びよりもむしろ辛く苦しい事どもであるに違いない。
そんなとき誰もが意識するのは、さまざまな形で現われる人間の限界という問題であろう。
生をがんじがらめにするこの人間の限界に、われわれはいかなる意味を見出すべきか。
この重い問いに著者は実存分析(人間学的精神病理学)の立場から迫ろうとする。
[ 目次 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
いずまいを正しじっくりと読みたい本。著者がフランクルの「夜と霧」を訳された方と知り合点がいきました。人間性というものの深い考察。随所にちりばめられた古今東西の詩歌が美しい。
著者プロフィール
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