日本語をさかのぼる (岩波新書)

  • 岩波書店 (1974年11月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784004120926

みんなの感想まとめ

日本語の語源や古代日本人の考え方を探求する内容は、言語の深い理解を促します。現代の日本語がヨーロッパ語を取り入れる中で、在来の語彙が失われつつあることへの警鐘も鳴らされており、言語の変遷に対する考察が...

感想・レビュー・書評

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  • 今、日本語はヨーロッパ語をしきりに取り入れているが、それは在来語彙の放棄である。既に中国語で新しい概念を輸入した時に同じことをしたように、私たちは、またもや、日本語の語性に合致した造語を作る事を放棄している。(2005.3.31)

  • 大野晋著『日本語をさかのぼる (岩波新書)』(岩波書店)
    1974.11発行

    2020.6.27読了
     本書の窮極的目標は、文字が生まれる以前の日本語の姿を明らかにすることである。つまり、漢字以前のヤマトコトバを炙り出すことにある。もちろんヤマトコトバは、現在も訓によって漢字の中に引き継がれている。しかしながら、漢字は本来外来語であったことは否めず、ヤマトコトバの意味を鮮明に受け取るためには、まず漢字から離れなければならない。漢字を離れて語の意味を知るためには、その語が使われている用例を集めて、時系列を意識しつつも、個々の語がどのような文脈で使われているのかを知らなければならない。そして、複合語や活用、発音の変化に目を配り、もともとの語の形、「語根」に分解していかなければならない。これは単なる言語学の分野に留まるものではなく、古代の基礎語を通して我々日本人の祖先がどのような信仰、時間感覚、世界観を抱いていたのかを知れるものである。つまり、民俗学の一つのアプローチの仕方でもあるのだ。
     例えば「ヒダリ(左)」は「日(ヒ)-出(イダ)-方(リ)」の意であり、上代では喜ばしい尊いものと考えられていたのではないかと説いている。してみると、「左前」が死者の死に装束として不吉なものとされたのは、上代以後ではなかろうかという推測も立ってくる。
     このように語根の組み合わせで語彙を増やしていった日本人は、一体いくつの語彙を持っていたのだろうか。統計の取り方にもよるが、奈良時代から鎌倉時代まで文学14作品で見てみると、異なり語数の数量は2万3880語とのことである(p120)。著者の言によると、高校生はおよそ3万の語彙を持っているというから、ヤマトコトバは高校生以下の語彙しか持っていなかったことになる。さらに細かく調査していくと、結局のところ、語彙は、基本的な少数の語が極めて多く用いられ、あとは、使用回数の極めて少ない語が多数あって、それがその基本的な語の中に散りばめられて文表現が成立しており、それは現代文学でも変わらないということであった。このことは小説を書く上でも参考になるのではないだろうか。

    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001264811

  • ■目次
    はじめに
    第1部 日本語をさかのぼる
    ・第1章 語と事物
    ・第2章 語の意味
    ・第3章 語の意味は展開し変化する
    ・第4章 語は新しく作り出される
    ・第5章 語の形は変化する
    ・第6章 語彙の構造
    ・第7章 語根
    第2部 古代日本人の世界像
    ・第1章 空間
    ・第2章 時間
    ・第3章 信仰
    おわりに——アジアと古代日本——
    補註

  •  
    ── 大野 晋《日本語をさかのぼる 19741125 岩波新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004120926
     
    (20230730)

  • 絶版なのか東京の書店になく、honto系の書店の在庫検索で北海道と静岡に一冊ずつあるの発見、即買い。
    最近の無駄に大学出ただけのしょうもない学者擬きが書いた本なんか書架から撤去してしまって、もっとこういう本を沢山置いて欲しい。古いからもう増刷しないとか意味が分からない。

  • 英単語がその起源である印欧語まで遡れると知った時、かなり英語への興味が増しました。語源を知るのはなかなかの楽しみです。

    片や日本語は語源が不明です。本書は、著者の説をもとにその語源や古代日本人の考え方を解説しています。著者の説は正しいと証明できていないながらも、スリリングな興味を覚えながら読み進めることができます

  • 多くの岩波新書は啓蒙書が多いのですが、
    この書が啓蒙書とはとても思えません。
    この充実度、細かい著述、あきれるほどのすごさ、鋭さに満たされています。
    例えば、童謡に♪「雪や こんこん あられや こんこん…」
    の「こんこん」は雪の降る状態を表す形容語ではなくて、
    「来い来い」という意味だそうです。

    これらを結実させた物が、「古典基礎語辞典」(角川書店)だと思います。
    やはり、大野晋氏は偉大な人であった。

  • 日本および日本語を知るための必読書

  • 語源にかんする独創的な説明を盛り込んだユニークな辞典として知られる『岩波古語辞典』の編者を務めた著者が、日本語の語彙にまつわるさまざまな研究成果を紹介しつつ、それらを通して見えてくる古代日本人の世界像について論じた本です。

    本書は二部構成となっており、第一部では日本語の語彙にかんするさまざまな話題が紹介されています。また第二部では、古代の日本語による世界認識の枠組みについての著者の考えが提出されています。空間と時間の認識構造や、古代日本の信仰のありかたについて、ことばという観点から切り込んでいて、興味深く読みました。

    とくに信仰にかんして「タマ」と「モノ」を対置するという枠組みは、日本思想史の研究者である佐藤正英の「たま神」と「もの神」を区別するという議論につながっており、日本文化の根幹にある思想にアプローチするための有効な視点を示しているように思います。

  • な大野晋先生の本を読むといつも感じることなのだが、とにかく日本語に対しての情熱や真面目さが伝わってくる。
    現代で使われている日本語の本当の意味、上代屋、中古、またそれ以前にどういう言葉で、どんな意味であったか。そのようなことまで必要になる場合があるのだ。
    これだけ日本語に対して情熱を持ち大切にしてくれた人が書いた本だ。大切にしたい。
    大野晋先生に関しては、屡々日本語源のタミル語説に対して批判されることがあるが、そのようなことは問題ではない。
    日本語を大切に思い情熱を持って学問に取り組み、分かりやすい国語辞典を、つくってくれた、古語辞典をつくってくれた、専門家向けではない著書を残してくれた。私にとってはそこがじゅうようなのである。

  • 「もの」とは何か。「こと」とはどう違うのか。
    「物部」の「もの」を考えるための土台。

  • おきな(おとこ)とおみな(おんな)で、
    「き」がおとこで、「み」がおんなを意味したという。
    きとみの次が、「お」と「め」だとのこと。
    おんどり(雄鶏)とめんどり(雌鳥)の例を示している。

    日本の古典を読む際に参考になる情報が満載である。

    最後のP212に、「従来の比較言語学的的報告の少なからぬ部分は、日本語への浅い把握にもとづく誤りに陥っている」という記述がある。

    常に自戒の念を持って接する必要があると思う。

    アイヌ語が、「カムイ」を日本語から取り入れたという説明が193ページにある。

    少し疑問に思うのは、アイヌ語から日本語に入った用語についての情報が少ない点である。アイヌ語が、日本語の語源の一つであるかという仮説に対する論証が少ない点である。

  • 最初の出だしだけ読む。
    何となくありそうな予感。
    理解できるかが問題。
    手元におこうか。

  • (2009.10.13読了)
    大野晋さんは、日本語の研究を通して「日本人とは何か?」を追求し続けた方です。
    この本も、「古代日本とは文献以前の日本である。その日本人は自分たちの世界をどう見ていたのだろう。何を信じ、何を恐れ、何を仕合せと思っていたのだろう。つまり、日本文化の基盤はどんな様子であったのか。そのことをできるだけ明らかにしてみたいと思う。」(1頁)という目的で書かれています。
    漢字が入ってくる以前の大和言葉は、どのようなものであったのか。「万葉集」「平安文学」などを手掛かりに明らかにしようとしています。多くの先人たちの研究成果とご自分の研究成果を述べています。

    ●イクサ(36頁)
    イクサはイクとサとに分けて考えることができる。イクとは、生命力の盛んなことをたたえる接頭語であった。イクサのサは矢の意である。それゆえ、イクサとは、鋭い矢という意味が本来のものであった。それが、鋭い矢を射ることを意味するように転用された。
    ●奈良時代は母音が8つ(103頁)
    橋本進吉博士が、万葉仮名の調査を行い、一類をなすものと思われてきた万葉仮名のあるものは、その内部で二群に分かれるという事実を確認し、これを発音の問題として把握した。それによって、奈良時代には母音の数が平安時代以降のような五個ではなく、八個区別されていたことが明らかになった。
    たとえば、神(かみ)のミと上(かみ)のミは、別系統の万葉仮名が使われているので、奈良時代には、神(かみ)のミと上(かみ)のミは、別の発音だった、ということです。
    ●基本語彙500(126頁)
    平安朝の女流文学16作品(「源氏物語」「枕草子」「竹取物語」「伊勢物語」「土佐日記」「蜻蛉日記」「落窪物語」「和泉式部日記」等)の中で使用度数の多いもの上位500語のうち今日まで残存しているのは450語ほどです。これは、日本語の基礎語と考えることができます。
    ●方角を表す語(160頁)
    ヒガシの古形は、ヒンガシであり、さらに古くはヒムカシで、これは「日-向カ-シ」の複合である。ヒムカシは、「日に向く方向」の意である。
    日本語のニシは「去方(イニシ)」の約であろう。イニは去(イ)ヌという動詞の名詞形で、シは方向を示すので「日没の方向」の意で西を把えた語である。

    ことばの話というのは、意外と面白いことがわかりました。
    (2009年10月15日・記)

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著者プロフィール

1919-2008年。東京生まれ。国語学者。著書に『日本語の起源 新版』『日本語練習帳』『日本語と私』『日本語の年輪』『係り結びの研究』『日本語の形成』他。編著に『岩波古語辞典』『古典基礎語辞典』他。

「2015年 『日本語と私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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