漢字―生い立ちとその背景 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004120957

作品紹介・あらすじ

日本語の表記にとって漢字は不可欠の文字である。にもかかわらず、文字としての漢字がどのようにして生まれ、本来どのような意味を持つものであったかを知る人は少ない。中国古代人の生活や文化を背景に、甲骨文や金文、および漢字が形づくられるまでの過程をたずね、文字の生い立ちとその意味を興味深く述べる。

感想・レビュー・書評

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  •  漢字と呪術のつながりを論じた本だが、まるでパズルのように作られた漢字を、呪術の視点から解いていくところは爽快で、読んでいて快楽さえもたらされる。
     伏せるという字は、人の前で犬がふせてうかがっていると言われているが、犬を埋めて呪いを防ぐための字であると論じられるところなど、古代エンターテイメント世界の広がりを感じられて、大興奮する。
     天災ばかり起こる時、呪術の長でもあった王が最終的に殺されてしまうなど、「呪」をテーマとして、古代社会を浮かび上がらせる筆致は見事だし、万葉集との関連性もちょくちょくと書かれていて、面白い。
    【ここに歌われている客神は、おそらく殷の祖神であろう。古代にあっては、国を滅ぼすことは、その民人を滅ぼすことではなかった。その奉ずる神を支配し、その祖霊を支配することであった。神霊は滅ぼしうるものではない。それで滅亡した国の子孫を残し、その聖処の社には光をおおい、先祖の祭礼はつづけさせた。王朝のまつりのときには、その神霊にもまつりに参加させて、その威霊を新しい王朝のためにささげさせるのである。それで異族神は、王朝の祭祀に招かれ、舞楽などを献ずるのであった】P69 とあるのは、白川は日本のこともきっとイメージしていただろうと思う。

  • あけましておめでとうございます。

    新年最初の本は、以前から一度読みたいと思っていた白川静さんの『漢字』。

    最初に言葉があり、次に文字があるという話から始まり、漢字を大切にしなければいけない気持ちにさせる本。

    (1)文字は、その成立の当初においては、神とともにあり、神と交通するためのものであったからである。(p188)

    (2)父は斧をもつ形である。母は、たらちねの母の姿に書かれている。(p176)

    (3)戦争は呪力の戦いであり、さらに言えば、氏族の奉ずる神々の威霊の戦いであった。(p127)

    白川さんは漢字が神とのやりとりを記載したものという畏れをもって分析しており、読者を敬虔なきもちにさせる。

    正月にふさわしい読書をした。

  • フォント、カリグラフィという考えができるもっともっと昔。とめ、はね、はらいなどの書体ルールすら新しすぎた時代。亀の甲羅の裏に直に刻んだ文字の生い立ちの話。

  •  濃密である。神意、神事があって、字は固まってくるとの立場。

     漢字といえば形をもじった字からなるとの見方もあるが、抽象的な心象事項にも形をあてはめており、表意文字のすぐれた機能が説明される。

     他方で、意味を十分にとらえることなく継承し、意味を十分に検討することなく用いられている字が圧倒的に多い。力の弱体である。

  • [ 内容 ]
    日本語の表記にとって漢字は不可欠の文字である。
    にもかかわらず、文字としての漢字がどのようにして生まれ、本来どのような意味を持つものであったかを知る人は少ない。
    中国古代人の生活や文化を背景に、甲骨文や金文、および漢字が形づくられるまでの過程をたずね、文字の生い立ちとその意味を興味深く述べる。

    [ 目次 ]
    1 象形文字の論理
    2 神話と呪術
    3 神聖王朝の構造
    4 秩序の原理
    5 社会と生活
    6 人の一生

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    [ 参考となる書評 ]

  •  漢字が表意文字であった頃からの説明をていねいに書いている……大変興味深く面白いのだが、読了を諦める。
     いつか海外旅行に行く時にでも持っていきたい。たぶん一度読んだあとでもまた楽しめるだろう。

  • 記念すべき1冊目は私が最も尊敬している学者、白川静先生の著作から。白川先生は甲骨文字や金文の字形を丹念に整理・分類し、その形と古代中国人の思惟構造とを突き合わせ、いわゆる「白川漢字学」を大成されました。この本はその「白川漢字学」の入門書です。古代中国の人は神を畏れ、神に祈り、神の言葉を残すために漢字を創造しました。したがって当時作られた漢字一つ一つには神の言葉を伝える役割があり、そのために字形には彼らの考え方や行動が表れているのです。そんな字形と思惟構造との関連性を具体的に分かりやすく書いており、漢字をより深く知りたいと思っている方へ是非お勧めしたい本です。

  • 白川さんの漢字論というか、漢字に対する熱情というか、力というか凄すぎる。漢字の見方がぐっと変わった。

  • 「次に文字があった。文字は神とともにあり、文字は神であった。」がすべて。非常に濃い中身。読み物として面白いかどうかは別として、新たな視点を提供してくれた点で、「4」の評価にあたいする。

  • 1 象形文字の論理
    2 神話と呪術
    3 神聖王朝の構造
    4 秩序の原理
    5 社会と生活
    6 人の一生

    著者:白川静(1910-2006、福井市、中国文学)

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