魔女狩り (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004130208

作品紹介・あらすじ

西欧キリスト教国を「魔女狩り」が荒れ狂ったのは、ルネサンスの華ひらく十五‐十七世紀のことであった。密告、拷問、強いられた自白、まことしやかな証拠、残酷な処刑。しかもこれを煽り立てたのが法皇・国王・貴族および大学者・文化人であった。狂信と政治が結びついたときに現出する世にも恐ろしい光景をここに見る。

感想・レビュー・書評

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  • 魔女狩りといえば、冤罪によりたくさんの人間が拷問処刑された暗黒の歴史、という漠然とした印象を抱いていたが、まさにその極悪非道ぶりに寒気を覚えた。
    密告という形で進められた意図的な吊るし上げが、被告の豊かな財産の没収目当てであるとか、自白させる際の留意点を細かく書いた文書だとか、汚濁した聖職者たちの狂気的な意識の犠牲になった人々の苦しみや無念は相当なものだろう。
    ここに書かれているようなやり方で自白を強要あるいは誘導されれば、どんなに潔白であっても、きっと最後は拷問の辛さから逃れようと罪を認めてしまうに違いない。人間の弱さは同じ人間が一番よく知っているという、いやらしさの最たる事例だと思う。
    神の名のもとであれば、人間はこれほどまで傍若無人になれるのか。理性とは何か、を考えずにはいられない。

  • 中世キリスト教国に疫病のごとく蔓延した魔女狩り。
    人間固有の残酷性を除去するよう努め続けない限り、必要に応じて大勢の「魔女」が再び作られ、不条理に葬られるおそれがあるということを歴史が教えてくれる。
    何時の時代においても、世情不安によって民衆はスケープゴートとされた被告人への極刑を望む一方で、「今度は自分が被告人になる番かもしれない」という裁かれる恐れも同時に脳裡を過ったのではないだろうか。
    このような不条理な裁判に対する恐怖は、最後の審判やバスティーユ襲撃などにも象徴されているように思う。

  • 2018年5月12日紹介されました!

  • 魔女狩りが被告の財産を回収するために行われたこともあったとは知っていたけど、それが表向きには「裁判でかかった費用の回収」とされていたことは知らなかった。

  • 当時のカトリックは免罪符など、お金の力で清浄が買えるとし、聖職の地位までお金次第というような体たらくなくせにプライドはやたら高くて、聖職者の下位のものですら一国の王よりも地位は上だなんてやっていたようです。そういう腐敗した土壌から魔女狩りが生まれていく。王も聖職者も文化人も科学者も、社会的に発言力のある人々のみんなといっていいほどの多くが魔女狩りに賛同して、たくさんの残酷な火刑などによる死をもたらしたわけで。魔女狩りの前段階に異端審問の制度がととのい、さらにその前段階にはカトリックの異端を根絶やしにするためのアルビ十字軍が殺戮を行った。ヨーロッパのこういった血なまぐさい歴史が現代のヨーロッパ人の奥深さに繋がっているのかもしれない。また、なにか、この魔女狩りへの過程から社会学的に教訓としうるものって多くあると思う。権威ある教会や貴族たちがみな魔女狩りに同意するということ、負の側にオーソリティがついて、それが正しいとされてしまうこと、これは怖いことだ。民主主義じゃなかったから魔女狩りだとか異端審問はおこったのだ、という考えもありそう。民主的な自由な気風の南フランスから、自由な思想としてのアルビ派などの異端が出てきたように、民主的な雰囲気自体がマイノリティだったから、力で弾圧されたとも見れるかも。しかし、そうやって民主主義がマジョリティになると、魔女狩りなどは起こりにくくなるかというと、アメリカではセイラムで大きな魔女狩りがあったりして。じゃ、IT革命後の現代ではどうかというと、炎上だの誰誰叩きだのがあって、これは一種の軽い魔女狩りの様相を持っているように見える。カトリック協会は、自分自身が腐っていってだめになっていったせいで、異端を生んだりなどし、立場が危うくなったのに、自分のせいには決してしないから、魔女狩りという悲劇を生んだと考えられもする。自分は絶対に悪くないという立場。魔女狩りの時代はそういう種類の輩がのさばるんだから、社会の不公平っていうのは原理的にそういうものなのかな、なんて悲しく思えたりもする。当時のカトリックをひとつの人格ととらえてると、自省せよ、内省せよと言いたくなる。自分の言動や行いを省みることのない人は、かなり迷惑な人になると日ごろから考えています。魔女狩りを例にとっても、それは言える。けして自らの過失や間違いを認めない者は迷惑な者である。以上から、きっと、ネットの炎上も誰誰叩きも、それをやる人の多くは、なにか間違いやいたらない点があっても、自分のせいにしないタイプの人なんじゃないかなあなんて考えたりもしました。

  • サディスティックな欲望とスコラ的詭弁で動員される社会が何百年も続いたという警告。

  • 17世紀に最盛期を迎えた魔女狩りはどういった経緯で起きたのだろうか。キリスト教の魔女に対する捉え方の変化と異端審問から説明している。
    また、魔女狩りが起きた社会的背景ついてキリスト教国での比較を通じて述べられている。

  • カバーから:西欧キリスト教国を「魔女狩り」が荒れ狂ったのは、ルネサンスの華開く十五ー十七世紀のことであった。密告、拷問、強いられた自白、まことしやかな証拠、残酷な処刑。しかもこれを煽り立てたのが法王・国王・貴族および大学者・文化人であった。狂信と政治が結びついたときに現出する世にも恐ろしい光景をここに見る。

  • 魔女狩りが経済的または政治的な事情をはらんでいることについて、非常に腑に落ちる印象を受けた。
    富の争奪と政治権力の獲得におけるひとつのツールが異端審問であり、本来の異端審問とは無縁であった魔女であることがわかる。
    ツールは為政者の都合の良いように組み合わさり、絶対に否定できない価値のもとに人を拘束する。
    現存のかちのもとにレッテルの貼りあいをし続けるという点では、現代の異端審問とは科学的な正しさや自由や平等といったところだろうか。

  • カトリックによる異端審問という側面から魔女狩りについて考察してある一冊です。魔女狩りについて何も知らないわたしでも、順を追って説明がなされているので楽に読むことができました。ここに書いてあることだけが正しいとは限りませんが、一読する価値はあると思います。

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