インドとイギリス (岩波新書 青版 934)

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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004130369

感想・レビュー・書評

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  • 金融大国として世界的な地位を築いた英国の背景に印度からの悪辣な搾取があったことを、自信の印度経験を交えつつ解き明かす本。
    著者の英国の欺瞞に対する憤懣の熱量が伝わってくる。少し感情的というか感傷的というか、そんなところもちょくちょく散見されるが、掻い摘んで英印間の歴史と英国発展の背景を知るのに好い。

  • インドに根深く残るイギリスの植民地政策の傷跡を1975年のインドの様子から掘り下げる一冊。
    落ちぶれた大英帝国がいかにインドから搾取することで、大国として君臨できたのか。ルールの作成をイギリスが握ることでインドの構造的な搾取を可能にしたか。白人優生思想がインドへの行いを正当化してきたのか。
    そして75年時のインドがどれほど地獄なのか。
    著者の筆致が真に迫ってくるすばらしい一冊。

    自由経済という言葉がどれほど欺瞞に満ち溢れた言葉なのだろうかと考える契機になる本でもあると思う。

  • なんとなーく英国の植民地政策の本を探していたところにたまたま見つけて購入。多角的な視点、重層な智の裏付け、言語表現の美しさからなるエレガントな構造分析に1ページごとに感動してしまった。ここのところでいちばん気に入った本だし自信を持って人に勧めたい本。

  • 1975年刊。著者は東北大学文学部教授。◆著者の専攻は英国近代経済史であり、当然、インドとの関係は切り離せない。そんな著者が短期の英印旅行を踏まえつつ、主に18世紀後半の産業革命期前後~20世紀半ば、第二次世界大戦終了後までの英印関係について、①綿花栽培や綿糸・綿織物業における両国のせめぎ合い、②製鉄・鉄鋼業に関する相克、③鉄道敷設に象徴される植民地支配の実相、④両国を中心とする対外貿易関係、あるいは貿易外の資金転移から植民地支配により英国の受けた莫大な利益と、その反面のインドの傷跡などから解読する。
    ◆生活・経済の状況は刊行時から40年経過している現在では違うという点は想定できるが、75年当時の模様は十分伝わる。◆それにも増して、英国の植民地支配の苛烈さと、巧妙さ(ルールを上手く作る。植民地の上級階層の利益を阻害しないような配慮)、さらに、第一次世界大戦前後より英が印に寄生する存在、印なしには繁栄を保てない(インドが、米・欧・日で得た貿易黒字を、英が綿工業による貿易黒字、本国費という名目の貢納、金の事実上の収奪で吸収し、自国の貿易赤字を補填挽回していた)事実も活写。
    ◆しかも、ビクトリア朝的福音主義が、後進かつ異教の国のインドを教え導くという理念的支柱となったことが、現代まで、英のインド支配の正当性の声高な主張や自己弁護を止めない鉄面皮の要因とのこと。納得の言。

  • インドとイギリスの関係について。
    イギリスがいかにインドを搾り取っていたかが分かる。
    現在こそインドの勢いは目覚ましいが、この著書が書かれた当時は現在よりももっとひどかったと思う。

  • イギリスによるインド統治の仕組み、富の収奪が分かる一冊。
    古すぎる本なので、インドの状況に対する記述は今は変わっているかもしれないが、イギリスが与えた影響、歴史というものを痛感させる。

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