福沢諭吉 (岩波新書 青版 590)

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  • 岩波書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004131168

感想・レビュー・書評

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  • 人物評伝というよりは思想内容の紹介が中心。4章の歴史観の所が興味深い。福沢は歴史を科学として扱い、その法則性にまで踏み込もうとしていたのが伺える。その場合に参照すべきなのは英雄伝ではなく民衆意識であるとの事。今で言うと政治史よりも社会史を重視すべきという事だろうか。
    50年以上前に出版されたものではあるが古さはない。また、身内が書いたものではあるが、単なるヨイショ本ではなく抑制が効いていてバランスも取れている。現代でも通用する福沢論である。

  • 福沢諭吉の生涯を紹介した本.昔の新書なので情報量は多くて,しかも著作の原文引用も多くて,すらすら読むというわけにはいかない.自伝と重なるところも多いのだが,著作の書かれた時代背景なども解説してあって,分かりやすい.著者は最初の30数ページの総説を読めば全体がつかめると書いている.たしかにそうで,もしかするとそれだけ読めば十分かもしれない.

  • 日本の発展を考える際には、戦後の高度成長期に着目しがちだが、実際にはその前の明治・大正期(特に明治維新)の対応の方が参考になりやすい。西洋の工業社会に追いつくための工夫が満載だし、日本(ローカル)と西洋文明(インターナショナル)の違いも強く意識されている。

    そんなわけで、明治期の代表的な思想家である福沢諭吉について知ろうと思ったのだが、本書は福沢諭吉という人の人生や思想について簡単にまとまっている。新書なので、一般向けの入門書であるし、これから福沢の著作を読み込む人の導入としてはいいのではないか。

  • 諭吉さんの自叙伝を呼んでからこれを読むと面白い。つーかわかりやすい。
    内容は自叙伝を追って諭吉さんの生涯を解説している伝記。

    -感想-

    ①政治家を航海者に例えたという諭吉さんの比喩はなるほどそうですよね。
    頭押えこんだら成長しなくなるもんね。生物も社会も。

    でもやっぱ頭を押さえこむようなリーダーの方がインパクト強いから大衆受けしちゃうんだよねぇ。
    今の日本の政治世論アンケートでは「強いリーダーシップを求める声が・・・」って必ず言われるけど、日本人はM気質が多いのかな!!
    そんなに無理やり政治してほしいんなら増税とか何も文句言うなだよね。

    でも多分それはまた日本人の気質なんだろう。
    日本人は世論を自分の意見として使っちゃう癖があるからね。
    「自分はそれほどでもないけど、みんなはそう思っているからそういうことなんでしょうね。だからそれが国民の声なのよ。」

    話それたけど、諭吉さんの言葉は現代でも参考にできる。流石です。

    ②諭吉さんの歴史観-被治者である大衆と政治家である個人の歴史比較-なるほどね
    中国では前王朝の資料は燃やされるくらいだし、日本でだって水野忠邦の歴史評価の再考とかあったし、普段歴史の授業で扱われる政治史って大丈夫かって気になる。
    政治なんて腹黒いもんのてっぺんだし、恣意的歪曲がかけられる可能性が高いのは当然。だったら大衆の生活から考察した方が正しい歴史にたどりつけそうだってのもうなずける。
    ※大衆も当時の歪曲された政治の影響を受けている可能性高いけどね。

  • [ 内容 ]
    福沢諭吉は、明治維新いらいの日本の近代化をおし進めるために、その中心となった巨人である。
    封建門閥制度を打破し、合理的な科学知識を基礎として文明国家を建設しようとした福沢の思想と実践は、今日なお新鮮さを失なわない。
    晩年の福沢に身近に接し、また長らく慶応義塾名塾長として青少年の指導に当られた著者の語る福沢像。

    [ 目次 ]


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著者プロフィール

経済学者、教育家。明治21(1888)年、東京三田に生まれる。普通部より慶應義塾に学び、体育会庭球部の選手として活躍。明治43年、慶應義塾大学部政治科を卒業し、慶應義塾の教員となる。大正元(1912)年9月より大正5年3月まで、イギリス・ドイツへ留学。帰国後、大学部教授として経済学、社会思想を講ずる。大正11年より昭和7(1932)年まで庭球部長。昭和8年より昭和22年まで慶應義塾長を務める。昭和24年より東宮御教育参与として皇太子殿下(今上天皇)の御教育にあたる。昭和34年、文化勲章受章。昭和41(1966)年、逝去。著書に『共産主義批判の常識』、『読書論』、『福沢諭吉』など多数あり、歿後には戦死した長男を追悼した『海軍主計大尉小泉信吉』が刊行された。また、『小泉信三全集』(全26巻・別巻1)、『小泉信三伝』等が編纂されている。平成20(2008)年には「生誕120年記念小泉信三展」が慶應義塾大学三田キャンパスで開かれ、多くの来場者を集めた。平成28年に歿後50年を迎えた。

「2017年 『小泉信三エッセイ選 2 私と福澤諭吉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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