日韓併合小史 (岩波新書 青版 D-128)

著者 : 山辺健太郎
  • 岩波書店 (1966年2月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004131281

日韓併合小史 (岩波新書 青版 D-128)の感想・レビュー・書評

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  • 著者は元日本共産党統制委員。
    本書は離党後の1966年刊行。

     各種文献・史料(書簡等)を原文ママで多数引用するノンフィクションたる本書は、朝鮮への列強の武力開国交渉から筆を起こす。
     つまり朝鮮近代の前半期をテーマに据える朝鮮史の書だ。これは日韓併合への過程で、日本側からは重要な日清・日露戦争は若干の経過と結末だけ触れるに止め、各戦争中の「日韓」間の外交交渉と結末に多くの紙幅を割くことから伺える。

     故に、該テーマに即し、朝鮮と諸外国(近世期の宗主国清朝は勿論、不凍港獲得政策をとる露)の関係にも相当の分量を割く。殊に、日本は勿論、清朝やロシアによる朝鮮への内政干渉の実相を詳述するのはあまり見ないし、個人的にも新奇ネタが多い。
     例えば、
    ① 名前しか知らなかった英艦隊による巨文島占拠とその顛末、
    ② 近代前半期における李氏朝鮮の貨幣制度、
    ③ 朝鮮半島の、日本にとっての市場としての意義の極少さ、
    ④ 日本の金本位制確立・正貨準備に資した朝鮮半島産出金。
     そもそも入超の朝鮮において、金の日本流入の必然はない。むしろ、正貨準備に不足を来していた日本紙幣との交換による金獲得≒収奪という実態、
    ➄ 日露戦前の、ロシアの馬山浦租借・竜巌浦への砲台設置の実。これが日本の方針へ与えた影響。
    ⑥ 日露戦期での、親露韓国政府要人を日本国内へ拉致紛いで移管したこと。
    ⑦ 韓国軍の解体過程
    等がそれ。

     とはいえ、朝鮮政府(王、あるいは大院君、閔妃等を含む)の在り方も、周辺諸国に比して、軍事的・経済的に脆弱・劣勢だったとはいえ、褒められたものでない点は厳しく指摘している。
     例えば、保護国化を賛成するよう日本側に買収された要人の存在、政権維持または政権奪取のため、外国勢力(清・露・日が主)の後ろ盾を積極的に利用し、派閥抗争に明け暮れる点がそれ。

     そもそも、朝鮮半島がかかる弱体化を来した理由。これは前提条件として重要な要素だが、この理由を暴く朝鮮近世(特に18C)の書は余り見ず、本書もそれに漏れない。
     すなわち、
    ⑴ 商業未発達で外国から艦船や武器を購入するだけの資本蓄積すらなかった。
    ⑵ 露の千島・北海道への南下政策といった、微温的危機状況に直面しなかった。
    ⑶ 対清関係の重要性が高く、欧米列強まで目を向ける必要性と余裕がなかった。
    ⑷ 日本のオランダ風説書の如き情報収集の手段がなかった。
    ⑸ 製鉄所・造船所の如き、西欧技術を追尾するだけの工業的・技術的蓄積なく、識字力を備えた人材不足等が想定可?。
     しかし、それは本書では不明なままである。
     また、本書が邦文史料にのみ依拠する点もマイナス要素か。

     なお、日清戦争を遡る相当の時期、朝鮮問題の方針確定につき、日本政府の閣議に提示された4案は、①手を引く。②日本単独で支配・制御・統治。③日清共同統治。④露を含む西欧列強を混ぜて統治。
     結局、採用されたのは②。

  • 李朝末期から、朝鮮併合までの、短い歴史を切り取って詳細に記述している。
    前提となる朝鮮半島の歴史、日本の歴史の説明が詳細にないため、
    切り取った事実について、誤解をする可能性がある。

    小説として読むのはよいが、歴史研究という視点では、歴史の切り取り方に疑問が残った。

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