太平洋戦争陸戦概史 (岩波新書 D134)

  • 岩波書店 (1951年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (307ページ) / ISBN・EAN: 9784004131342

みんなの感想まとめ

太平洋戦争の陸戦に焦点を当てた本書は、元陸軍大佐の著者が、当時の陸軍の問題点を鋭く分析しています。精神主義や根性主義といった陸軍の特性が、どのように戦争の結果に影響を与えたのかを淡々と記述し、敗北の記...

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りたら旧字体の昭和二十五年版だったので読むのに少し苦労した。戦時中の作戦方針と戦闘の経過が淡々と記述してある。すなわち失敗と敗北の記録を延々と読むことになり、気が滅入ってしまう。

    陸軍が、海軍が、政治家が、国民が、天皇陛下が、愚かだったとか未熟だったとかではなく、誰一人責任を負うことのない日本というシステムの情けなさを痛感させられる。
    なぜ事実を見ることができなかったのか。なぜ「必勝の信念」などという有害無益な思い込みに頼ったのか。なぜ大言壮語の無能な馬鹿が昇進する人事制度が出来上がったのか。ミッドウェイ、ガダルカナル、サイパン、フィリピン、硫黄島、沖縄、広島・長崎――マシな負け方はいくらでもあったのに、なぜよりにもよってソ連に参戦させるまで敗戦を引き延ばしたのか。

    ナチスドイツや大日本帝国が悪であるとしても、連合国が正義であるはずがなく、敗戦は単に「悪がより強い悪に叩きのめされた」結果である。九条というお花畑に逃避するばかりで、敗戦の原因を検証することも、「負けない」――最悪でも「上手に負ける」――ための条件を検討することもなく、武器と人命を消費しない新しい時代の戦争でもひたすら負け続け、気づかないまま世界の奴隷にされている――この国の末路は身体中に穴を開けられ、管に繋がれて無意味に延命させられている老人のようだ。

  • 陸軍から見た太平洋戦争史。
    陸軍の各作戦の裏にあった考えがわかる。
    また、陸海の対立が非常な問題であったことは周知の事実だが、陸軍部内でも、参謀本部と陸軍省では度々対立していたことがよくわかる。

  • 1951年刊行。著者は元陸軍大臣秘書官。◆陸軍から見たアジア太平洋戦争。そしてその前史たる満州事変あたりから叙述開始。太平洋戦線関連、陸海の省部対立、軍政・統帥対立、資源・人員・武器弾薬の輸送軽視については新奇事項はないが、日中戦争期はなかなか興味をそそる。①ドイツへの盲信・過大評価の要因論(首脳部から英米留学組が放逐という人事面。独の電撃戦に幻惑という統帥面)。②独ソ戦が重慶攻撃を頓挫せしめる。◇インパールの牟田口氏は余りに著名だが、この人物の思考・性格形成を考究できたら。上層部に昇進した理由も。
    現代の組織論の反面教師に。◇陸軍幼年学校での科学の軽視の問題を本書は指摘。算数数学・物理・化学。◇台湾沖航空戦の戦果検証をしないまま。その後の捷一号作戦(レイテ)に大きく影響。実証・確認・証拠の軽視。◇陸軍から見た菊水一号水上作戦の不可解さ。◆本書は陸軍関係者が戦後直後に刊行したことに大きな意味。虚心坦懐さ、反面教師に彩られる本書の内容に反する書が、最近横行。しかし、あくまでもそれは枝葉あるいは例外的事象。肝に銘ずべし。古い故に読む必要が高い書。

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