名画を見る眼 (岩波新書)

  • 岩波書店 (1969年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784004140641

みんなの感想まとめ

西洋美術の名画を深く理解するための手引書として、作品の本質を知る楽しさを提供してくれます。著者は、選りすぐりの15点の名画を取り上げ、それぞれに対する丁寧な解説を通じて、絵画の背後にある歴史や思想、神...

感想・レビュー・書評

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  • 著者、高階秀爾さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    高階 秀爾(たかしな しゅうじ、1932年2月5日- )は、日本の美術史学者・美術評論家。東京大学文学部教授経て、同大学名誉教授。日本芸術院院長。公益財団法人西洋美術振興財団理事長。秋田県立美術館顧問。文化勲章受章者。多くの著作で作品鑑賞を通じ、美を感ずる心の普遍性を発信し続けている。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    現在、わが国では西洋美術の展覧会が相次いで催されており、西洋の名画に直接ふれる機会が多くなった。これらの作品をただ漫然と眺めるだけではなく、一歩進んで西洋絵画の本質について改めてよく理解したいとする要求に応えて執筆された、誰にもわかる西洋美術鑑賞の手引書。代表的名画十五点を選び、それぞれに懇切な解説を試みる。

    ---引用終了


    この中で、レンブラント(1606~1669)の「フローラ」について書かれています。
    その「フローラ」は、ウィキペディアに、次のように書かれています。

    ---引用開始

    『フローラ』(蘭: Flora, 露: Флора)は、オランダ黄金時代の巨匠レンブラント・ファン・レインが1634年に制作した絵画である。油彩。主題はローマ神話の春の女神フローラから採られており、レンブラントの妻サスキア・ファン・オイレンブルフをモデルに描いたとされている。

    ---引用終了

  • 1969年
    ルネッサンス~19世紀半ばまで400年
    15名作の紹介

    作品名の副題がその作品をひとことで表しており秀逸だ
    例えば
    「ファンアイク、アルノルフィニ夫妻の肖像」→徹底した写実主義
    「レオナルド、聖アンナと聖母子」
    →天上の微笑

    1作品10ページ位
    当時の思想、神話との関連性、絵の具などがあり、歴史的背景で締めくくっている
    お人柄が出ているような優しい語り口の文章だった

    ○聖アンナと聖母子 レオナルド
    ・聖アンナは微笑している
    ・中世においては聖アンナは珍しい主題
    ・祖母、母、子3代の存在を1枚の画面に同時に表現することによって、時間の流れが暗示されて、神の子の歴史が語られる
    ・聖アンナの足元の小石の間に胎児の姿が描かれてある
    聖アンナが過去であれば、胎児は未来を象徴する
    ・ピラミッド形の安定した構図
    ピラミッドの頂点に聖アンナの神秘の微笑が置かれている
    現実と理想とを巧みに統一した見事な構成

  • 高階さんの著作は何冊も読んでいるが、失礼ながらこんなに文書が上手かったかな?と思いながら読んだ。(高階さん、関係者の方々すいません!)
    初版は1969年、2020年に第73刷なので、新書とは言え凄いなと。
    アイクに始まりマネまで15作品について絵が描かれた背景、画家の意図がわかり易く丁寧に解説されている。半分以上は実際に鑑賞しているので絵を見た時の印象を反芻しながら読んだ。なかでもフェルメールの「画家のアトリエ」の解説はとても印象に残った。フェルメールの作品を一言で表現するとすれば、画家本人もそうであった様に静寂、静けさだと思う。高階さんは「西欧の長い絵画の歴史のなかで、誰よりも慎しやかで、誰よりも静寂を愛したのは、デルフトのヤン・フェルメールであったように思われる」、「フェルメールの作品は、すべてが落ち着いた静寂さの中に沈んでおり、一見派手ではないが、決して忘れることのできない力を持っている」と表現されていた。
    続編があるので早速読み始めた。

  • 15世紀から19世紀までの、一度はポスターや図録で見たことがあるような著名な絵画15点を取り上げ、時代背景や宗教的背景などを踏まえ、その絵の見どころを解説してくれる本書。
    今から50年も前に書かれている本なのに、全然古い感じがしない。

    まず最初に取り上げられるファン・アイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」で、隅から隅までに目を配り、何気なく描かれているようにしか見えていなかった調度品や登場人物の服装に仕草と、画家がそれぞれに込めた意味を指南してくれるので、絵画鑑賞の奥深さ、面白さにグッと引き込まれました。二つ目以降、時代の流れに沿って紹介される名画たちにも同じように丁寧な解説が。
    読み終えて、いや、読んでいる最中から、紹介された絵を今すぐにでも美術館で生で見たい!(海外に行くしかないけど!)そんな気分になる本でした。
    自分の素朴な感性で絵画を楽しむのも悪くはないけれど、こんな風に適切な導きがあれば、何倍も楽しめそう。絵画鑑賞の楽しみ方が広がりました。

    印象派以降が紹介される続編も読んでみようと思います。

  • 読む者を引き込む文章。もっと堅苦しいものかと思っていたからびっくり。他の書籍にこの本がきっかけで美術史の分野に飛び込んだという話があって、なるほどそれも納得。専門的な知識がなくても楽しめる。もっともっと知りたいという欲が出てくる。高階さんの他の著書も読んでみたいな。

  •  昨日私は、ゴッホのひまわりを「ハシゴ」してきました。何のことかよくわからないと思いますが、14時からSOMPO美術館の開館記念展「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び」をみて、次に、15時30分から国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」をみてきたわけです。せっかく名画に触れるわけですから、行き帰りには、先日続編を読んだ本の、元の方を読みながら出かけることにしました。

     この本で取り上げられている画家は15名。ファン・アイクからマネまでの時代となりますが、正直、私はよく知らない画家が結構含まれています。それでも、以下の7名は、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」で、偶然にも作品をみるできました。(本で紹介されている絵ではありません。)
     2 サンドロ・ボッティチェッリ
     6 ディエゴ ・ベラスケス
     7 レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン
     8 ニコラ・プッサン
     9 ヨハネス・フェルメール
    11 フランシスコ・デ・ゴヤ
    13 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー

     絵の解説が素晴らしいのは、先に読んだ続編と同様ですが、Wikipediaなどと違う説明もあって、なかなか興味深いです。例えば、フェルメールの『絵画芸術』(この本では『画家のアトリエ』)は、Wikipediaでは、「画家の顔は見えないが、フェルメール自身の自画像ではないかとされている。」となっていますが、この本では、p.107 〝ほかの誰でもないとすれば、フェルメール自身ではないかということも考えられる。事実、そのように主張する学者もいないわけではない。しかし、自己自身の「名声」をそれほどまで喧伝することは、慎ましやかな性格のフェルメールには似つかわしくないことのように思われる。〟となっています。どちらが正解かわかりませんが、いろいろな説があることがわかって興味深いです。

     あとがきに、こんな一文を見つけました。p.189 〝もちろん、絵というものは、別に何の理屈をつけなくても、ただ眺めて楽しければそれでよいという見方もある。それはそれで大変結構なことに違いないが、しかし私は自分の経験から言って、先輩の導きや先人たちの研究に教えられて、同じ絵を見てもそれまで見えなかったものが忽然として見えて来るようになり、眼を洗われる思いをしたことが何度もある。〟
     私は、「単に自分が好きな、あるいは自分好みの絵を見つけて、何となく満足した気分になって美術館をあとにする、という程度」なのですが、この機会にもっともっと知りたくなりました。

     ちなみに、この著者は、当時国立西洋美術館の館長さんだったそうです。いろいろご縁のある本に出会うことができました。

  • 絵画の見方を歴史・宗教・作成者の視点から読み解いていく本。
    絵画自体は一つの単体だが、そこには一見想像もつかないほどの意図や工夫がこめられているのだということを知った。ただ見るだけでは面白くない絵画を、何倍も面白くしてくれる一冊。ある意味ものの見方を学ぶお手本ともなる。

  • 有名な画家の代表作を取り上げて見どころをわかりやすく解説している。

  • 絵画の世界にグイグイと引き込む西洋美術鑑賞の手引書。生々しい迫真力を持った一語一語に頭を割られ、割れ目から蜃気楼のような解説(代表的名画15点)が入り込む。高階秀爾の力量は、一度割れてしまった頭の縫い合わせ方にある。言葉で一枚の画の全体的空気を浮かび上がらせる解説は人為を越えた縫合力の所産と呼びたくなってしまう。絵画に限らず、自分も優れた対象に深く浸かり、それを言葉に置き換えて読み手に豊麗な喜びを与えられたら。学ぶことと喜ぶことをリンクさせてくれる本書を読み、精神の引き締まる端緒の衝動が頭を揺蕩っている。

  • 恋人と美術館に行くことになった際に予習しようと思って読んだ思い出の本です。
    この本で予習しようと思ったきっかけは某予備校の名物講師がお薦めしていたからです。
    読み返す度に予備校での苦しいけど充実した日々や恋人との甘酸っぱい記憶を思い出します。
    自分にとって一生大切な本です。
    内容ではない感想、失礼しました!

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN01838088

  • ファン・アイク「アルノルフィニ夫妻の肖像」やデューラーの「メレンコリア・I」など、全部で15枚の絵画についての評論。
    謎解きをするような楽しさを感じながら、画家と作品について知識を得ることができる。
    新書は正直難しいなぁといつも思う私でも、楽しんで読むことができた。続編も出ているらしいので、いつか読んでみたい。

  • ルネサンスから19世紀までを西洋美術史の一時代として、絵画に映し出された様々なものや周辺事情を解説する。

  • 絵画をどういう見方をすればいいのかわかりやすく書いてます。その絵画が持つ意味や、時代背景、絵画や画家にまつわるエピソードなどを理解すれば絵画鑑賞は何倍にも楽しめるんだなと思います。

  • 分かりやすく、そして惹き込まれるような美しい文章だった。
    ファン・アイクからマネまで、有名な絵を取り上げて、ルネサンスから近代の始まりまでを通覧する内容で、良い復習になった。そして、この本で取り上げていたものでなくても、美術館へ行ってじっくりそれぞれの作品と向き合いたくなった。

  • 高階秀爾 「 名画を見る眼 」

    西洋美術の見方を知る。1枚の絵で キリスト教義や人の変化を 緻密に再現してる。凄い。

    ファンアイク「アルノフィニ夫妻の肖像」
    ボッティチェルリ「春」
    レオナルド「聖アンナと聖母子」
    ワトー「シテール島への船出」についての 著者の見方は とても役に立った

    ファンアイク「アルノフィニ夫妻の肖像」
    *細部の写実〜シャンデリアの硬質感、毛皮など 触れたくなるほどの迫真性
    *見る側を引きずりこむ構図〜鏡の中の来訪者=結婚の立会人として来たファンアイクを描いている
    *林檎=人間の原罪に対する十字架の救い
    *一本だけ灯された燭台=結婚のシンボル

    ボッティチェルリ「春」愛と美の女神ヴィーナスの幻想劇
    *右/大地が 西風につかまり 花の女神フローラに変わることを擬人化=春の到来=女性が愛により生まれ変わる
    *左/ブローチをつけた美神=愛欲、地味な中央の美神=純潔→右の美神=美によって和解→愛欲と純潔の接触によって美に変わる
    *キューピッドの矢は 中央の純潔の美神へ向けられている
    *中央/愛と美の女神ヴィーナス

    レオナルド「聖アンナと聖母子」教義を備えた宗教的作品=原罪による堕落、十字架の死と復活による救い
    *アンナ(マリアの母)、マリア(神の母)、イエス(神の子)
    *マリアの赤の上着、青のマント=愛情と真実の象徴
    *仔羊=犠牲=イエスの受難

    ワトー「シテール島への船出」
    *シテール島=愛と美の女神ヴィーナスが流れ着いた島
    *一組の男女の心理的な動きを表現した

  • 西洋美術の解説本の元祖というところなのですかね。
    数十年前に尊敬する予備校の人気先生が面白いと推薦してくれたのが、最近その先生と同年代になって、ようやく面白いものと認識できるようになって自分の成長を感じた。

    とはいえ、自分には少しマイナーというか知らない作品があったのも事実。もっと勉強しないと。

  • 西洋絵画15作品について解説。

  • 続編に譲る

  • 高校時代に買って読みました。
    初めてロンドンにいったときに持っていきました。
    アルノルフィニ夫妻の肖像を見たかったのです。
    あの冷たいまなざしが忘れられません。
    ロンドンに行く度にあのお二人に挨拶に伺っています。
    「ファン・エイクここにあり」
    たしかにこのときファン・エイクはここにいたのだなと思うと不思議な気持ちがします。自分も絵の中に入ってこの二人を見ているような気になるのです。
    絵画を見るのは面白いことを教えてくれた本です。

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著者プロフィール

高階 秀爾(たかしな・しゅうじ):1932ー2024年。東京生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学名誉教授。1954?59年、フランス政府招聘留学生として渡仏。国立西洋美術館館長、大原美術館館長、日本芸術院院長を歴任。レジオンドヌール勲章シュヴァリエ章を受章。日本の様々な美術のシーンを牽引しつづけた。著書に『ルネッサンスの光と闇』(中公文庫、芸術選奨)、『名画を見る眼』Ⅰ・Ⅱ(岩波新書)、『20世紀美術』『世紀末芸術』(ともにちくま学芸文庫)など多数。ウィント『芸術と狂気』(岩波書店)など翻訳書も多い。

「2026年 『芸術空間の系譜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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