- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004140641
作品紹介・あらすじ
現在、わが国では西洋美術の展覧会が相次いで催されており、西洋の名画に直接ふれる機会が多くなった。これらの作品をただ漫然と眺めるだけではなく、一歩進んで西洋絵画の本質について改めてよく理解したいとする要求に応えて執筆された、誰にもわかる西洋美術鑑賞の手引書。代表的名画十五点を選び、それぞれに懇切な解説を試みる。
感想・レビュー・書評
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著者、高階秀爾さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
高階 秀爾(たかしな しゅうじ、1932年2月5日- )は、日本の美術史学者・美術評論家。東京大学文学部教授経て、同大学名誉教授。日本芸術院院長。公益財団法人西洋美術振興財団理事長。秋田県立美術館顧問。文化勲章受章者。多くの著作で作品鑑賞を通じ、美を感ずる心の普遍性を発信し続けている。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
現在、わが国では西洋美術の展覧会が相次いで催されており、西洋の名画に直接ふれる機会が多くなった。これらの作品をただ漫然と眺めるだけではなく、一歩進んで西洋絵画の本質について改めてよく理解したいとする要求に応えて執筆された、誰にもわかる西洋美術鑑賞の手引書。代表的名画十五点を選び、それぞれに懇切な解説を試みる。
---引用終了
この中で、レンブラント(1606~1669)の「フローラ」について書かれています。
その「フローラ」は、ウィキペディアに、次のように書かれています。
---引用開始
『フローラ』(蘭: Flora, 露: Флора)は、オランダ黄金時代の巨匠レンブラント・ファン・レインが1634年に制作した絵画である。油彩。主題はローマ神話の春の女神フローラから採られており、レンブラントの妻サスキア・ファン・オイレンブルフをモデルに描いたとされている。
---引用終了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
15世紀から19世紀までの、一度はポスターや図録で見たことがあるような著名な絵画15点を取り上げ、時代背景や宗教的背景などを踏まえ、その絵の見どころを解説してくれる本書。
今から50年も前に書かれている本なのに、全然古い感じがしない。
まず最初に取り上げられるファン・アイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」で、隅から隅までに目を配り、何気なく描かれているようにしか見えていなかった調度品や登場人物の服装に仕草と、画家がそれぞれに込めた意味を指南してくれるので、絵画鑑賞の奥深さ、面白さにグッと引き込まれました。二つ目以降、時代の流れに沿って紹介される名画たちにも同じように丁寧な解説が。
読み終えて、いや、読んでいる最中から、紹介された絵を今すぐにでも美術館で生で見たい!(海外に行くしかないけど!)そんな気分になる本でした。
自分の素朴な感性で絵画を楽しむのも悪くはないけれど、こんな風に適切な導きがあれば、何倍も楽しめそう。絵画鑑賞の楽しみ方が広がりました。
印象派以降が紹介される続編も読んでみようと思います。 -
読む者を引き込む文章。もっと堅苦しいものかと思っていたからびっくり。他の書籍にこの本がきっかけで美術史の分野に飛び込んだという話があって、なるほどそれも納得。専門的な知識がなくても楽しめる。もっともっと知りたいという欲が出てくる。高階さんの他の著書も読んでみたいな。
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昨日私は、ゴッホのひまわりを「ハシゴ」してきました。何のことかよくわからないと思いますが、14時からSOMPO美術館の開館記念展「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び」をみて、次に、15時30分から国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」をみてきたわけです。せっかく名画に触れるわけですから、行き帰りには、先日続編を読んだ本の、元の方を読みながら出かけることにしました。
この本で取り上げられている画家は15名。ファン・アイクからマネまでの時代となりますが、正直、私はよく知らない画家が結構含まれています。それでも、以下の7名は、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」で、偶然にも作品をみるできました。(本で紹介されている絵ではありません。)
2 サンドロ・ボッティチェッリ
6 ディエゴ ・ベラスケス
7 レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン
8 ニコラ・プッサン
9 ヨハネス・フェルメール
11 フランシスコ・デ・ゴヤ
13 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
絵の解説が素晴らしいのは、先に読んだ続編と同様ですが、Wikipediaなどと違う説明もあって、なかなか興味深いです。例えば、フェルメールの『絵画芸術』(この本では『画家のアトリエ』)は、Wikipediaでは、「画家の顔は見えないが、フェルメール自身の自画像ではないかとされている。」となっていますが、この本では、p.107 〝ほかの誰でもないとすれば、フェルメール自身ではないかということも考えられる。事実、そのように主張する学者もいないわけではない。しかし、自己自身の「名声」をそれほどまで喧伝することは、慎ましやかな性格のフェルメールには似つかわしくないことのように思われる。〟となっています。どちらが正解かわかりませんが、いろいろな説があることがわかって興味深いです。
あとがきに、こんな一文を見つけました。p.189 〝もちろん、絵というものは、別に何の理屈をつけなくても、ただ眺めて楽しければそれでよいという見方もある。それはそれで大変結構なことに違いないが、しかし私は自分の経験から言って、先輩の導きや先人たちの研究に教えられて、同じ絵を見てもそれまで見えなかったものが忽然として見えて来るようになり、眼を洗われる思いをしたことが何度もある。〟
私は、「単に自分が好きな、あるいは自分好みの絵を見つけて、何となく満足した気分になって美術館をあとにする、という程度」なのですが、この機会にもっともっと知りたくなりました。
ちなみに、この著者は、当時国立西洋美術館の館長さんだったそうです。いろいろご縁のある本に出会うことができました。 -
絵画の見方を歴史・宗教・作成者の視点から読み解いていく本。
絵画自体は一つの単体だが、そこには一見想像もつかないほどの意図や工夫がこめられているのだということを知った。ただ見るだけでは面白くない絵画を、何倍も面白くしてくれる一冊。ある意味ものの見方を学ぶお手本ともなる。 -
有名な画家の代表作を取り上げて見どころをわかりやすく解説している。
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絵画の世界にグイグイと引き込む西洋美術鑑賞の手引書。生々しい迫真力を持った一語一語に頭を割られ、割れ目から蜃気楼のような解説(代表的名画15点)が入り込む。高階秀爾の力量は、一度割れてしまった頭の縫い合わせ方にある。言葉で一枚の画の全体的空気を浮かび上がらせる解説は人為を越えた縫合力の所産と呼びたくなってしまう。絵画に限らず、自分も優れた対象に深く浸かり、それを言葉に置き換えて読み手に豊麗な喜びを与えられたら。学ぶことと喜ぶことをリンクさせてくれる本書を読み、精神の引き締まる端緒の衝動が頭を揺蕩っている。
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恋人と美術館に行くことになった際に予習しようと思って読んだ思い出の本です。
この本で予習しようと思ったきっかけは某予備校の名物講師がお薦めしていたからです。
読み返す度に予備校での苦しいけど充実した日々や恋人との甘酸っぱい記憶を思い出します。
自分にとって一生大切な本です。
内容ではない感想、失礼しました! -
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN01838088