ヒロシマ・ノート (岩波新書 青版 563)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004150275

感想・レビュー・書評

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  • 原爆運動の分裂。
    人間性への信頼。

  • 経済学の授業をとっていた時の課題本。

    広島原発での人々の心情や広島のその時の動きが詳細に記載されている。

  • この本を理解するのはちょっと難解です。
    ですが、私たちがいかに原爆という出来事を
    知らなかったか、ということを理解できるでしょう。

    どうしてもあのようなものが落ちて来ると
    根こそぎ、という印象を抱きますが
    そうではなく、それでも体に爆弾を抱えつつも
    生きていた人がいたこと…

    そう思うとアメリカの言いなりとなった
    日本がふがいなく感じます。
    さらに言えばこんな絶望的な出来事に
    見舞われたのにまたも私たちは
    過ちを犯してしまいましたし。

    もう繰り返してはいけません。
    絶対に、絶対に!!

  • 記憶に残るいい作品。うまれる前に書かれたものだが、いまなお、考えさせられる問題を取り扱っている。著者の憤りと、広島人の沈黙と、広島人の真の感情を無視した一般人の感覚などが、うまく浮きぼりになっていて感動的ですらある。ヒロシマを訪れた時、なにか、悲劇の場所とは思えない、むしろ沈黙と、諦めのようなものを感じたが、その理由が、多少なりともつかめたかも知れない。現在の広島は沈黙に風化が付加された形で、少しづつ色褪せていっているのかも知れない。

  • 一時期,文学よりも評論で名前を博した大江健三郎。
    その代表作がヒロシマノート。

    あまりに印象が強く,大江健三郎の文学には、ノーベル文学賞をもらうだけの作品があるのだろうが影が薄れてしまっているかも。

    広島で開催する原爆反対の運動の分裂。
    政治的背景よりも、当事者を叙述することによって何かを伝えようとする。

    今,福島について語る時なのだろう。

  • 20120810

  • プロローグで、広島の人が「ヒロシマ」でひとくくりにされることの苦痛の吐露、そして、沈黙する権利がある、とのくだりを常に、心の片隅に置きながら読むべき本だろう。それを意識しないと、大江氏の感情の起伏の激しさに呑まれてしまうからだ。はっきり言って冷静さを欠いていると思う。

    しかし、大江氏の優れているのは、たしかな耳と眼をもっていることである。大江氏の洞察は決して深くはない。しかし、事実を探り当て、拾い出し、ありままに記述する、たしかな耳と眼があることは信じられる。

    今の時代の若い人には、歴史的、政治的な背景が分からないために、著者の悔しさは伝わりにくいかもしれない。けれども、原水爆禁止運動がたどっている悲劇的な状態を理解するためにも、分からない言葉や団体は、丁寧に調べながら、読むことをオススメする。

  • 日本人として、ヒロシマは絶対に外してはならない歴史だと思う。

  • (1969.03.13読了)(1969.03.03購入)
    (「BOOK」データベースより)
    広島の悲劇は過去のものではない。一九六三年夏、現地を訪れた著者の見たものは、十数年後のある日突如として死の宣告をうける被爆者たちの“悲惨と威厳”に満ちた姿であり医師たちの献身であった。著者と広島とのかかわりは深まり、その報告は人々の胸を打つ。平和の思想の人間的基盤を明らかにし、現代という時代に対決する告発の書。

  • 読了。
    63年に書かれたこの本は、48年たった今も考えさせられるものがある。
    もちろん、原爆ドーム保存すら未決だった当時と今では、全く違う。
    実際に被爆した人は確実に少なくなっている。
    しかし、この本は被爆二世の苦悩を予見した内容を含む。
    今まさにフクシマという形で同じ状況を生もうとしていることに、戦慄と哀しみを感じる。

    今日本のみならず、世界が置かれた現状は、66年前の命を賭した犠牲が無駄にされたことに他ならない。

    当時まだ、被爆について語る被爆者は少なく、生き延びること自体を忌まわしく思う人々の中、「第九回原水爆世界大会の成功を信じる」と、自らの命を縮めて一言述べた原爆病院の患者宮本定男氏の屈しない人間としての強さに、心が動かされる。
    例えそのか細い精一杯の声が平和行進の先導車のスピーカーに掻き消され、行進団の人々の耳に届かなかったとしても。

    まだ若い大江健三郎の憤りを感じた本だった。

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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