沖繩ノート (岩波新書 青版 762)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004150282

作品紹介・あらすじ

米軍の核兵器をふくむ前進基地として、朝鮮戦争からベトナム戦争にいたる持続した戦争の現場に、日本および日本人から放置されつづけてきた沖縄。そこで人びとが進めてきた苦渋にみちたたたかい。沖縄をくり返し訪れることによって、著者は、本土とは何か、日本人とは何かを見つめ、われわれにとっての戦後民主主義を根本的に問いなおす。

感想・レビュー・書評

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  •  著者の心で響いていた「きみは沖縄のイメージを単純化しようとしているのではないか」という声。
    これは明らかに我々に向けられた言葉だ。
     いま改めて、沖縄を他の都道府県と質的に同じ程度の日本の構成地域として捉えられるのか私たちは考える必要がある。沖縄県は他の都道府県と比べれば圧倒的に巨大な米軍基地が立地しておりそれはまず何より"米軍のため"のものであり、そして沖縄、または日本の防衛を担うものである。この時点で、沖縄県は明らかに異常な状態にあると考えるべきだ。沖縄県は他の地域と比べても均質な日本の構成地域ではない。歴史的にみると沖縄はもともと琉球であったし、また沖縄戦という壮絶な地上戦の舞台にもなり戦後は独立するのに時間がかかった。
     これらの事実を知った上で、沖縄は本土全く同じ色をした"日本"だと思っているとしたら、あなたは沖縄の単純化して捉えようとしているだろうし、おそらくそれは沖縄は"全き日本だ"という固定観念と在日米軍基地の存在を肯定したいがための単純化かもしれない。私は沖縄県を理解しようとし続ける試みを止めては行けないと思った。本土民の結論ありきでなく、全くゼロから沖縄の歴史と市民を理解したい。

  • 難しかった。
    大江健三郎さんの訃報を聞いたことが読むきっかけ。これが書かれたのは沖縄が日本に返還される2年前の1970年なので、かなり「沖縄を舐めるな」という気迫感が漂ってきた。
    沖縄の人たちが味わってきた苦しみや辛さはもちろん理解したいと思うんだけど、大江さんの「本土の人たちはわからない」論調が強すぎて、「多分私には一生わかってあげられない…ごめんなさい…」という気持ちになってしまった

  • 本書はまさに沖縄返還直前の1970年〜71年に書かれたものであるから、現代にあてはめて考えるのは無理だと思うし、実際こういった解釈で世の中に対峙するのは逆に危険な訳だが、知っててばちの当たるもんでもないけど、知っていないとばちが当たるかもしれん。過去に対して何を言う権利も無く、ただ与えられる言葉を理解して考えるだけという地味な読書だが、何がしかの種は残る筈。印象的な挿絵カットは儀間比呂志氏版画集「沖縄」ほかより。丸みを帯びた輪郭ながら力強いタッチに迫力アリ。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/702273

  • 少し難しくて読みづらかったです。
    筆者の尊敬してる方に対する思い、沖縄に対する思いや第二次世界大戦後の沖縄の在り方など事実も知れて良かったです。

  • 沖縄の話を知らなきゃいけなかったので、2冊目として選んだ本でした。
    沖縄返還運動の話とか日本の悪いところがレポートされてる本に感じました。
    戦争のことを考えるとメチャクチャ、沖縄が犠牲になっていたこと、今も犠牲になっていることを知っていたけど、それ以上にヒドい惨劇なのがよく分かる本でした。

    ただ、文章の表現がちょっと前なのかなって思い、読みづらいところもありました。

  • 本土は沖縄に属している

    大江健三郎が鋭くついた、「本土」と「沖縄」の問題は解決されていないどころか、安倍•菅の強権政治によってより醜悪な形態をさえ取りつつあるのであって、この問題の部外者など真にいないのだと改めて、自戒を込めて。

    わからない、時代を感じる、左巻き、、、
    その無自覚な暴力を大江健三郎は読者に突きつけているのだが、、、

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    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000085112

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  • 復帰直前に書いたのか。沖縄返還後ってまだまだ浅い歴史なんだな、と改めて感じた。

    タイトルにあるように沖縄について本土から来た自分とはなんなのか?的な事を内証的内証的に突き詰めて行こうとする内容で、もうちょっと丁寧に読み込んだら沁みる何かはあるんだろうけど、いかんせん激動の今(書かれた時も激動の時代だったけど)読むにはあまりに内に向かい過ぎな印象でした。

  • 2007年に訴訟を受けた本である。中身としてはさほど難しくなく(大江なのでもちろん文章は非常に読みにくい)、沖縄をめぐる諸事情の動向より日本人とは何かを突き詰めたもの。本書はノートなので、あくまで導入だと考えられるだろう。

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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