本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (226ページ) / ISBN・EAN: 9784004150381
感想・レビュー・書評
-
本書はタイトルに「南ヴェトナム戦争従軍記」とあるが、内容としてはベトナム戦争だけでなく、朝鮮戦争で荒れた韓国などの取材の記録も含まれる。書かれたのが1965年であり、それ以前の従軍記録などを文字に起こしたものであるから、太平洋戦争敗戦の日本の混乱期から立ち上がる頃に描かれたものだ。日本が敗戦しアメリカによる統治が行われた頃、近隣の朝鮮半島では北朝鮮と韓国が米ソ冷戦の代理として激しくぶつかり合う。この戦争の結果、半島は休戦協定の締結により(1953年)、38度線で分断され、それは現在も続いている。また半島の被害は甚大で激しい地上戦と空爆による死傷者数は、南北双方で軍人・民間人を合わせ数百万人に至り、更には多くの離散家族を生み出す。筆者はジャーナリストとして半島を取材し、日本統治下や朝鮮戦争で心身ともに傷を負った人々をカメラに収める。
本書の始まりはタイのバンコク経由でベトナムに入り、ベトナムにおける戦争を取材する場面からである。タイトル通りベトナム(南ヴェトナム)に介入するアメリカ軍のヴェトコンとの戦闘を記録する。ジャーナリストとしてはアメリカ軍に従軍するものの、アメリカのやり方に真っ向から反対するなど、本人は平和を希求するジャーナリストである。その背景には太平洋戦争下の記憶であり、戦争に反対する平和国家日本国民としての信念がある。戦争が民間人を無理やり死地に連れ出し、残された家族に悲しみと絶望を齎すものとして、それをフィルムに収め、人々に知らしめる事を生き方としている。それを成し遂げるためには、どんな手段を使ってでも、戦場に入り、そこにある真実をカメラに収めなければならない。本書は従軍した際の日記などを元に描かれているようだが、そこには現実の血生臭さだけでなく、人の温かさや優しさ、そして凶暴さなど、ありとあらゆる現実が、ありありと表現されている。
ジャーナリスト、特に戦場を訪れる彼らには、自分の命を顧みず、真実を写し伝える信念がある。そうして映し出された数々の写真は言葉などなくても真実を伝えてくれる。こうした人々の信念がやがては人々の心を揺さぶり、知らず知らずのうちに世界を動かしているのかもしれない。筆者が描く平和で安全な世界が来る事を筆者の気持ちに少しでも近づきながら、切に願うのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フォトリーディング&高速リーディング。
岡村昭彦の作品
本棚登録 :
感想 :
