知的生産の技術 (岩波新書 青版 722)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004150930

作品紹介・あらすじ

学校では知識は教えるけれど知識の獲得のしかたはあまり教えてくれない。メモのとり方、カードの利用法、原稿の書き方など基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらすと考える著者は、長年にわたる模索の体験と共同討論の中から確信をえて、創造的な知的生産を行なうための実践的技術についての提案を試みる。

感想・レビュー・書評

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  • 学校ではあまり教えてくれないが知的生産に必要なこと~メモの取り方、カードの作成の仕方と活用法、読書法、日記と記録、文章の書き方など~について、梅棹忠夫先生がまとめた本。
    まだワープロも一般に普及する前の1969年発行だが、"京大型カード"の利用法や、将来"情報科"のような科目が必要だということなど、著者の先見の明に驚くばかり。

  •  自分の知識や考え方を整理する方法について書かれたエッセイ。約半世紀前の1969年にリリースされたにも関わらず現在の情報化社会を予期したような情報整理の考え方がたくさん書いてあって興味深く読んだ。かなり具体的な記述が多いもののまえがきに記載されているとおり、いわゆる「ハウツー本」ではないから古びないのだろう。自分が何かに接したときに考えたことを逃さないように記録することの重要さが良くわかる。そして記録する方法はアップデートされていく。そこに合わせて自分を変革・訓練していく必要性が説かれていてテクノロジーをキャッチアップすることは昔から仕事をする上で必須だったことがうかがい知れる。よく年配の人が今のテクノロジーについて行けないと聞くが、本著を読むと年齢は関係ない気がした。(この著者がもし現代に生きていたらスマホのアプリ開発していたに違いない)文章から伝わってくる嬉々として自分のテクニックを紹介したい!という熱量も最高なのだけど合間に挟まれる人間味も好きだった。たとえば新聞の切り抜きについて。以下引用。

    未指定の古新聞が山のようにたまって、すてることもならず、そのおき場をめぐって、妻とのあいだに紛争がたえないのである。

     一番興味深く読んだのは読書記録と日記のくだり。両方とも自分が日々実践していることなので昔の人がどのように考えていたのか知れて参考になった。読書記録は自分がどう感じたかが重要で単なる引用にしていては意味がないと。”読書は、「発見」のための触媒作用” と書かれていて本を読む理由としてこれ以上の言葉はないように思う。日記について過去の自分に関する報告書と思って書くという心持ちと、客観的事実の記録と主観的考察を分けること、もしくは客観的事実だけでも良いのでは?という形式の提示が個人的には助かった。後半にかけて著者が懸念する多くの部分がテクノロジーで解決してるので多少退屈になる部分はある。しかし、逆に考えると今「面倒だな」「手間だな」と思っていることもテクノロジーがいずれ解決するのだろう。超間接的に本著は未来の技術者に対するエールになるかもしれない。

  • 感動の域に達しました。生涯最高の書のひとつです。

  • 2020年は梅棹忠夫先生の生誕100周年ということで、先生の業績が再注目されました。50年も前の著書ですが、情報の整理の仕方やアウトプットの技術に関する記述は、今にも通用するものであり全く色あせていません。

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000285527

  • 山口周さんの読書を仕事につなげる技術より

  • 再読。
    飲み込みが悪くなったと感じてた去年出会って、それ以来折に触れて読み直してるが、読むたび学びがある。

  • たしかアウトプット大全(樺沢著)で引用されていて積読していた一冊。やや個人の主張がつよい気がしなくもないし、タイプライターや手書きの原稿など時代を感じるところもあった。カード式の思考法は思考の整理学?か何かでも聞いたことがあるけどどうにも手を出す気になれない。。なにか思うことはスマホか手帳にメモってしまう。しかし、全体通して考えることと文字に残すことのメリット・デメリットや主観的に本を読む創造的読書、日本語の流動性と正語法など著者の考えは面白かったし、知的生産の内容ではなく、そのメソッドの方に着目したのは50年前には新しかったのかなと思う。あと50年前にしてプログラミング教育の必要性に触れているのはすごい。

  • 「知的生産」(人によって捉え方の違う言葉だと思う)何かをつくりだす、あるいは研究する技術について「考察」された本。

    古い本で現代では解決されている問題(タイプライターなど)についても語られているのだが、
    人の抱える悩みはいつの時代も同じなんだと、気付きを得られる部分も多かった。
    例)整理と整頓の違い など

    「創造することを突き詰めた人の意見」として参考になる。

    昔を知るという意味では「ローマ字国字論」の話も面白かった。


  • 古典となって久しいが、個人における莫大な断片的知識情報を管理することの有用性という基本的な構想は、パーソナルコンピュータ、スマホ時代にも通用する。

  • 自分の読書を知的生産につながるものにできないかと読みました。
    今はもっとその目的にあった本がありそうだと感じましたが、書かれていることは概ね納得です。

    知識だけでなく、知識獲得の仕方や知的生産の仕方を教えることの重要さはこんなにも昔から語られてきているのに・・・と憤りや不甲斐なさも感じるところであります。

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著者プロフィール

1920年、京都府生まれ。民族学、比較文明学。理学博士。京都大学人文科学研究所教授を経て、国立民族学博物館の初代館長に。文化勲章受章。『文明の生態史観』『情報の文明学』『知的生産の技術』など著書多数。

「2023年 『ゴビ砂漠探検記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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