知的生産の技術 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 4158
レビュー : 420
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004150930

作品紹介・あらすじ

学校では知識は教えるけれど知識の獲得のしかたはあまり教えてくれない。メモのとり方、カードの利用法、原稿の書き方など基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらすと考える著者は、長年にわたる模索の体験と共同討論の中から確信をえて、創造的な知的生産を行なうための実践的技術についての提案を試みる。

感想・レビュー・書評

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  •  自分の知識や考え方を整理する方法について書かれたエッセイ。約半世紀前の1969年にリリースされたにも関わらず現在の情報化社会を予期したような情報整理の考え方がたくさん書いてあって興味深く読んだ。かなり具体的な記述が多いもののまえがきに記載されているとおり、いわゆる「ハウツー本」ではないから古びないのだろう。自分が何かに接したときに考えたことを逃さないように記録することの重要さが良くわかる。そして記録する方法はアップデートされていく。そこに合わせて自分を変革・訓練していく必要性が説かれていてテクノロジーをキャッチアップすることは昔から仕事をする上で必須だったことがうかがい知れる。よく年配の人が今のテクノロジーについて行けないと聞くが、本著を読むと年齢は関係ない気がした。(この著者がもし現代に生きていたらスマホのアプリ開発していたに違いない)文章から伝わってくる嬉々として自分のテクニックを紹介したい!という熱量も最高なのだけど合間に挟まれる人間味も好きだった。たとえば新聞の切り抜きについて。以下引用。

    未指定の古新聞が山のようにたまって、すてることもならず、そのおき場をめぐって、妻とのあいだに紛争がたえないのである。

     一番興味深く読んだのは読書記録と日記のくだり。両方とも自分が日々実践していることなので昔の人がどのように考えていたのか知れて参考になった。読書記録は自分がどう感じたかが重要で単なる引用にしていては意味がないと。”読書は、「発見」のための触媒作用” と書かれていて本を読む理由としてこれ以上の言葉はないように思う。日記について過去の自分に関する報告書と思って書くという心持ちと、客観的事実の記録と主観的考察を分けること、もしくは客観的事実だけでも良いのでは?という形式の提示が個人的には助かった。後半にかけて著者が懸念する多くの部分がテクノロジーで解決してるので多少退屈になる部分はある。しかし、逆に考えると今「面倒だな」「手間だな」と思っていることもテクノロジーがいずれ解決するのだろう。超間接的に本著は未来の技術者に対するエールになるかもしれない。

  • たしかアウトプット大全(樺沢著)で引用されていて積読していた一冊。やや個人の主張がつよい気がしなくもないし、タイプライターや手書きの原稿など時代を感じるところもあった。カード式の思考法は思考の整理学?か何かでも聞いたことがあるけどどうにも手を出す気になれない。。なにか思うことはスマホか手帳にメモってしまう。しかし、全体通して考えることと文字に残すことのメリット・デメリットや主観的に本を読む創造的読書、日本語の流動性と正語法など著者の考えは面白かったし、知的生産の内容ではなく、そのメソッドの方に着目したのは50年前には新しかったのかなと思う。あと50年前にしてプログラミング教育の必要性に触れているのはすごい。

  • 【読者ログ1冊目】知的生産の技術

    京都大学で教授をされていた梅棹忠夫さんがインプットからアウトプットに至るまでに必要な技術、守るべき様式について書いた本。

    本を読むまで知らなかったのですが、戦後の文化人類学の大家として数々の著作を残された方です。

    個人的にこの方の天才ぶりを感じたのは下記の文章。

    わたしは、たとえばコンピュターのプログラムのかきかたなどが、個人としてのもっとも基礎的な技能になる日が、意外にはやくくるのではないかとかんがえている。(中略)社会が、いままでのように人間だけでなりたっているものではなくなって、人間と機械とが緊密にむすびあった体系という意味で、いわゆるマン・マシンシステムの展開へすすむことが必至であるとするならば、それも当然であろう。(p.15)

    情報の時代における個人のありかたを十分にかんがえておかないと、組織の敷設した合理主義の路線を、個人はただひたすらにはしらされる、ということにもなりかねないのである。(p.18)

    この書籍の初版が1969年。今から50年前に書かれた文章です。おそらく当時これを読んでピンと来た人はそう多くはなかったのでなないかと思います。

    50年後の今まさに議論されていることを言い当てられていて、その未来予測力にただただ驚かされました。

    本題の「知的生産の技術」についても、非常に勉強になる部分がたくさんありました。

    いかんせん50年前の本なので、内容をそのまま適用するのが難しい場合(例えば切り抜きやタイプライターの使い方など)もありますが、今あるITツールに置き換えて実践することも十分可能です。

    アイデアを発想し、それをかたちにする技術や心得について学べるので、興味がある方はぜひ読んでみてください!

  • 「仕事にすぐ効く 魔法の文房具」に載っていた。「『自分』というものは、時間とともに、たちまち『他人』になってしまう」という文の紹介とともに。
    この文は「カードとそのつかいかた」の章と、「日記と記録」の章でみられた。

    *学内図書館にて借りる
    この本を読んで、一番言いたいのが「とても読みやすい!」ということ。
    タイトルや発行年を考えてもぜったいに読みづらいものだと思い込んでいただけに驚いた。
    むずかしいものが苦手な人はぜひ読んでみてほしい。

    内容としては、タイプライターのくだりなど古さを感じたりするところもあるが、国語教育の問題などいまでも通じる話題もあったり面白い。
    読書方法や手紙の書き方なんて、小学校では学ばなかったなあ。
    watashi naraba ro-maji no tegami ha hoshiku nai na.
    なぜなら、読みづらいから!

    原稿の章で、(理系の学生に)レポートを提出してもらったさい、レポート用紙で提出する学生に苦言を呈していた(原稿用紙で提出する方がよいらしい)のと、ひらがなタイプライターの試作品20組のうち、一つが石原慎太郎氏のもとにあるというエピソードが、どこか時代を感じさせていいな、と。

  • 古いがまだまだvalid。

    みんな試行錯誤していることがよくわかる。
    最適なシステムは、環境によって変化するのだから、万人にとって完璧なシステムなど存在しない。あるのは、原則だけ。
    この原則は時代が変わっても変化しない。
    そして、この本で論じられているのは原則。
    だから、この本はまだまだvalid。

    タイプライターの歴史は非常に面白く思った。
    全てひらがなの手紙を書いていたとは恐れ入った。

    これとてまだvalidだと思う。
    僕は、ローマ字入力→変換しているけど、
    英語を打つときは、変換なし。
    そもそもかな入力が自然で、労力も半分で済むはずなんだ。

  • いまや「古典」といってもよいであろう一冊。情報化社会となって久しい今日、私たちの周りには膨大な量の情報(あえてここでは重要性・種類を問わない)が氾濫した。そして、私たちは改めて気づかされる。「情報≠知」であると。むしろ、情報単体での価値は、低下したといっていい。では、私たちは、この大量の情報をどのようにして整理し、意味付けし、ある一定の文脈をもつ「知(知識ないし思考)」に練りあげていけば良いのか。その過程こそ、まさに「知的生産」であり、この本がいわんとするところである。現代版や類似本は多数出版されているが、原典に当たらずして、語ることなかれ。一種の通過儀礼として、一度頭に読み込ませておきたい一冊だ。

  • 時代は移り変わり、科学技術は進歩したが、この本で述べられている知的生産の技術はなお色あせることはないと感じた。むしろ、進歩した科学技術を組み合わせることでより有効なものにできる。

    個人的には、カード・システムはEvernoteで代用できると思う。ミニ論文をEvernoteに、そこから発展した長い文章はブログに、という風にしていきたい。今までも、思いついたアイデアは随時記録していたので、より発展させたい。

    ☆4なのは、タイプライターのくだりはあまり現在においては有効ではないと感じたから。

  • 感動の域に達しました。生涯最高の書のひとつです。

  • 2020年は梅棹忠夫先生の生誕100周年ということで、先生の業績が再注目されました。50年も前の著書ですが、情報の整理の仕方やアウトプットの技術に関する記述は、今にも通用するものであり全く色あせていません。

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000285527

  • 自分の読書を知的生産につながるものにできないかと読みました。
    今はもっとその目的にあった本がありそうだと感じましたが、書かれていることは概ね納得です。

    知識だけでなく、知識獲得の仕方や知的生産の仕方を教えることの重要さはこんなにも昔から語られてきているのに・・・と憤りや不甲斐なさも感じるところであります。

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著者プロフィール

梅棹忠夫

一九二〇年(大正九)、京都市に生まれる。四三年、京都大学理学部卒業。学生時代の白頭山登山および大興安嶺探検隊以来、調査、探検の足跡は、ひろく地球上各地にしるされている。京都大学人文科学研究所教授、国立民族学博物館長を経て、同館顧問・名誉教授。専攻は民族学、比較文明学。理学博士。九四年、文化勲章受章。二〇一〇年(平成二十二)、死去。著書は、『東南アジア紀行』『サバンナの記録』『文明の生態史観』『知的生産の技術』『地球時代の日本人』『日本とは何か』『情報の文明学』など。いずれも「梅棹忠夫著作集」(全22巻、別巻1)に収録。

「2020年 『女と文明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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