数学の学び方・教え方 (岩波新書 青版 822)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004160076

感想・レビュー・書評

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  •  小学校で習う算数は、当然、易しいものから難しいものへ、順序よく並べられているはずのものです。しかし、それがどういう理論で体系づけられ整理されているのか、あまり深く意識したことはありませんでした。

     今から実に35年前に書かれたこの本では、その理論と体系を、水道方式の生みの親である遠山先生が、ずばり分かりやすく解説しています。

     序 章
     第1章 量
     第2章 数
     第3章 集合と論理
     第4章 空間と図形
     第5章 変数と関数

     序章では算数の特性に触れながら、黒表紙、緑表紙、水色表紙と呼ばれた古い教科書の話題などが出てきます。残念ながら当時の教科書は見たことがないのですが、今とどのように違っているのか、興味深い内容です。それにしても、今はカラフルなイラストを用いた表紙の教科書ばかりですが、当時は単色の表紙だったのでしょうか?

     私が一番興味深く読んだのは1章と2章です。量と数の関係がよく分かると同時に、新しい発見がいっぱいありました。また、今の教科書で学習する順序にも、ずいぶん反映されているように思いました。大学生の頃、外延量と内包量の話はいまいちピンと来なかったのですが、今読むとよく分かりました。

     第3章の集合の話は、当時算数教育に持ち込まれたばかりで、いわば旬の話題だったのだと思います。現在も集合の考え方が残っていないわけではありませんが、小学校算数の表舞台からは姿を消してしまいました。やはり難しすぎたのでしょう。私も読み進めるうちに頭が痛くなりました。

     第4章の空間と図形は、今の図形教育と大きく考え方が違って興味深いです。遠山先生の考え方で教科書を作るとすれば、どんな教科書になるのか、見てみたい気がします。

     最後は関数です。今の小学校では、関数についての学習が大幅に減らされてしまっているので、ぜひ今後の復活を期待したいと思います。

     全体的に見て、小学校の算数教育について多くの示唆を与えてくれます。今の流れとは違う部分も多いのですが、算数に興味がある小学校の教員であれば、ぜひ一読する価値のある本だと思います。かといって、教員以外には価値のない本という意味ではありません。算数の体系の全体像を眺め直すことで、新しい発見がきっとあると思います。チャンスがあれば、ぜひ手にとって眺めてみてください。

  • 難しい本だけど、読んで良かった~。
    と同時に、自分が小学生中学生だった時の先生達は遠山氏のこういう本って読んだことあったのかな?と思った。
    遠山氏の考え方教え方をちゃんと理解して、どうやったら子供に分かりやすく算数数学を教えようかと腐心してくれる先生に出会っていたら、こんなに算数嫌い数学嫌いにならなかったと思う。(ちょっと悲しくなった。)
    小学校算数ではあまり意識されないのかもしれないけれど、量と数や、分数の教え方など、とても勉強になった。

  • まずは理解は二の次、速さ重視で読んで見たが数学だけあってさらりと頭に入ってくる内容ではありませんでした。
    ただ頭には入らなかったものの、なんか面白そうなことが書いてあるのはなんとなく分かりました。
    もう少し簡単な数学の本を読み込んでからリベンジしたい1冊です。
    従って現時点での評価はしません。

  • 子どもへの数学(算数)への教え方を考えた本だが、大人が読んでも参考になる部分は多い。
    なんとなく「そういうものだ」と暗記してきた基礎的な部分(量や分数の割り算など)を改めて理解し直すことができた。

  • (2016.07.15読了)(2016.07.03購入)(1984.05.10・第15刷)
    「数学入門」上下巻を読んだので、同じ著者のこの本も読んでしまおうと購入しました。
    「数学入門(上)」遠山啓著、岩波新書、1959.11.17
    「数学入門(下)」遠山啓著、岩波新書、1960.10.20
    算数や数学を教えるうえで、どのように教えたら子供たちは理解しやすいのか、どのようなところでつまずきやすいのかを述べた本です。
    導入の時にはわかりやすくても、先に進んでゆくと、最初の説明とは違う考え方をしてもらわないといけないのでは、ついてこれない生徒が出てくるので、できれば先へ進んでも同じ考え方で、理解できるのが好ましいということです。
    椅子が5個、子供が3人います。子供を椅子に座らせると、椅子はいくつ余るでしょうか?
    5個 - 3人 = 2個
    などと書くわけにはいかないでしょう。
    何気なく計算して答えを出しているけど、どう説明したらいいかとなると何ともむつかしいですね。
    足し算をやると、繰り上げで引っかかる。分数の足し算となると、通分しないといけない。
    引き算をすると、繰り下げで引っかかる。そのうち、マイナスの数も出てくる。
    掛け算をすると、九九を覚えないといけない。小数が出てくると位取りを考えないといけない。マイナスが出てくると、どうしてマイナス同士をかけるとプラスになるの?
    割り算をすると、いくつたてればいいのかを試行錯誤しないといけない。分数同士の割り算となると、さてどうしたもんだろう。
    どんなところで、つまずきやすいのか、どういう説明がいけないのか、など、あまり気にしていなかったところにいろいろと問題が転がっていることを教えてもらいました。
    実際に小学校で、算数を教える方には、「水道方式」についての本が別に出ていますので、そちらを参考にするといいのでしょう。

    【目次】
    はしがき
    序章
    第1章 量
    第2章 数
    第3章 集合と論理
    第4章 空間と図形
    第5章 変数と関数
    もっとくわしく知りたい人のために

    ●理解できる(ⅰ頁)
    数学はもちろん、そのはじまりである小学校の算数も、適切な教え方さえすれば、すべての子どもに理解できるはずのものです。
    ●度量衡(9頁)
    度量衡というときの度は長さ、量は体積で、衡は重さです
    ●量(10頁)
    二つのものを比べて大きい、小さいを知るということが量の出発点です。
    ●体積と温度(22頁)
    物を二つ合わせたとき、体積は足し算をすればいいのです。
    温度では、どうでしょうか。一方のバケツの中の水が20度で一方が30度であるときに、合わせたときに50度にはなりません。
    ●時計と時間(29頁)
    いままでは時計の読み方ばかり教えていたので、時計のない部屋では時間が流れていないと思っている子がたくさんいます。
    ●掛け算は足し算の繰り返し(35頁)
    掛け算は足し算の繰り返し、つまり累加であるという教え方をしておくと、後で行き詰まるのです。
    それは2×1です。これはたし算をぜんぜんしないで、2という答えが出てきますから、子どもは2×1とまどってしまいます。
    ●度と率(38頁)
    度というのは、何かの入れ物のなかに中身が分布されていて、その混み具合という形で出てくるものをだいたい度といいます。(密度、速度、温度)
    率というのは、同じ種類の量の二つの数を比べるとき、その割合として決まるものです。(利率、確率、濃度)
    ●新しい量(39頁)
    かけ算とわり算はすでに知られている量から、つぎつぎと新しい量を創り出す力をもった計算法なのです。
    ●位取り(66頁)
    10を10と書くということを教える前に、ぜひとも0の意味と位取りを教えなければいけません。
    (子どもは10を一つの字として覚えます。その考えで行くと11を101と書きます。)
    ●静止から運動へ(176頁)
    中世期までは自然科学はおおむね変化しない不動のものを研究していました。しかしルネッサンスから近代の始まりにかけて、動いたり、変化したりするものを研究し始めました。地上で放り上げられた小石はどのような道を描くのか、あるいは太陽の周りをまわる遊星はどのような法則に従って運動するのか、という新しい形の問題が登場してきたのです。

    ☆関連図書(既読)
    「無限と連続」遠山啓著、岩波新書、1952.05.10
    「数学入門(上)」遠山啓著、岩波新書、1959.11.17
    「数学入門(下)」遠山啓著、岩波新書、1960.10.20
    「現代数学対話」遠山啓著、岩波新書、1967.05.20
    「競争原理を超えて」遠山啓著、太郎次郎社、1976.01.31
    「水源をめざして」遠山啓著、太郎次郎社、1977.01.25
    (2016年7月20日・記)
    (amazonより)
    数学は、適切な教え方さえすれば、すべての子どもに理解できるはずのものである。こうした観点に立って、明治以来の数学教育の欠陥を指摘し、数学の土台と思われる量、数、集合と論理、空間と図形、変数と関数について、ていねいに説明する。父母、教師ならびに日本の教育の現状を憂慮するすべての人びとに贈る。

  • 全体としては勉強になった。

    ただし、出版時期が1972年とだいぶ古い。古いが、未だ増版されていることから、需要がいまだにあると言える。現代にも通ずるとこがほとんどで、教育の課題はいまだに解決されていないことがうかがえる。

    理系にありがちな言葉遣い(使用する言葉・表現など)が良くないと感じた。読みづらく、理解しにくい部分が多数ある。

    また、教育方法に正解が一つであるかのような気が感じられる。しかし、数学を解く上では感性的な部分もあり、解法は多数あるので、教育においてもいくつものバリエーション(個別の対応)が必要に感じた。

    さらに、数学教育を学問として系統分類して、理解しやすくすることは重要であるが、教育する上で子供たちが理解しやすくするための分類とは異なると思った。

  • 量の体系と四則演算の考え方
    数学の中で量の体系と四則演算の考え方が参考になった。
    外延量・内包量と掛け算割り算の関係が特に参考になった。

    外延量:広がりを表す量。加算可能。体積,長さ,質量,時間など
    内包量:内容内に包んだ性質を表す量。密度,濃度など。加算不可。

    かけ算は足し算の繰り返しと考えると分数や0の演算で説明がつかなくなる。
    「1あたり」の量に容れ物の広さをかけて中身の量を出すと考える。
    2×3だと,2は1あたりの量。3はいれものの広さ。

    参考文献はなくて著者の勝手な解釈にとどまったのが残念だった。

  • 1章.量
    2章.数
    3章.集合と論理
    4章.空間と図形
    5章.変数と関数

    数学に興味のある方、数学を教える立場にある方向けの本です。
    分数の掛け算、割り算、最大公約数の求め方など学校を卒業してかなり経つ方にも「なるほど!」と思える内容です。

  • 数を量として捉える部分が面白い。
    小学生にタイルと数と数詞を常に参照させながら関連づけて教える必要があるという点で私はこの部分が良くできていないから数自体が苦手なのだと分かった。
    前半の連続量・分離量のあたりが良い。

  • 数学の分かっているつもりで
    分かっていなかったことを理解出来る本。

    分数の割り算をひっくり返すというなど
    そういうものだと思ってきたことを
    タイルなど分かりやすく説明してくれる。

    関数や変数、アルゴリズムという言葉の
    本来の意味も説明されているので、
    文系のプログラマーは読んだ方が良い。

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