栽培植物と農耕の起源 (岩波新書 青版 G-103)

著者 :
  • 岩波書店
3.63
  • (16)
  • (43)
  • (47)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 659
感想 : 51
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004161035

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 宮崎駿が「出発点ー1979〜1996」の中で、「ものの見方が変わった」と推していた本を読んでみた。
    Amazonで購入。
    タイトル通り、米やコムギ、イモなどの栽培作物の起源と伝播の仕方を研究した硬い本。
    とても興味深かったが、一度読んだくらいではちっとも頭に入ってこない。
    ただ人類が野生の草からどうやって米やコムギを作り出しやがて農業として栽培していったか、なんていうことは言われれば確かにそういう過程を経たのだろうが、あんまり考えたことはなかったな、と思った。
    そういう意味ではたしかに、ものの見方は変わるかも。
    なんにせよ、一読したくらいではあんまり理解できないです。

  • しばらく前に金曜ロードショーの『もののけ姫』を観て、改めてその世界観やら今に通じるところとかをいろいろと考えさせられて、もののけ姫の考察的なサイトを読み漁っていたところで辿り着いた本。もののけ姫やトトロは照葉樹林文化論に基づいているとかで、そういう太古の森の話かなと思って読み始めてみると全然違った。野生植物から良い品種を選び出し、それをどのように栽培植物化して改良していったか、それがどれだけ文明発展の重要な基礎になったかということがエリア別・品種別に述べられている。読み進める中で、昔感じた素朴な疑問も思い出した。中1の歴史の授業では、「弥生時代に大陸から稲作が伝来した」と習ったけど、あんな水田なんていう複雑なものを最初に考え出した人すごすぎるだろと思った記憶がある。当然いきなり水田で栽培したわけではなく、湿地に自生する野生の稲を採集し、良い品種を選んで栽培・改良した結果が日本に伝来したと言われる稲作の姿ということらしい。読んでみると当たり前のようにも感じるけど、そこには長い年月をかけた数え切れない試行錯誤があったことだろう。そこには人類の歴史の基礎となる劇的な進歩があったのだと思い知らされる一冊だった。

  • 農耕からホモサピエンスの文明が大きく発展したことはよく知られている。しかしながら、どのようにして主食となる作物を作ってきたかは知らなかった。
    さまざまな試行錯誤と努力と観察があって初めてこれらのことは成し遂げられたのだろうと思う。そう思うと、いくつかの農耕の起源が実に尊いことに気がつく。
    小麦などを主食とする人以外が多いということにも驚いた。

  • アグリカルチャーがカルチャーの一環であるとする著者が、各地を回って調べたもの。
     農耕文化単一起源説を否定し、起源地はアフリカ、中近東、メキシコ、東南アジアの四系統であると唱える。
     さらに、メソポタミアで発生した農耕文化は、それ以前に東から来たとする説を紹介する。
     文章はわかりやすく、面白い。

  • (1993.07.27読了)(1992.10.01購入)
    内容紹介 amazon
    野生時代のものとは全く違った存在となってしまった今日のムギやイネは、私たちの祖先の手で何千年もかかって改良に改良を重ねられてきた。イネをはじめ、ムギ、イモ、バナナ、雑穀、マメ、茶など人間生活と切り離すことのできない栽培植物の起源を追求して、アジアの奥地やヒマラヤ地域、南太平洋の全域を探査した貴重な記録。

  • 【読前メモ】
    ・宮崎駿に影響を与えた本、らしい

  • 文化"culture"の元の意味は耕す"cultivate"から来ているという指摘は言われてみれば目から鱗。なるほど、農業"agriculture"はまさにカルチャーそのものってわけだ。マクニールの『世界史』が紀元前における農耕文化の発展に対してやたらとページを割いていたのも今となってはよくわかる。農耕文化とは技術や儀礼だけでなく、栽培植物の品種それ自体も含まれるというのはその通りだと思う。僕らが日々食べているご飯も何万年もの改良の跡が刻まれているわけで、美味しく食べられるってのは一つの歴史的行為なんだ。

  • 宮崎駿がもののけ姫をつくるきっかけになった本のうちの一冊にあげていたので読んだ。関連知識をもっていないので「そうなのかぁ」とおもっただけだったがおもしろかった。

  • 歴史上での記述と近代までの農耕の世界分布を、農耕文化複合の概念によって合理的に説明している。
    世界の農耕文化の時代を超えた全体像や、文明の初期段階における農業の発展が原始国家の形成に対し果たした役割などを具体的にイメージできるようになった。
    少し読み難い日本語で書かれていることと、新大陸原産の作物が殆どおまけ程度にしか触れられていなかったのが残念。発行が1966年なので現在の定説とは違う点もあるかもしれない。

  • 照葉樹林文化は、ヒマラヤから日本まで連なり、共通の自然資源利用形態を基盤とする文化。こういう人と自然の関わりを反映した文化っておもしろい。もっと詳しく書いてあったら良かった。

全51件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1916年(大正5年)愛知県生まれ.京都大学農学部農林生物学科卒.専攻は育種学,栽培植物学.1961 -1980年大阪府立大学教授.著書に『栽培植物と農耕の起源』『ヒマラヤの花』『秘境ブータン』『ニジェールからナイルへ』『照葉樹林文化』『料理の起源』『現代文明ふたつの源流』ほか


「2011年 『ブータンの花 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中尾佐助の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×