- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004200024
作品紹介・あらすじ
現代人は知識の巨大な集積に押しつぶされ、それを活用する知恵を失っているのではないだろうか。本書は、生きることとは何か、考えるとはどういうことかを、原点に立ち戻ってとらえ直す。平易な言葉で、現在の哲学が取り組んでいる諸問題を一つずつ吟味していき、知恵と知識の全体的な再統一をめざす試み。
感想・レビュー・書評
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この本は河合さんの本の中で、頻繁に参照先として紹介される。
中村さんの「魔女ランダ考」や「トポスの知」は読んでいて、そちらもおもしろかった。
河合さんと中村さんとの相性が良いのは、やはり、目指している世界が同じだからだろう。かたや心理学、かたや哲学、手法は違っていても、「人の全体性の重要性」を謳う思想は同じってことではないだろうか。
古い本だが、同じ日本人の西田幾多郎の善の研究などは文語調で内容理解以前の問題があったが、この本は難しくしないという前提で書かれているので理解が進む。
内容については、ほとんどが河合さんの本で学んだことと重なる。哲学という「切り口」は違っていても「切っている物」自体は同じ、みたいな。
私が過去に読んだ下條さんの「意識とは何だろうか」―脳の来歴、知覚の錯誤 (講談社現代新書)の脳科学からの論点と重なる部分が興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「自分は畢竟、自分でしかありえない。」
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平易な言葉で、現在の哲学が取り組んでいる諸問題を一つずつ吟味していき、知恵と知識の全体的な再統一をめざす試み。
らしい -
目次:
Ⅰ 哲学の現在
一 生きること考えること
二 知識と知恵の分裂
三 ことばの相のもとに
Ⅱ 感覚と想像の働き
一 感覚と知覚が開示するもの
二 見る・聞く・触る
三 イメージと想像力
Ⅲ 自己とその基盤をなすもの
一 意識と主体の自覚
二 身体の在り様と働き
三 関係性・場所・役割
Ⅳ さまざまな知
一 経験の構造と常識の両義性
二 科学的知の位相
三 神話と魔術の領分
Ⅴ 共同社会と歴史
一 目にみえる制度とみえない制度
二 必要原理と交感原理
三 歴史・出来事・時間
あとがき -
形而上学化されドグマともなった近代哲学はまずその哲学の内部からの批判がおこり、新しい哲学としての唯物論やプラグマティズム、実存主義などを発生させたが、ほとんど致命的だったのは「科学」の著しい発展であった。
著書におけるポストモダン的な思想はこのころから一貫しており、最近大学で講義を聴いた船木亨さんなんかもこの流れにあった。
哲学者名や術語を用いずに哲学する、というチャレンジングな試みの本だが、どうも内容が茫洋に感じられて捉えきれずにすんでしまったのは、こちらの頭が浅薄なスノビズムに侵され過ぎているせいのようだ。 -
教科書にも載ってますね。
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自分にとっては取っ付きにくい哲学というものを,分かりやすく解説している好著であると思う。
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P57
聞くこと:時間的な知覚
見ること:空間的な知覚
P62
見る、見られる -
20代前半に読んで、まだ本棚に残っている。
読んだことが今に活かされていればよいのだが。