世界史のなかの明治維新 (岩波新書 黄版 3)

著者 : 芝原拓自
  • 岩波書店 (1977年5月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004200031

世界史のなかの明治維新 (岩波新書 黄版 3)の感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    はじめに
    Ⅰ 欧米列強と日本
     1 幕府滅亡の政治的背景
     2 日本がくみこまれた世界
     3 在来産業の解体と再編
    Ⅱ 「天皇の政府」の誕生
     1 王政復古前後の政争
     2 内乱の開始と対外関係
     3 創られる政治的君主
    Ⅲ 国家統一への内因と外因
     1 国土分崩の危機と克服
     2 版籍奉還と藩規制の強化
     3 廃藩置県への道程
    Ⅳ 対外自立をめざして
     1 条約改正への夢と現実
     2 学制・徴兵令・地租改正
     3 征韓論と政府分裂
    Ⅴ 「立憲」と「国権」への軌道
     1 領有制の最終的解体
     2 東アジアへの国権拡張の端緒
     3 自由民権運動の胎動
    あとがき

    ******************
    二百数十年つづいた幕藩体制を一挙にくつがえし、日本の近代国家を産み出した明治維新。こ の歴史的大変革をひき起したものは何であったか。19世紀後半の世界とアジア・日本をめぐる国際情勢との密接なかかわりを明らかにしながら、幕府の倒壊、維新政権の樹立から自由民権 運動生成期にいたる歴史過程を描き出す。

    …というあらすじに惹かれて購入しましたが、国際情勢的な話があったのは最初の1節だけで残りはほとんど日本史の本でした。その理由はちゃんとあとがきにあります。

    ――――――――――――――――――
    (略)叙述の範囲を、すくなくとも東アジアにおける帝国主義的情勢の成熟の時期、日清戦争の勝戦と日本資本主義の確立=帝国主義への転化の時期にまでおしひろげなければならないことも、はっきりしていた。(略)
    とりわけ、かぎられた枚数でこの課題にたちむかっても、全体が抽象的な議論におわることをおそれざるをえなかった。
    そこで結局、むしろ反対に、対象をせまい意味での維新期に限定し、できるだけ具体的な歴史過程をフォローするなかに、世界と東アジアのなかでの維新と近代日本の進路をさぐり、その問題性を暗示することにした。
    (あとがき P221)
    ――――――――――――――――――

    というわけで、このテーマ新書じゃ無理だわ!!ってことらしいですw確かにそうだけどタイトル詐欺w
    内容自体も正直目新しいことはあまりなく…。まぁ初版が1977年なので、近代史研究の古典に入りかけるかもしれないのだから、むしろ私が今まで読んできた本に、この本で明らかになったことがのっかっていたのかもしれない。
    でも未だにこのテーマで論じる人は皆無(だと新書だと思ってるけどいるのかしら。)なので、むしろさらに逆に、抽象的でもいいから日本と当時のアジア、列強の情勢…日本の維新を受けて他国にどんな余波があったか…他国では日本をどのように取り上げていたか…来日する外国人、出国する日本人の割合とか…なんかそういうもろもろを時系列でみたかったなぁ…。

    面白かったのは、

    ――――――――――――――――――
    ところで、このエルギンやグローは、それぞれ中国遠征につづいて日本との通商関係の樹立をはたすべく、その全権を委任されていた。イギリス外相クラレンドンは、エルギンにたいして、中国との国交関係と同一の原則を日本との国交にもつらぬけ、とさえ訓令されていた。そして、中国の敗戦やこれらの情報が、いそぎ下田港に入ったアメリカ軍艦に乗って横浜沖にきた駐日アメリカ公使ハリスによってつたえられるや、幕府側は戦慄してしまった。ハリスは、「貴国のご危殆この時にこれ有り」、すでに用意されている日米条約に調印すれば、責任をもって英仏とのあいだに調停の労をとろうともちかけた。日本側代表の岩瀬忠震らも、「遂に英仏の矛先に屈するは大辱の甚しきもの」、両国艦隊「四十艘余の入津以前調判」のほかにはない、と大老井伊直弼にせまり、即刻の条約締結をしぶしぶ承諾させたのである。
    日米修好通商条約、これとほぼ同様の内容をもつ日蘭・日露の条約が、こうしてつぎつぎと調印された。さらに、うわさどおりに天津条約調印ののちに日本に渡来したエルギンおよびグローとのあいだに、日英・日仏の条約も、ひきつづき締結された。
    これらのいわゆる安政五カ国条約すべてに、中国にたいする英仏の侵略戦争が影をおとしていたことはいうまでもない。
    (p20)
    ――――――――――――――――――

    という部分。エルギンは、アロー戦争でイギリス軍の全権大使になった伯爵。グローは、同じくフランスの全権大使になった男爵。
    私が今まで読んできた本がどちらかというと倒幕よりだったこともあるのですが(もしくは私の読み込みが甘かった…)、このくだりは初めて知りました(もしかしたらすでに新しい見解があるのかもしれませんが、どの史料の記述か分からないにしろ、「」の部分は史料からの引用だと思うので、そんなに相違はないかと…)。ぼんやりとはそりゃ知っていたけど、なんだかここだけ読んだらいきなり井伊大老に興味津々(笑)

    そして個人的に

    ――――――――――――――――――
    当時の尊王攘夷運動の指導者のひとり、久坂玄瑞などは、それなりに東アジアをめぐるこのような情勢に敏感であった。かれは、「英仏の力を恣にして皇国に向ひ干戈を用ひざるは、支那の長髪賊(太平天国軍のこと)の勢威甚だ熾なるゆえなるべし。万に一にも長髪賊英仏に屈せば、英仏の我に寇する事必然ならむ」としたためている。
    (p21)
    ――――――――――――――――――

    の記述にキター!!と思いましたが、「それなりに」www確かに「それなりに」wwwそりゃ好きなだけ言い放って外国攻撃して亡くなった後の列強艦隊の後始末幕府に回ってきたとはいえww手厳しいww

  • 基礎としておさえておくべき作品

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