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- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004200376
感想・レビュー・書評
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戒厳令の概説、我が国における戒厳令の制定と発動事例、クーデターの手段としての戒厳令のわが国の事例に即した主張を経て、現代日本において戒厳令の立法を許してはならないとの主張に導く。
戒厳令は英米法でいうマーシャルローと、大陸法の戒厳令があり、前者が必要性が合法性を導くかわりに必要性の審査が司法もしくは議会によってなされるのに対し、後者はあらかじめ戒厳の権限が法律により授権されている点で違うとする。そして、日本の戒厳には、大陸法に端を発する日本の戒厳令であるのに、必要が合法を導くの論により恣意的に戒厳令を解釈したところに問題の一つがあるとする。
視座に偏りはあるが、戒厳令の研究として書籍で読めるものが少ない現状では、本書はそれなりの価値を持っているのではないだろうか。
一般に読める戒厳令についての本は、本書も踏まえた上での、戒厳令の軍事専制的側面だけでなく市民保護的側面にも着目した北博昭の「戒厳 その歴史とシステム」(朝日選書)があり、続けて読むと戒厳令に対する理解が深まる。
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