- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004200536
感想・レビュー・書評
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いやぁ、これは面白い。目からウロコの連続。日本語のベースにウチとソトの区別があるとか、そもそも日本語はウチの内部でしか使われてこなかったため主語を省略するとか、抽象名詞が少なく日本人は抽象概念を理解するのが苦手とか、もはや日本語文法の範疇を超え日本文明論になっている。そりゃそうだよね、思考は母語を介してしかできないんだから。どんな規則にも理由がある、ということを思い出させてくれる良書。
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学生時代
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日本語の文法にかんする著者の考えが比較的わかりやすく説明されている本です。
著者はまず、助詞の「は」と「が」のちがいという問題に取り組み、「既知」と「未知」という枠組みによって両者を区別するという意見を提出します。従来の研究では、「は」と「が」のそれぞれが一つの文のなかでどのような機能をもっているのかということに焦点があてられてきました。これに対して著者は、その文が置かれている文脈のみならず、話し手と聞き手のあいだに成立している了解といった状況をも含めて、それぞれのことばの機能が解明される必要があると主張します。
こうした著者の発想は、一般的に語用論においてあつかわれている内容を「文法」の研究に取り入れるものであり、ここだけ読むと議論がかぎりなく拡散していってしまうのではないかと心配してしまいますが、他方で著者は言語の歴史的形成過程についての議論によって上述のような主張を側面からサポートしており、恣意的な議論という印象はあまり受けず、おもしろく読みました。
「ウチ」と「ソト」の区別といった文化的な要素にかんする社会言語学的な議論から、日本語の文法を説明するというアプローチは、ややアクロバティックな議論のようにも思えますが、刺激的な内容の本であることはまちがいないと思います。 -
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2018/03/30 17:59:04
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「は」と「が」の違い。係り結びはなぜ発生して、また消滅したか。日本人は過去・現在・未来と直線的にはとらえていない。どうして活用形が発生したのか。などの興味のある話題が述べられている。
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いくつか納得のいかない説明はあるものの、ほとんどが目から鱗。日本語を勉強し始めて、インターネット検索に行き詰りを感じていたところだっただけに、今回の巡り合わせはおおいにありがたい。
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大野先生の興味深く、分かりやすい文法の解説書。文法がどのように成立して来たのかを解明する過程は推理小説を読むかのようで、知的好奇心を掻き立てられます。