物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

著者 : 朝永振一郎
  • 岩波書店 (1979年5月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004200857

作品紹介・あらすじ

現代文明を築きあげた基礎科学の一つである物理学という学問は、いつ、だれが、どのようにして考え出したものであろうか。十六世紀から現代まで、すぐれた頭脳の中に芽生えた物理学的思考の原型を探り、その曲折と飛躍のみちすじを明らかにしようとする。本巻では、ケプラーから産業革命期における熱学の完成までを取り上げる。

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  •  これは名著です。ただし残念ながら絶筆であり未完成。最終章は病床での口述筆記となっています。

     物理学そのものの詳細な中身ではなく、様々な法則を見出して行った先人達がどんな努力をしてきたか、それはどんな時代背景があったのか、科学と哲学や宗教との関係にも言及しながら丁寧に解説されています。

     力学から始まって熱学(熱力学)分野の記述にかなりのページを割いています。もし著者が亡くならなかったら、本来の専門である量子論まで及んだのでしょうか。だとしたら本当に素晴らしい、物理学を学ぶ物なら必ず読むべき一冊になっていたことでしょう。

     アインシュタインらが書いた『物理学はいかに創られたか』という本はいまいちでしたが、そのタイトルはむしろこちらにつける方がふさわしいと思います。

  • ノーベル賞受賞者:朝永振一郎がほとんど数式を使わずに、物理学の基礎を解説してくれる本。上巻の前半は、ケプラーからガリレオそしてニュートンへの流れを通して古典力学の導入を説明し、後半はワットからカルノーそしてクラウジウスへの流れを通して熱力学の発生を説明する。また、科学と宗教、科学と技術といった興味深い内容にも触れる。研究ができることと、このように科学の歴史をひもときながら初学者に向けて平易な解説をするのは異なる作業だと思うが、朝永がどのようにしてその二つを高い次元で達成したのかというのが面白い問だと思う。

  • (2015.11.24読了)(2006.10.29購入)(1984.04.10第13刷)
    【ノーベル物理学賞】
    著者は、1965年のノーベル物理学賞受賞者です。朝永さんの本を読んでみようと、何冊か買い集めたのですが、二年前に一冊読んで、やっと二冊目です。
    1979年7月8日に亡くなっているそうなので、この本が出版されて、間もなく亡くなられたということになりますね。
    「物理学とは何だろうか」と題されていますが、物理学史という感じです。物理学は、なにを対象にして、どのようにでき上がってきたのか、ということをわかりやすく説明しようとしているのですが。
    ケプラー、ガリレオ、ニュートン、あたりはわりと理解できていると思うのですが、ワットの蒸気機関に始まる熱力学のあたりは、残念ながらお手上げです。

    【目次】
    序章
    第Ⅰ章
    1 ケプラーの模索と発見
    2 ガリレオの実験と論証
    3 ニュートンの打ち立てた記念碑
    4 科学と教会
    5 錬金術から化学へ
    第Ⅱ章
    1 技術の進歩と物理学
    2 ワットの発明
    3 火の動力についての省察
    4 熱の科学の確立
    引用出典

    ケプラー[1571~1630]
    ドイツの天文学者。ティコ=ブラーエの学を継ぎ、火星の公転軌道を決定。またケプラーの法則の確立、ケプラー式望遠鏡の考案、天体表「ルドルフ表」の編集を通じて、近代天文学の先駆者となった。主著「宇宙の神秘」「世界の和声」。
    (デジタル大辞泉)
    ガリレイ(Galileo Galilei)[1564~1642]
    イタリアの物理学者・天文学者。振り子の等時性、落体の法則などを発見。自作の望遠鏡で天体を観測し、月の凹凸、木星の4個の衛星、太陽黒点などを発見してコペルニクスの地動説を支持し、教会から異端者として幽閉された。著「天文対話」「新科学対話」など。ガリレオ=ガリレイ。
    (デジタル大辞泉)
    ニュートン(Isaac Newton)[1642~1727]
    英国の物理学者・天文学者・数学者。運動の法則、万有引力の法則の導入、微積分法の発明、光のスペクトル分析などの業績がある。1687年「プリンキピア(自然哲学の数学的原理)」を著して力学体系を建設し、近代科学の範となった。
    (デジタル大辞泉)
    カルノー【Nicolas Léonard Sadi Carnot】1796‐1832
    フランスの技術者,物理学者。熱力学第2法則の原型ともいえるカルノーの定理を見いだしたことで知られる。フランス革命政府軍の政治家であった科学技術者L.N.M.カルノーの長男。1814年エコール・ポリテクニク卒業後軍務に服したが,24年休職を許され,以後科学研究に専念した。彼の関心は医学,道徳,政治,経済など広い範囲に及んだが遺稿の焼失が惜しまれる。最大の業績は,《火の動力についての考察》(1824)にまとめられた熱機関の理論において熱力学の最初の一歩を踏み出したことである。
    (世界大百科事典 第2版)

    ●物理学とは(5頁)
    「われわれをとりかこむ自然界に生起するもろもろの現象―ただし主として無生物にかんするもの―の奥に存在する法則を、観察事実に拠りどころを求めつつ追及すること」
    ●天文学(10頁)
    自然現象のなかに一定の法則があるだろうという点にかんして最も早く人目を引いたのは天体の運動でしょう。
    ●ニュートン(113頁)
    かつてガリレオによって実証科学の最も感嘆すべき特徴といわれたものがニュートンに至って最も完全な形で実現されたのです。しかもここで、ケプラーによって発見された天界の法則と、ガリレオによってつきとめられた地上の法則とは、厳密な数学によって一つの法則体系のもとに統合されたのです。
    ●吸い上げポンプ(141頁)
    井戸や河の水を吸い上げるのにポンプを用いるという技術はいつごろ誰が考えついたのか知りませんが、すでに十六世紀ごろ、吸い上げポンプでは約十メートル以上水の吸い上げができないことをポンプ職人たちは知っていました。
    (大気圧の発見につながった)
    ●熱に起因(154頁)
    地球上でわれわれが目にする大気の擾乱、雲の上昇、降雨、その他もろもろの大気現象はみな熱に起因するし、地震や火山の原因もみな熱にある、と彼(カルノー)はいい、熱がいかに大きな動力を、今日の言葉でいえば大きなエネルギーを、そのなかに含んでいるかについて述べています。

    ☆関連図書(既読)
    「鏡の中の物理学」朝永振一郎著、講談社学術文庫、1976.06.30
    (2015年11月26日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    現代文明を築きあげた基礎科学の一つである物理学という学問は、いつ、だれが、どのようにして考え出したものであろうか。十六世紀から現代まで、すぐれた頭脳の中に芽生えた物理学的思考の原型を探り、その曲折と飛躍のみちすじを明らかにしようとする。本巻では、ケプラーから産業革命期における熱学の完成までを取り上げる。

  • 良質な読み物。最初に、物理学とは何か、をケプラー、ガリレオ、ニュートンの力学を通して語り、次に科学と技術の関係を取り上げつつ、熱力学の数式化を図る。どちらも歴史的変遷を踏まえており、教科書的ではないのが、読み物として面白いのだ。熱力学は紙と鉛筆準備して臨んだ方が理解が深まるだろう。

  • No.63
    東大教授おすすめ

  • 我々が勉強する物理学は、これまでの数多くの研究者によって築き上げられたものである。
    しかしながら、教科書にはその結果しか示されておらず、それらを導くために研究者がどれだけ苦労し、試行錯誤したかを理解することは難しい。
    本書を読めば、有名な式の導出の苦労を研究者とともに味わうことができる。
    (化学・物理化学系教員)

    理数理 トモナ||2||6A 20003258

  • うーん。

    なるべく包括的で、式が出てこないものを!
    と思ったのだけど、難しかったー。

    物理学の起こり、占星術や錬金術との関係から始まるのだが、「きちんとデータを出してやろうよ。」と思った人がいたんだなあ。
    パラダイムというか、当時の人々の考え方を覆すには大きな苦労を伴ったんだな、ということがよく分かる。

    神様が創りだした未知なるもの、が解明されていくスピードの速さたるや。
    人間って物凄く恐ろしい存在だと思う。

    文系畑の人間でも、読んでなるほど、という所まで掴める。ただ、その先に行けないことが非常に悔しい。。。

  • 2013/04/30-2013/05/06
    ☆3~4?

    東大駒場図書館KOMEDコーナーにあった本

    タイトルそのまま「物理学とは何か」を物理学の歴史にそって考えていこうとしている本。ただし著者の朝永さんが下巻を書いている途中に逝去されたため未完。
    上巻では、ニュートン以前の力学から熱力学のさわりまでの歴史が説明されている。

    つまり、物理学がどういう思考方法で今のようになっていったかを解説していこうとしているわけだ。ニュートン以前の力学からニュートン力学という、どこでも統一的に使える公式を持った物理ができるという流れと、技術と科学の兼ね合いをとりながらできていった熱力学の流れ。

    物理学を知らない人でも読めるように工夫がしてあって、これなら多分文系の方でも困らずに読めるとは思うが、逆にデメリットとして、あんまり歴史の深い所、すなわち難しい数学が必要な所まではすすめていない。
    まあそこまですすめようとしたら上下巻では済まなかった気もするが。

    科学史から物理学を見てみたい人にはお勧めするが、現代の物理学観と照らし合わせてどうか、というのは僕にはよく分からない。

  • 【推薦文】
    この本は、物理学がどのように発展してきたかということと物理学の重要な概念を簡単に説明した名著である。内容は天体の運動といった力学やエントロピーといった熱力学・統計力学の話題が中心である。文系の人や物理学を専攻としない人でも気楽に読め、物理学とはどういう学問か雰囲気を味わうことができるだろう。
    (推薦者:知能システム科学専攻/M2)

    【配架場所】
    大岡山: B1F-一般図書 420.2/To/1, B1F-文庫・新書 081/Ic/85
    すずかけ台: 3F-一般図書 420.2/To/1

  • ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎が、「物理とは?」をテーマに書いた本。
    物理学史のような側面もあるが、重視されているのは発想のリレー。すなわち、誰がどんな着想を得、それを引き継いでどう発展させてきたか。
    読みやすいし、非常に為になる。

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