子どもとことば (岩波新書)

  • 岩波書店 (1982年1月20日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004201793

感想・レビュー・書評

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  • 言葉以前、言葉以降、この辺りがしっかり書かれているし、弊害というか、問題点もしっかり書かれている。
    一度は読んでいいかもしれない。保育や子どもと関わる人は。

  • 言語を用いて一般化を行うという話はよく知られており、理解した気になっていたが、本書では子どもの視点で世界を言葉によってどう切り分けるかという点が丁寧に説明されていた。本書での例では、確かに公園にいた自分とご飯を食べた自分という存在を同一視することは、"ぼく"という概念を得なければ難しいという話があり、自己認識も命名によって外界と自身を切り離す行為だというのは目から鱗だった。

    言葉を得ることによって、自身の体験から離れたものを言語化できるようになったこと、これは確かに世界の認識を広げた。しかし、その実態のないものだけが(自身の)世界を形作っているのかもしれないと疑うことも必要だと感じた。自身の体験したものを言語化できるように自己を形作りたい。

  • これは哲学書。

    普段特に意識することなく話していることばも、初めて話し始めるまで日々いかに奮闘していたかと思うと感慨深い。

    新書だが骨太な一冊。

  • 人間の生物学上いちばん大きな特徴は、二足歩行と言語の使用にある。言語を駆使し生活の中心手段としていく点で、ことばは人間を人間たらしめていると言える。
    赤ちゃんは9か月頃から、音声をことばの体制の中へ組み入れていく。
    言葉による対話が成立するためには、
    ①音声が意味を担っている
    ②自分の音声を社会的交渉の手段として用いる
    ③同じ特定の音声が担う意味が自分と他人との間で共有される
    ことが必要となる。

  •  多くの教科書、参考書の引用・参考文献として載っている、子どもの言葉についてのバイブル的存在。今現在の読者の立場では、同様のことを書いたテキストはたくさんあるが、この本は文章が格調高く、教科書としてだけ読むのではもったいない、洞察の深さがある。作者が後に「幼児期」で明らかにした現代社会に対する不安がすでに見えるからであろう。言葉以前の乳児期の、保育者との豊かなコミュニケーションが、言葉を育む土壌となるという立場で、丁寧にその意味を説き明かしていく。また言葉を獲得してからの幼児はまた言葉の発達とともに、他の情動や認知も発達していくという後半も改めて勉強になる。言葉を使って自分の気持ちを表現し、自己抑制していく。知識の定着にはアウトプットが大事だという説など、世の中の勉強法はすべて子どもの発達の方法を見習っているのかなと感じた。

  • 子供が産まれてどうやって言葉を獲得するか気になったので。m、b音から発音するとかどういう言葉をしゃべるとか具体的なことを知りたかったけどどちらかというと人間が言葉を話すとはどういうことかという部分に視点が置かれてそれはそれで良かった。確かに赤ちゃんが言葉を話す前には「母など周りの環境」「コミュニケーションを取ろうとする姿勢」「発音する声帯」「事物を象徴するシンボル性の概念の獲得」など様々なことが揃わないといけないことが分かった。

  • 子どもが言葉を習得するプロセスを丁寧にたどりながら説明する。引用文献が明示されておらず、リストもないのがちょっと不満。

  • 「ことば」について学んでいくと、必ずこの本にたどり着く。

    一次的言葉と二次的言葉。
    コミュニケーションと言葉の関係

    冬の長期休みでじっくりと読み深めたい。

  • 被験児Nが使うニャンニャンという音声が四足獣や毛束状のものに対して用いられていて、さらに応用としてニャンニャンクック(白房の付いた靴)や、クロニャンニャン(黒斑の犬)などのように使われている、ということを知って感じたのは、古代人の語彙形成も最初期はこのような感じだったのではないかということ。
    ことばは外的事物を指示すると同時に、発話者のその事物に対する恣意性をも表し、言い表したい語がなければ創造や借用によって表現技法を豊かにしていく、という意味合いのことを著者が書いているが、古代人も、生活の中で自らの感受したものを感覚や印象によって自分の中で整理、関連付けをし、音声に様々な、しかし一定の法則に則った意味を持たせてきたのではないか。

  • ◆きっかけ
    Amazon2017/6/11

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著者プロフィール

元 京都女子大学文学部教授京都教育大学名誉教授2009年逝去

「2016年 『意味の復権[新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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