- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004201793
作品紹介・あらすじ
子どもがことばを話しはじめる。これほど愛らしい光景はないが、その内部では、ことばを獲得するための激しい戦いが繰りひろげられている。子どもはある時点に至らないとなぜ話しはじめないのか。ことば以前のコミュニケーションに注目し、どのようにことばが生み出され、そのことばが子どもの発達をどう方向づけるかを語る。
感想・レビュー・書評
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言語を用いて一般化を行うという話はよく知られており、理解した気になっていたが、本書では子どもの視点で世界を言葉によってどう切り分けるかという点が丁寧に説明されていた。本書での例では、確かに公園にいた自分とご飯を食べた自分という存在を同一視することは、"ぼく"という概念を得なければ難しいという話があり、自己認識も命名によって外界と自身を切り離す行為だというのは目から鱗だった。
言葉を得ることによって、自身の体験から離れたものを言語化できるようになったこと、これは確かに世界の認識を広げた。しかし、その実態のないものだけが(自身の)世界を形作っているのかもしれないと疑うことも必要だと感じた。自身の体験したものを言語化できるように自己を形作りたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間の生物学上いちばん大きな特徴は、二足歩行と言語の使用にある。言語を駆使し生活の中心手段としていく点で、ことばは人間を人間たらしめていると言える。
赤ちゃんは9か月頃から、音声をことばの体制の中へ組み入れていく。
言葉による対話が成立するためには、
①音声が意味を担っている
②自分の音声を社会的交渉の手段として用いる
③同じ特定の音声が担う意味が自分と他人との間で共有される
ことが必要となる。 -
子供が産まれてどうやって言葉を獲得するか気になったので。m、b音から発音するとかどういう言葉をしゃべるとか具体的なことを知りたかったけどどちらかというと人間が言葉を話すとはどういうことかという部分に視点が置かれてそれはそれで良かった。確かに赤ちゃんが言葉を話す前には「母など周りの環境」「コミュニケーションを取ろうとする姿勢」「発音する声帯」「事物を象徴するシンボル性の概念の獲得」など様々なことが揃わないといけないことが分かった。
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子どもが言葉を習得するプロセスを丁寧にたどりながら説明する。引用文献が明示されておらず、リストもないのがちょっと不満。
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「ことば」について学んでいくと、必ずこの本にたどり着く。
一次的言葉と二次的言葉。
コミュニケーションと言葉の関係
冬の長期休みでじっくりと読み深めたい。 -
被験児Nが使うニャンニャンという音声が四足獣や毛束状のものに対して用いられていて、さらに応用としてニャンニャンクック(白房の付いた靴)や、クロニャンニャン(黒斑の犬)などのように使われている、ということを知って感じたのは、古代人の語彙形成も最初期はこのような感じだったのではないかということ。
ことばは外的事物を指示すると同時に、発話者のその事物に対する恣意性をも表し、言い表したい語がなければ創造や借用によって表現技法を豊かにしていく、という意味合いのことを著者が書いているが、古代人も、生活の中で自らの感受したものを感覚や印象によって自分の中で整理、関連付けをし、音声に様々な、しかし一定の法則に則った意味を持たせてきたのではないか。 -
◆きっかけ
Amazon2017/6/11 -
烏兎の庭 第二部 書評 1.21.06
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/bunsho/kodomoy.html -
こどもが言葉を獲得することを、発達の一部とみなし、ことば獲得に至るまでに、こどもが高めていくコミュニケーション力についても論じている。30年以上前に書かれたものだが、興味深い点が多かった。逆に、この30年あまり、著者が提議している課題がどれほど研究されてきたのか、あおの成果も興味が湧いた。
(2015.7) -
勉強になりました。