- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004201854
感想・レビュー・書評
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学術的なことが書いてあるし、昔の本だから文体もかたい。本文を引用しながら“いつ頃書かれたのか”などを解説しているので、教科書で読まなかった部分も読める。
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『徒然草』の成立過程とその思想の変遷をリンクさせて解説している本です。
西尾実によって『徒然草』はおおよそ第三十段あたりを境に第一部と第二部に分けられるという説が提出されたのにつづき、松本新八郎によっておおよそ第二百段を境に第二部と第三部を区別する説が示されたことを著者は紹介しています。本書は、この二つの説にもとづきながら、とくに鎌倉末期の南北朝の動乱の時代において、兼好がその無常観にもとづく思想を構築していった過程と、その後の新しい時代状況に対して積極的にこたえることができなくなっていった過程を、それぞれ第二部と第三部の思想を読み解きつつ説明しています。
専門研究の成果を踏まえつつ、『徒然草』の魅力をわかりやすいことばで一般の読者に解説している本で、新書にふさわしい内容だと感じました。 -
岩波新書の復刊は、本当に助かる。
「徒然草」は、研究としては出尽くした感があるようだ。
本書では、「徒然草」を三部に分け、それぞれいつの時期に書かれたものかということや、内容から兼好の成熟を見ている。
面白いのは、序段「ものぐるほし」の対象について。
「枕草子」や「源氏物語」の影響を挙げながらも、そこを乗り越えて人の心や欲に迫った兼好の姿を見せてくれた。
一冊である程度まとまった理解を養ってくれる。 -
永積安明の『徒然草』の読みは、定説にそったものである。特に目新しい事柄は記述されていない。氏の主眼点は中世文学の文学史的な評価である。氏は『徒然草』と『平家物語』を比較して、『平家物語』をよりすぐれた作品と評価した。『徒然草』が虚構であるという説には、何も触れてはいない。
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断片的に読んだ。
徒然草の時代背景や吉田兼好の生涯を考えながら読み進めていく。
テキスト自体の読解もあるが、背景の理解に紙幅が裂かれている。
若き日の兼好、過去の栄華に対するものぐるほしい思い、その葛藤から始まる。兼好の考え方が揺れ動く。