一揆 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004201946

作品紹介・あらすじ

日本の中世は一揆の時代といわれる。この時期、あらゆる階層や地域に、共通の目的達成の手段として一揆が結ばれた。これら一揆とよばれる特異な集団は、どのような論理で結ばれ、支えられていたのか。一揆内部の作法や参加者の意識に光を当て、日本社会を深層から規定する集団形成のあり方を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 古代から近世に至る、一揆の思想史的な観点からまとめられた本。
    一揆を結ぶに際して、神慮を体現する者と捉えて、(わざわざ乞食コスプレをして異形の体を纏ってまで)自己正当化を図ったというのが面白い。
    延暦寺や興福寺の僧兵どもがなぜ「神社」の神輿や神木を担いで飛んだり跳ねたりしたのか、長年の素朴な疑問であったが、ようやく納得した。
    また、徳政要求に関して、近世までの土地売買契約が買戻しを前提とする不完全な所有権移転形態だったとする指摘があり、なるほど「仮の姿」として預けられたままとなっている農地を取り戻すための世直し=徳政一揆という構成は合点がいく。
    あとは、幕府による徳政令と在郷の私徳政との抵触関係、おかげ参りや新政反対一揆を支えた思想との相違、現代のアウトロー社会に残存する因習との関連等々、さらに調べてみると面白そう。

  • 1982年刊。著者は東京大学助教授。


     鎌倉幕府の評定衆、室町時代の徳政一揆、同時代後期に蠢動した国人や国衆。
     他方、これらを遥かに遡る平安時代の僧兵や強訴。
     そして時代をずっと下った江戸中期の百姓一揆。あるいは一揆の名すら出ない和田合戦(鎌倉前期の和田義盛の謀反)。

     これらは何れも教科書に出てきそうな基礎用語であるが、一見すると全く関係なさそうにも見える。
     しかし、これらを「一揆」=中間団体と一貫して捉えることで見えてくるものがあるのではないだろうか?。

     本書は時代毎に様々な顔を見せる中間団体を「一揆」と見て、その内実に史的な幹を入れつつ、この変遷に言及する書だ。

     確かに「一揆」というと近世、あるいは精々中世後期の徳政一揆・土一揆くらいしか想到しないのが普通だろう。
     しかし、一揆が人の集まりを意味するものであり、かような中間団体というものは、時代の(つまり経済的な側面)様相に応じて、変化しつつも常在してきた存在だ。
     その「一揆」を、骨というか、幹に見立て、広範囲に及ぶ史的な展開を論じて見せるのは、容易になしうる技ではない。もちろん、近世の百姓一揆との連関性も忘れてはない。

     大分前の書で、その存在に気付きにくいけれども、なかなか拾い物の一書であった。

  • HUMICでの請求記号「080/4-3-194」

  • 著者は、民族の体質に深く根ざし、日本の歴史を通して一定の状況のなかでさまざまな階層や身分の人々によって結ばれ、種々の形態をとる一揆をとおして、日本の歴史の基層に生きつづけた集団心性を掘り起こすことが可能だとの仮説のもと、一揆の形態・構造、一揆結成の儀礼・作法、さらには参加した人々の非日常性を表示するシンボルなどを多面的な要素の考察を行った。
    内容としては、
    1一揆とはなにか
     1一味同心
     2一味神水
     3列参強訴
    2共同の世界
     1在地領主と一揆
     2村と一揆
    3変身と変相
     1百姓一揆の出立ち
     2逃散の作法
    4変革の思想
     1徳政一揆
     2世直し一揆
    おわりに

    一揆を通して、日本の民衆が権力と如何に対峙してきたのか、その正義の観念、その根拠、歴史的役割など、色々学ぶところがありました。

  • 私には少し難しい本でした。ひとまず今回は、一揆そのものは元は公正・平等な連帯を求める一種の社会契約で、時代が下ると改善要求のデモやストライキを行う労働組合のようなものになり、末法思想の影響や農民の社会的立場の変化により手段が打ちこわしなどの武力行使へ変遷していった。という理解です。後半部分、一揆の奥に見える観念や思想を民俗学的な見地を交えて考察している部分は何度も感心させられ、傘連判状に見える平等意識、蓑笠姿の変身観念、篠(ささ)を引くという行為が持つ意味など、このあたりのくだりに一番興味を持ちました。

  • 大学の課題。名著。
    一回読んどけっていろんなところで言われる。
    一貫した俯瞰って魅力的だよね。

  • 一揆について詳しく書いてある一冊。
    日本史には前から興味があったが、一揆という狭い所に焦点を当てているところが気になって手に取った。
    良くも悪くも一揆についてだった。自分はあまり合わなかったかも…。

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