記号論への招待 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.46
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本棚登録 : 944
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004202585

作品紹介・あらすじ

いま広範な学問・芸術領域から熱い視線を浴びている「記号論」。それは言語や文化の理解にどのような変革を迫っているのか-。ことわざや広告、ナンセンス詩など身近な日本語の表現を引きながらコミュニケーションのしくみに新しい光をあて、記号論の基本的な考え方を述べる。分かりやすくしかも知的興奮に満ちた、万人のための入門書。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと興味はあったんだけど、なんとなく大学のとき手を出しそびれていた記号論。
    仕事として広告という分野に関わることになったことで改めて勉強し直します。

    面白いのは広告を始めとして「メディア業界」と記号論など学術分野の関係性。
    サービスとして行なっている事象が研究対象であり、批評されつつ、
    その研究結果を一番に取り入れ利用していくのもまた同じ主体だったりするわけで。

    言葉や表現というものの持つ意味には敏感でいたいなと思います。
    すくなくとも態度として。
    言葉や表現そのものだけじゃないか。
    特にいまのトレンドからするとデバイスの変化やそれに伴うサービスの変化が持つ意味(とそれにともなって変化する言葉や表現)に視点を移してた方が良いのかな。

    あと2、3冊読んで頭に視点を叩き込みたいです。

  • 記号論、特に言語に関わる部分について丁寧に解説された入門書。説明には必ず分かりやすい例がついていて、一見難しそうな概念もすんなりと理解できる。
     特に有契的・無契的、有徴・無徴、線条性・現示性、表示義・共示義…などがとても分かりやすかった。この本を読んでいる前後にギリシア旅行をしたが、この本を読んでると、おれはあの遺跡群を記号として捉えられなかったから石ころにしか見えないんだ、とか、旅行中友人とやった「マジカルバナナ」(連想ゲーム?)は、ミクロ的な整合性はあるけどマクロ的な整合性はないのか、いやそもそもミクロ的な整合性もなくて、あのゲームはある語のフレームの中から特定の1つのスロットを選び、そして同じスロットを共有する別のフレームを持つ語を選択するゲームなのか、とかどうでもいいことを考えてしまう。

  • 記号論についての基礎的概念を紹介している本

    記号論的なものの見方を久しぶりに確認したが、とてもよくわかるようになっていた。

    先に読んだ「言語学講義」の方には、ソシュールが創始した重要概念が記載されている。
    ・ラング、ランガージュ、パロール
    ・(言語記号の)恣意性、線条性、能記と所記、範列関係と統辞関係、通時態と共時態

    本書では、それを補っていくためのキーワードがさらに様々説明されている。
    ・記号表現(シニフィアン)=知覚可能と記号内容(シニフィエ)=知覚不能:相互依存と非対称性

    ・センス sense 感覚であり意味である

    ・分節と等質性と差異作用。これを規定するのがコード。コードがどのような視点から分節を行うかの動機付けがはっきりしているかどうか二次的。本来、分節は恣意的

    ・イーミック(コード想定あり)=構造相的=音韻論的 phonemic とエティック(コード想定なし)=非構造相的 音声学的phonetic
     -音素を中心に組み立てる音韻論:異なる音がその問題となる言語で「同じ」価値をもつかどうかという視点
     -言語音の調音的、音響的特徴そのものを考える音声学

    ・記号表現:
    ー実現された段階では、受信者によってそれと感知されるようなものであることが必要
    ー受信者が人間であれば、典型的には視覚、聴覚、嗅覚、味覚、熱感覚、触覚、などといった感覚に訴えるもの
    ―受信者が機械であれば、可能な記号表現の様態は広くなる。知覚可能な範囲外の光線、音波、電流、ある種の化学物質から磁力まで
    ・二重分節:文と語、語と音。一般的には、記号と記号素

    ・記号内容:
    ー指示物か意味か。例:金星と「明けの明星」「宵いの明星」
    ー記号表現と指示物:有契・無契(動機付けがあるかないか)。有契の場合の、イコン(類像)、インデックス(指標)、無契の場合の、シンボル(象徴)

    ・示差的特徴、対立(共通性を踏まえての差異)と中和(予想されている対立が停止している状態)
    ・有徴・無徴(対立が中和された項と予想される対立を保持した項の2項):man woman のうち、man が無徴、woman が有徴
    ・表示義(デノテーション)rose ばら・共通義(コノテーション)rose 愛

    ・統辞論:記号がどのような形で配列されてよいか
    ・意味論:個々の記号において成立する意味作用

    ・基底部規則:基本的な文型を作り出す一連の統辞規則
    ・変形規則:さらにさまざまな文型を派生する一連の統辞規則

    ・記号体系が「固有」の統辞規則を持っているということは、それにしたがって記号が配列されることにより、「外界」とは自立した「嘘の世界」を作りだすことができる。
    ―〈モノ〉的レベル
    ―〈モノ〉的なものによって構成される〈コト〉的なもの、〈コト〉的なものによって構成されるもっと複合的な〈コト〉的なレベル
    ―〈モノ〉的レベル

    ・統辞は時間の流れに沿う(線条性):言語、音楽、
    ・空間的な配置による統辞:地図、写真、絵画

    ・コード:辞書と文法

    ・範列的(パラグマティック)JOHN SEE DOG と統辞的(シンタグマティック)JOHN BILL MARY、SEE HEAR TOUCH、 DOG CAT RAT
    ・文法と辞書の関係:意味的選択制限、イディオム

    ・統辞的単位とテクスト
    ・ミクロ的整合性
    ー相前後する統辞的単位の間のつながりとは、「部分的に同一の情報の反復」:
    ーテクスト統辞的役割:接続詞、時制(過去、現在、未来)、法(現実と非現実)、相(開始、進行中、終了)
    ・マクロ的整合性
    ーテクスト生産者の主体的判断に任せる
    ートピック+展開+結論
    ー叙述+矛盾的叙
    ー「悪事+計略+処罰
    ー起承転結
    ー序破急

    ・主体によるテクストの補完:コンテクスト

    ・フレームとスキーマ
    ーフレーム:関係する人々が平均的に有していると思われる知識を総覧的に示したもの。スロットとフィラー
    ―スキーマ:時間的ないし因果的な関係に基づいて継起する出来事からなるまとまりを表すのに用いられる

    ということで、記号論のとらえかただが、
    もっとも重要なのは、コミュニケーションモデルを組み立てるための道具として記号論を活用することではないかと考える。

    ある伝達内容があるとして、発信者は、コードを参照しながら伝達内容を「記号化」してメッセージをつくる。メッセージは何らかの「経路」を通って受信者に届く。受信者、受け取ったメッセージを、コードを参照しながら「解読」して、伝達内容をメッセージとして再構成する。コードは、伝達において用いられる記号とその意味(辞書)、および記号の結合の仕方いついての規定(文法)である。

    これが記号論的コミュニケーションのモデルだが、これを起点に様々コミュニケーションモデルを考えるというのが、自分の関心事といってよいので、ここからモデルをいかに発展させていくかが、自分なりの理論および教育サービスを提供していくかにつながるなら、それが最も重要な成果といえるだろう。

  • 3.3

  • 高校の国語教師に勧められて。

  • よみやすい

  • エーコの薔薇の名前と並行して読む。初池上嘉彦。招待という割にはおもてなしの心がないが、挙げられてる事例はなるほどと思うものもあるのは確か。

  • 例えば「赤い」という状況 (性質?) を、本来の性質とは無関係な「アカイ」という音声なり文字列なりで表現することができるのは人間だけです。
    また、記号表現は一対一対応ではなく、「赤」というのは共産主義を象徴するものであったり、別の記号を経由して連想されるものがまた記号化されます。

    少々堅い内容ですが、コミュニケーションの本質に迫る学問を、知識ゼロから学ぶことができます。

  • ◯1章:ことばの再発見
    ・現代の記号論で「記号」とは、何かの代用として使われる「符号」(例:+、=)を超えていくような営みの学論
    ・ことばも記号である
    ・言語は概念自体は抽象的で影も形もないものであるから、それを伝達するために、何か具体的な知覚可能な代用物
    ・言語は単に代用物だけではなく、それを超えるものでもある(特に以下の3つなど)
    1.文化の象徴としても言語
     日本語と「アニ」「オトウト」と、英語の「brother」に見られる文化の違い
    2.美的機能への注目
     詩的機能あるいは美的機能
    3.文化のモデルとしての言語
     「文化は言語のようなものである」→言語自体の地位が上がっている
     言語は自らのうちに文化の営みを最も典型的な形で提示している=文化のモデル
     
    ・言語は精神、精神は言語
    「言語」と「文化」には平行する現象が見出され、それは人間の「精神」の営みによって生み出されたもの

    ◯2章:伝えるコミュニケーションと読み取るコミュニケーション
    コミュニケーション:共通のモノ(記号)を生み出す働き
    コード:「発信者」が「メッセージ」を作成し、「受信者」が「メッセージ」を解読する際に参照すべき決まり
    コンテクスト:コードだけでは「解読」できない時に参照して「解釈」するもの
    ・理想的なコミュニケーション
    「コード依存」-「解読」-「発信者中心」
    ・理想的でないコミュニケーション
    「コンテクスト依存」-「解釈」-「受信者中心」
    ・意味
    意味=記号内容
    意味的論的な意味:「この語の意味は何?」
    実用論的な意味:「どういう意味でそんなこと言ったんだろう?」

    ◯3章:創る意味と創られる意味

    ・記号機能:「記号表現」と「記号内容」
    (例:「A」といく記号表現に「赤いボール」という記号内容を与える)
     フォント違いのAは?大きさが微妙に違う赤いボールは?
     視点次第で記号はどのようにも動機付けできる
    ・イーミックとエティック
     「同じ」と「異なる」を規定しようとする視点
     イーミック:記号現象に対してその背後に想定されるコードとの関連で規定を行う視点
     エティック:コードとの関連を想定しないで規定を行う視点
     (例:3分10円の電話に対して、「3分」と「3分1秒」は料金体系(コード)的に異なるが、時間的にはほぼ同じ(エティック)
    ・有契性と無契性
     有契性:ある記号の記号表現とその記号の適用される指示物との間に何らかの特別な関連性がある(動機付けされている)
      (例:「赤い丸型のプラスチック板」を見せれば「赤いボール」と連想させる、その間にある何か)
      類似性:イコン(類像)、表面的に似ている
      近接性:インデックス(指標)、空間的・時間的・因果的関係
     無契性:有契性の逆(動機付けされていない)
      象徴:シンボル、

  • 内容は高度だけれども、具体例を交えて丁寧に説明されており、理解の助けになった。
    コードによって規定された記号としての言語が、言語を使うの主体としての人間の関与によってコードを逸脱し、コードが変更されていく。記号論には、AIの進化の鍵となる要素が含まれているように感じた。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授・昭和女子大学名誉教授
主な著書―『「する」と「なる」の言語学―言語と文化のタイポロジーへの試論』(大修館書店、1981)、『記号論への招待』(岩波書店、1984)ほか。

「2020年 『認知言語学 II』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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