フルトヴェングラー (岩波新書 黄版 282)

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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004202820

感想・レビュー・書評

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  • 金沢図書館で読む。座談会の部分を読む。非常に興味深い座談会でした。丸山先生は座談の名手と言われていました。これほど面白いとは、想像できませんでした。司会をうまくつとめるだけではなく、発言も面白かったです。ある論文で、学者としてよりも、ジャーナリストとして一流と指摘しています。これは、間違いないと思います。

  • なんか後ろから読めって指示があったんだけど、それなら最初から順番変えておけばいいんじゃないの?
    それはさておき、これはフルトヴェングラーを知るのにうってつけの本です。座談会は著名人たちが「いかに俺がフルトヴェングラー好きか」を表現していて面白い。
    音楽論というより、思想的な立場の話などが多く、ナチスとの関係性などがよくわかるのであった。
    こちとらカラヤン世代なので、フルトヴェングラーとかトスカニーニとか言われてもピンとこないんですけどね。

  • 岩波新書創刊70年フェアで復刊された約四半世紀前のフルトヴェングラー論。

    【構成】
     Ⅰ フルトヴェングラーとその時代 (脇圭平)
     Ⅱ 芸術家フルトヴェングラー (芦津丈夫)
     Ⅲ フルトヴェングラーをめぐって
        -音楽・人間・精神の位相-(脇・芦津・丸山真男)

     1983年、雑誌『歴史と社会』に掲載するために集められた座談会が本書の導入であるⅢの「フルトヴェングラーをめぐって」の部分である。この座談会の中心は言うまでもなく、丸山真男であり、彼が中心となって指揮者フルトヴェングラーについての考察が行われている。

     ヴァイマール時代の文化、トーマス・マンとの対立と親交など話題は多岐に亘る。

     ヴィルヘルム・フルトヴェングラーを20世紀最高の指揮者に推す人は少なくない。そして、フルトヴェングラーの紡ぎ出す音楽は、「精神性」「神秘的」「燃焼」などの形容とともに神格化され、至高の音楽として絶賛されることも少なくない。本書はそのようなフルトヴェングラー礼賛の非常にわかりやすい例である。

     しかし、批判的に論じるならば、本書にはフルトヴェングラーの「魅力」がいかなるものなのかは全く語られていない。フルトヴェングラーが偉大で至高であることが所与のものとして、全て話が進められているためである。彼ら3名の中では、本書でしばしば引き合いに出されるトスカニーニやカラヤンのベートーヴェンは、当然フルトヴェングラーよりも劣るものとしてとらえられているのである。愚かしい限りである。
     フルトヴェングラーが偉大なのは、ヴァイマル時代に生きたからでもニーチェを批判したからでもないし、ましてナチに一時的抵抗したからではない。音楽に限定してみたところで、指揮技術や音楽理論の理解において、フルトヴェングラー以上の指揮者は枚挙に暇がないほどである。しかしながら、誰もが認めるほどフルトヴェングラーが偉大なのである。何故なのか?

     高尚な文学やドイツ哲学を語ったところで、フルトヴェングラーの演奏の素晴らしさを語ったことにはならない。語るべきはフルトヴェングラーによって産み出された音楽そのものであり、オケと聴衆を引き込む彼の指揮の技法である。

     熱心なファンを除けば、本書で語られるような思想家としてのフルトヴェングラーについて知りたがるような人は少ないのではないだろうか?

  • この本を読むのに気が引ける理由が2つほど。1つは、正直に言って僕は、フルトヴェングラーの演奏を聴いて感動などしたことがないのです。今まで生で聴いたとき意外に、音楽を聴いて感動したということがあるかどうか疑問です。そして、ある演奏に感動したとしても、その同曲異演にもまた感動するのではないかと思います。だから例えばベートーヴェンの素晴らしさを理解しても、フルトヴェングラーをして他の指揮者から卓越せしめる何かを感じることが出来ないのです。そんな奴がこの本を読んでも、何か頭でっかちな理解に満足するだけではないかと。2つ目は、フルトヴェングラーを知るには、フルトヴェングラーの音だけ聴いていれば良いのではと思われるからです。そして、1にも通じることですが、フルトヴェングラーを聴いて何も感じないのに、この本を読んだ後に、知識が音楽の邪魔をするのではないか。でもこれは杞憂かも知れません。結局は読みました。「はじめに」の忠告通り、脇、芦津両氏に丸山真男を加えた対談から先に。結果的に、この本を読んだから音楽の聴き方が変わるということはなさそうです。僕には難しすぎるところもあり、良くも悪くも影響されませんでした。生でフルトヴェングラーを聴けなかった丸山が、音楽に縁がないのにその幸運に恵まれたかつての同級生に嫉妬しているのは、まるで『のだめ』の、留学する前の千秋のようでした。

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