内村鑑三 (岩波新書 黄版 287)

著者 : 鈴木範久
  • 岩波書店 (1984年12月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004202875

内村鑑三 (岩波新書 黄版 287)の感想・レビュー・書評

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  • 今年度秋学期のみ,恵泉女学園大学で非常勤講師をする予定になっている。基本的に大学に常勤を持たない者の非常勤による講義は教養科目になっているため,大抵は新しい大学でもいくつかあるこれまでの講義内容をアレンジして行っているが,今回は専門科目ということで,ちょっと新しい内容を考えている。
    恵泉女学園大学の創設者は河井 道(1877-1953)で1929年のこと。新渡戸稲造のすすめで米国に留学し平和思想とキリスト教を学び,帰国して津田英学塾の教授となる。総説された恵泉女学園大学は女性の自立を支援し,園芸に力を入れているのは現在でも変わらない。
    そんな,大学案内で得た知識で発想したのが内村鑑三の『地人論』。新渡戸稲造と内村鑑三は札幌農学校で同期だったこと。この本は発表当時「地理学考」というタイトルで,同じ札幌農学校出身の志賀重昂の『日本風景論』と同じく地理学の書である。そして,内村はキリスト教の伝道師であった。
    そんな浅はかな知識だったが,なぜ北海道に農学校がつくられ,クラーク博士のもと英語が学ばれ,キリスト教化していったのか,という素朴な疑問が生まれた。現在でも北海道といえば農業だし,トラピスト修道院のクッキーなどで,古いキリスト教徒の地という側面も知られる。
    そんな感じで,私自身の素朴な疑問を内村鑑三の『地人論』を中心に地理学的な観点から紐解いていく授業になればいいと思う。

    さて,前振りが長くなったが,本書は岩波新書におさめられた,内村の伝記である。まずは目次から。

    1 若き日の夢
    2 独り立つ
    3 野に吼える
    4 平和の道
    5 木々を育てて
    6 コスモスをのぞむ

    目次をみても知らない人には彼の人生を知ることはできませんね。まあ,このくらいの人物になればWikipediaにも相当詳しく書かれているでしょうから,あえてそういうところを解説することはしません。
    とりあえず,壮絶な人生を送った人であることは分かりました。そして,キリスト教者として知られる,人生の大半をキリスト教に捧げた人物でありながら,その発端を知って驚きました。確かに,札幌農学校出身者にキリスト教徒として知られる人が多いのですが,当時学生も多くない時代,しかも全て男性で北海道の地でもちろん寄宿舎での生活ですから,キリスト教への入信はほとんど全員強制だったとのこと。内村は当初それに抵抗していたが,通過儀礼のように入信したとのこと。
    「不敬事件」はたまたまキリスト教徒廃絶に関する歴史地理学研究で知ったが,有名な話でそれによって内村の人生が大きく変化したもの。今でも卒業式で国歌斉唱をしなかった教師が罰則を受けるなんてことが行われているが,1891年から同じようなことがあったとは驚き。しかも,本書を読む限り,それは事件というほどでもないくだらないことが大騒ぎになっているから驚く。この頃からマスコミの力,そして口コミの力恐るべし。
    その他にも内村が三度も結婚をしていることとか,日本のいくつかの土地を転々としながら人生を送ってきたことなど,驚かされることが多い。残念ながら『地人論』については1ページだけ,その内容が概観されているだけだったし,彼がなぜそのような本を書いたのかについては解説はほとんどない。まあ,その辺を私が追求していくことにしましょう。もちろん,そういう観点からの地理学史的研究はすでにありますけどね。

  • なんだっけ?昔読んだけど忘れた。

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