- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004202899
感想・レビュー・書評
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子どもの言葉の発達についてのバイブル第二弾。幼児期に獲得する一次的言葉と児童期に獲得していく二次的言葉についての分析。二次的言葉は小学校にはいると途端に必要となる、皆の前で発表するときだったり、文章だったりのいわゆる「公的な言葉」ととらえました。そして確かにその後の人生では、もちろん日常では一次的言葉を用いているけれど、学校生活から社会人にいたるまで、二次的言葉とずっとつきあっていくことになる。そのことをあまり意識したことがなかったのではっとさせられた。児童期の子どもは突然、二次的言葉と向き合うことになり、習得までの困難が著しい。こうしたことがいわゆる小1プロブレムにもつながっていたかもしれないし、その後の学力低下とも関係しているのかも知れない。内言から書き言葉、スピーチの言葉への発展という部分も興味深かった。また日常語である一次的言葉が二次的言葉の下に置かれている(方言と標準語関係)話も言語学者としての洞察に興味をもった。
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進歩主義に囚われることなく、相互的、一体的に言葉をとらえていくことで、人間の繋がりがより深まるのだろう。
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岡本夏木『子どもとことば』では、「一次的なことば」の習得に重点をおいていたが、この書物は社会的な言葉としての「二次的なことば」の習得に重点を置く。いろいろとまなぶことはあるが、後半はすこし話がまばらになる。
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「一次的ことば」と「二次的ことば」
この本では、後者に重点を置いて述べられている。
二つのことばをつなぐ環境としての「先生」「友だち」の存在、コミュニケーションの大切さも説いている。
「ことば」について学ぶのであれば、必須の書。
私にとっては、星20個あっても足りないくらいである。
プレミアがついており、入手が困難。
しかし、堅実に運営されている図書館であれば、所蔵されているはず。
電子書籍で復刊してほしいところ。 -
【版元】
著者:岡本 夏木[おかもと・なつき](1926-) 発達心理学。
通し番号 黄版 289
ジャンル 岩波新書 > 言語
刊行日 1985/01/21
ISBN 9784004202899
Cコード 0237
体裁 新書・並製・カバー
子どもはおとなになるまでに,ことばを二度獲得する.最初は誕生から始まる幼年期,そして第二のことばの獲得は,子どもの学校生活と共に始まる.学童期のことばはどのような特徴をもち,子どもの発達とどうかかわり合うのか.学校という場での子どもとことばのかかわりに焦点をあて,新しいことばの世界と格闘する子どもの姿を明らかにする.
https://www.iwanami.co.jp/book/b267712.html
【簡易目次】
はじめに――発達のなかのことば 001
一 ことば以前 015
新生児のコミュニケーション 017
発達の場における「人」の機能 032
共有関係のなりたち 048
行動による対話 065
二 シンボルの形成 083
記号の世界 085
音声の機能 100
人間におけるシンボル 113
三 ことばの獲得 127
ことばの機能と子どもの発達 129
自我の形成とことば 160
発達の障害とことば 180
おわりに――三つのエピソードから 191
【目次】
目次 [i-ii]
はじめに――発達のなかのことば 001
「話せないもの」から「話すもの」へ
子どもたちの戦いが教えるもの
発達のなかのことば
発達の障害とことばの遅れ
ことばとこころの乖離
一 ことば以前 015
1 新生児のコミュニケーション 017
発達の場としてのコミュニケーション
社会的動物としての人間
新生児の同期行動
新生児の共鳴動作
サイクルの交換
2 発達の場における「人」の機能 032
乳児にとっての「人」と「物」
意図をもってかかわる
同じ人間として反応する
さまざまな機能、いろいろな場面
新しい課題をつくり出す
いくつもの感性経路を通して
開かれた系、開かれた場
3 共有関係のなりたち 048
意図的道具性と協約性
微笑の共有
目と目の絆
視線の共有
意図の発生
シグナルの共有
人見知りはなぜおこるか
4 行動による対話 065
やりとりゲームの意味するもの
スプーンとしてのスプーン
テーマの共有
経験の共有
対話的発声
指さしとことば
二 シンボルの形成 083
1 記号の世界 085
シンボルとしてのことば
「象徴の森」
シグナル
インデックス
シンボル
象徴機能と言語機能
寝るふり
模倣の意味
2 音声の機能 100
動作の脱文脈化
音声の自由の獲得
意味の模倣としての音声
ハリディの調査
岡村佳子氏の調査
3 人間におけるシンボル 113
意味づけ・意味づけられる関係
行動物から静観対象へ
情動的・行動的性質のくびき
対人的関係のくびき
外なることばと内なることば
三 ことばの獲得 127
1 ことばの機能と子どもの発達 129
追跡研究の問題点
模倣的発声と自発的発声
「ニャンニャン」の記号化過程
ことばの役割
コレ・ナニウマ?
コレ・プチノヤネ・プニチアゲルワ
話の消長
育児語の特徴
2 自我の形成とことば 160
ことばと自我
自分の名前と自分
キミとボク
情動とことば
動作とことば
しつけとことば
ことばによって失われるもの
3 発達の障害とことば 180
ことばの障害
障害とは何か
発達的問題としてのことばの障害
研究と実践の協力体制
障害児のことばが教えるもの
おわりに――三つのエピソードから 191
変なことば
「生活」とことば
ことばの共有
あとがき(一九八一年一二月 岡本夏木) [199-202] -
勉強になりました。
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£1.50 書き込み有り
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主に日本語における母語獲得の話。
幼児が言語というものに始めて出会い
基礎的な概念を確立する時期を言語獲得における一次的とし、
その後学齢期に達し、文語を始めとする
他者一般に話しかけ、文脈依存ではない言語を獲得する時期を二次的とし
両者には劇的な質的違いが存在するとする。 -
卒論で使いました。小学校の先生になるなら、読んでおくといい本。