- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004203018
作品紹介・あらすじ
20世紀の美術は、なぜ「抽象」を生んだのか。新しい手法と様式を通して、画家たちは何を語ろうとしているのか。若い日に抽象絵画と出会い、その魅力を堪能してきた詩人が、自らの楽しみ方を縦横に語る。難解とされがちな領域へ読者をひき入れ、躍動する美の世界を案内する待望の書。カラー頁を含むスペシャル・エディションの第一弾。
感想・レビュー・書評
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シュルレアリスムや抽象絵画、アクション・ペインティングなどの現代アートについて、詩人であり批評家である著者が考察している本です。
現代アートの成立に関しては、クレメント・グリーンバーグやMoMAといった批評家や美術館の役割が大きな意義を持っていると説明されることが多いのですが、著者は現代アートの意義をそうした理論的・社会的文脈に引き寄せることはしません。著者は、そうした解説者や伝播者はあくまで現代アートの伴走者にすぎないと考えているようで、それよりもむしろ既成の絵画観や既成の造型概念を突き破ろうとする表現への意欲に目を向けようとします。そのような観点から著者は、近代的な絵画の枠組みを乗り越えていこうとする生の躍動を、現代アートの中に見ようとしています。
個人的には、現代アートを本書のような主観的アプローチによって説明し尽くすことはできないと考えますが、それでもやはり、アートが私たちの心に訴えてくる何かに迫ろうとする限り、こうしたアプローチが意義を失うことはないはずだと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生命力の表現としての流動性の強調。
絵画もまた世界認識の重要な手段であるという主張。
視覚世界の微分化、積分化。
ヴォルス、ハンス・アルトゥング、難波田龍起、マーク・トビー、駒井哲郎、中西夏之