文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)

著者 : 丸山真男
  • 岩波書店 (1986年1月20日発売)
3.84
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  • 本棚登録 :239
  • レビュー :17
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004203254

作品紹介

自国の独立など文明論全般のなかでは瑣々たる一か条にすぎない。だが今はその一か条にこそ賭けなければならないのだ-福沢の議論は、西洋文明の歴史と対比しつつ日本文明の伝統を描き出した上で、主権的国民国家の形成という日本国民が直面する課題へと一気につきすすむ。足かけ4年にわたった読書会での全講義完結。

文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)の感想・レビュー・書評

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  • 丸山真男で一番好きな本。

  • 実家の本棚からもらってくる。ユキチの代表作をマサオが読み解くのだから難解に違いないと想像していたが、そんなことはなかった。
    本書が講義を文字に起こして作られたという作業経緯による部分もあるが、筆者がものすごく切れ味がよいからだと感じた。

  • 大学の先生から貸していただいた本。
    何日もかけて、やっと上を読み終えることができた。

    福沢諭吉さんの『文明論之概略』を、
    著者の丸山真男さんが解説を交えて読み進めていく本。
    丸山さんが冒頭で言っているように、
    この本で文明論之概略を全て網羅しているわけではないので、
    これを読んだだけでその全てを理解した気になってはならない。

    内容だが、序の「古典からどう学ぶか」はなかなか面白かった。
    丸山さんが言っているように、日本人の古典離れは書店に行っただけで分かる。
    堂々と目立つように飾られているのは「~の方法」とか、「~だけが知ってる・・・のコツ」とか、
    一目見ただけで目を引くようなものが多い。中身があるのかは、本にもよるが。
    その一方で、古典のほうは角っこのコーナーにちょこんと置いてあるのみ。
    情報化社会を上手く表しているような陳列だと思う。

    「諭吉さんが今の社会を見たら、どう思うだろう?」
    という気持ちを持って読んでいったが、
    上手いこと諭吉さんの批判することに当てはまっている部分が多いなと感じた。

    特に、諭吉さんの言う『惑溺』は、現代においても真剣に受け止めるべきポイントであると思う。
    資本主義である以上仕方のないことなのかもしれないが、
    ブランドに惑溺してそのものの『働き』を考えることを忘れ、
    マニュアル化によって相手の『立場』ばかりを考えてしまって、相手の中身を忘れてしまう。

    それと似たように、何かあると「役人が悪い」と(私も)言ってしまうが、
    実際には役人が悪いのではなく、その役人の働きが悪いという本質も忘れてしまう。

    役人という立場が生まれたのも社会を良くするためであって、
    それらの働きが悪いと言うことは、その役人を生み出している私たちのせいでもある。

    諭吉さんの主張する事柄は、私も反省すべき点をズバズバと言ってきたので、
    読んでいて心が痛いと同時に、非常に気持ちがよかった。

    そんな諭吉さんの主張を分かりやすく説明し、本にまとめた丸山さんには、
    本当に感謝だ。

    何回も読みたい本であるし、中と下もどんどん読んでいこうと思うし、
    諭吉さんの下敷きにもなっているギゾーやバックル、J.S.ミルの著書もぜひあたってみたい。

  • 原文は読みにくいので、丸山先生に今日的な意義も踏まえて解説してもらました。
    古典を読む心構えからスタートし、独特の緊張感をもって読み終えました。
    文明の進歩は自由からもたらされる。そのためには多様な価値観の共存、競争が不可欠。単一の価値観やルーティンが強く支配する社会でなく、多くの議論や人の交流が活発な社会を目指そう!
    今日にも通じるところがありました。

  • 大学の授業の関係で読んだ本。

  • (2013.04.05読了)(1999.02.24購入)
    【4月のテーマ・[福沢諭吉を読む]その①】
    「文明論之概略」は、福沢諭吉の書いた本です。
    原文をそのまま読みこなすことができそうもないので、丸山さんに読み解いてもらいます。丸山さんが、何人かの人に読書会で、講義したものを本にしたものということです。
    「文明論之概略」のすべてを、逐次解説したものではないので、この本を読んでも、「文明論之概略」を読破したことにはならないので、読破するためには、あらためて読み直すか、この本と並行しながら読むしかないでしょう。
    「文明論之概略」の内容は、進んだ西洋文明の考え方を紹介する、というものです。
    福沢諭吉は、中津藩の出身で、長崎や大阪の適塾で勉強し、咸臨丸でアメリカに行ったり、遣欧使節団に同行してヨーロッパにもいって見聞を広めていますので、その辺の知識をかみ砕いて、当時の日本人にもわかるように記述しています。
    丸山さんの解説を読んでいくと、福沢諭吉という人は、現代の日本の知識人よりも優れている人のように思われます。この本に学べば、日本は、もっとよくなるのじゃないかと思ってしまいます。

    【目次】
    まえがき
    序 古典からどう学ぶか
    第一講 幕末の知識人
    第二講 何のために論ずるのか
         第一章「議論の本意を定る事」
    第三講 西洋文明の進歩とは何か
         第二章「西洋の文明を目的とする事」一
    第四講 自由は多事総論の間に生ず
         第二章「西洋の文明を目的とする事」二
    第五講 国体・政統・血統
         第二章「西洋の文明を目的とする事」三
    第六講 文明と政治体制
         第三章「文明の本旨を論ず」

    ●志士の世代(35頁)
    坂本竜馬や高杉晋作が福沢と同年あるいは年下だということは、今日ではイメージとしてはすらりと出にくいのではないでしょうか。福沢の維新直後の書物がベストセラーとなり、しかも彼は明治三十四年まで生きているのですから、福沢というと明治の人で、幕末志士たちとは時代が一段階ちがっているように思われています。
    ●多事争論(65頁)
    社会・政治・歴史について、いろいろなちがった考え方が出てきて争うこと自体が悪い、あるいは新しい厄介な問題が発生すること自体がのぞましくない、それが秩序の乱れるもとになる、というのが、江戸時代に通用していた一般のたてまえです。だが、福沢はそうではなく、「多事争論」のなかにこそまさに進歩の源泉があるという。
    ●人民の交際を助ける(82頁)
    人民の会議、社友の演説、道路の便利、出版の自由等、都てこの類の事に就いて識者の眼を着する由縁も、この人民の交際を助くるがために殊に之を重んずるものなり。
    「会議」「演説」、これらは、福沢が作った訳語です。
    ●文明の進歩(87頁)
    古来、文明の進歩は少数者の異端妄説から生まれているではないか
    天下の多数者の意見が歴史を進めたのではなくて、むしろマイノリティが進めたことが多い。その時代において異端妄説として排斥されたものが、やがて広く認められるようになった。その例として、アダム・スミスとガリレオが挙げられるわけです。
    ●優先順位(127頁)
    まず精神革命をやらなければならない。その次に政治・法律制度の改革、それから衣食住機械などの改革をやっていく。現実の日本の文明開化はこの順序が逆になっているわけです。
    ●政教一致(177頁)
    儒学の政教一致はいけない。道徳は道徳、政治は政治であって、政教一致というと、どうしても権力者が同時に道徳について最高判定権を持つことになるからいけないと、近代的立場から批判しているのです。
    ●惑溺(198頁)
    あるものを使う本来の目的がどっかへ行ってしまって、そのものの具体的な働きにかかわらず、「もの自体」が貴重とされる。そういう思考傾向を惑溺というのです。

    ☆関連図書(既読)
    「福澤諭吉」西部邁著、文芸春秋、1999.12.10
    「日本の思想」丸山真男著、岩波新書、1961.11.20
    「翻訳と日本の近代」丸山真男・加藤周一著、岩波新書、1998.10.20
    (2013年5月2日・記)
    内容紹介 amazon
    『文明論之概略』は、福沢諭吉の気力と思索力がもっとも充実した時期に書かれた最高傑作の一つであり、時代をこえて今日なお、その思想的衝撃力を失わない。敢えて「福沢惚れ」を自認する著者が、現代の状況を見きわめつつ、あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり、今に語りつぐ。読書会での講義をもとにした書下し。(全3冊)

  • 福沢諭吉の文明論之概略を丸山真男がかみ砕いて解説してくれている。文明論之概略自体それほど難解な本だとは思わないが、読み返す手間を省くという意味ではいいと思う。こういう本をもっと前からしっかり読み込んでおけば良かった。

  • ようやく重い腰をあげて開いてみたら、本編の前に、序章の「古典からどう学ぶか」が興味深い。

    日本における古典離れの指摘から、何故古典を読むべきなのか、どういう心がけで読むべきかという話。その過程で取り上げられる現代の日本人の行動心理やパターンが、ほとんど古典を読んでいない自分でも(むしろ読んでいないから?)、なかなか身につまされる。

    無理に肩に力を入れて本と向き合う必要はないと思うけど、たまには、この人の言うことを素直に聞いて、気を引き締めて読んでみようと思う。

    本編については、まだ上巻で折り返してもいないので、また読み終わってから振り返りたい。

  • <メモ>

    ・・・政治家や実業家などの分野でも、
    明治の元勲と言われる人は圧倒的に天保生まれが多い。
    西郷だけがちょっと年長で文政10年生まれですが、
    大久保、木戸をはじめ、山県有朋、大隈重信、伊藤博文
    井上馨、松方正義、黒田清隆などもみな天保生まれです。
    福沢は、これら天保の老人世代に属している。

    金甌無欠とは、開闢以来、国体を全うして外人に政権を奪はれたる
    ことなきの一事に在るのみ。故に国体は国の本なり。
    政統も血縁も之に従て盛衰を共にするものと云はざるを得ず。

    ・・・まず「惑溺」一般の説明をします。あるものを使う本来の目的
    をどっかへ行ってしまって、そのものの具体的な働きにもかかわらず
    「もの自体」が貴重とされる。そういう思考傾向を惑溺というのです。
    この章の結びの節に「物の貴きに非ず、其の働きの貴きなり」という福沢哲学の基本命題が出てきます。(p198)

  • [ 内容 ]
    『文明論之概略』は、福沢諭吉の気力と思索力がもっとも充実した時期に書かれた最高傑作の一つであり、時代をこえて今日なお、その思想的衝撃力を失わない。
    敢えて「福沢惚れ」を自認する著者が、現代の状況を見きわめつつ、あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり、今に語りつぐ。
    読書会での講義をもとにした書下し。

    [ 目次 ]
    序 古典からどう学ぶか-開講の辞にかえて
    第一講 幕末維新の知識人-福沢の世代
    第二講 何のために論ずるのか-第一章「議論の本位を定る事」
    第三講 西洋文明の進歩とは何か-第二章「西洋の文明を目的とする事」一
    第四講 自由は多事争論の間に生ず-第二章「西洋の文明を目的とする事」ニ
    第五講 国体・政統・血統-第二章「西洋の文明を目的とする事」三
    第六講 文明と政治体制-第三章「文明の本旨を論ず」

    [ 目次 ]


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