- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004203285
作品紹介・あらすじ
六世中村歌右衛門は女形一筋に生き、華麗で情艶な芸風によって昭和歌舞伎を現在の隆盛に導いた。本書は山川静夫氏を聞き手とし、大正末期から今日に至る歌舞伎界の歴史を自己の歩みと共に語ったものである。父五世歌右衛門や初世吉右衛門ら名優の肖像、戦中・戦後の奮闘の様子を独特の語り口で描き、歌舞伎の現状に率直な意見を述べる。
感想・レビュー・書評
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書評/私は昭和59年の生まれなのでありますが、六世・中村歌右衛門のことは昭和の名優として各所で名前を聞いておりました。谷崎、三島といった文豪をはじめとして、女形として多くの人をその芸で惹き付け、今も語られ続けるのを聞くにつれ、大成駒という人そのものや昭和という時代についての興味は大きくなる一方でありました。彼のことを知るのに何か良い本はないだろうか。そんなきっかけから手にとった本でした。
結論からいうと、自分の興味を満足させてくれる内容で、中々書店では見かけませんが手元に置いておきたい一冊です。
本文は著者と六世の対談方式で進められ、本人の語りに触れられる感じも楽しく読むことができます。
当たり芸を順に挙げている行は、今後映像で大成駒の姿を楽しむ際に参考になるやろなとも思います。
また女形という役者の特徴や、着物についての話なども面白く読めました。なんでも舞台の着物というのは一つの選び方というのがあるそうで。助六由縁江戸桜の揚巻の衣装についての説明を読み、あとで写真が載った別の本を読むのにも役に立ちました。
また歌舞伎に興味はあるが初心者である私にとって、昭和の歌舞伎史(高麗屋の東宝移籍など)も触れられており、あくまで「ひとつの昭和歌舞伎史」という慎まやかな副題通り、柔らかく述べられておりました。
個人的に好きな部分は、中村芝翫から歌右衛門への襲名時に、谷崎潤一郎が寄せた文章で、それだけでも一読する価値があると思てます。
歌右衛門からみた歌右衛門の、昭和歌舞伎の本としてどうぞ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/702533 -
歌右衛門に関する本は持っているけど、対談ものがあるって知らなかった。歌右衛門の話しぶりが思い出されて懐かしくなった。「自分は歌舞伎ひとすじ、つぶしがきかなかったが幸せだった」と最後に述べている。やっぱり、はじめから広く浅くよりも、極めるって大事だなあ。と改めて実感。週末、写真集を押し入れからだしてみよう。そして至福の時間を過ごそう。
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再読です。ただし、いつ読んだのか記憶がありません。通の人が読めば、面白いでしょう。僕のような素人にも面白いです。歌舞伎関連のものを大量に読んでみようかな。
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歌右衛門と山川さんに敬意を表す。これを読んで困るのは、DVDが欲しくなってしまうことだな…。DVDはやめたけど、「女形の運命」は買ってしまった。