子どもたちの太平洋戦争: 国民学校の時代 (岩波新書 黄版 356)
- 岩波書店 (1986年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004203568
作品紹介・あらすじ
戦争は子どもたちの遊びや暮らし、勉強に何をもたらしたか。奉安殿、少年団、集団疎開、墨塗り教科書…。自ら収集した膨大な資料にもとづいて『ボクラ少国民』全6巻などを執念深く記録してきた児童読物作家が、海軍に憧れていた「少国民」としての体験をおりまぜながら、特に若い読者のために、その成果のすべてをコンパクトにまとめた。
感想・レビュー・書評
-
1931年生まれの「戦争と同居していた」著者による、太平洋戦争中の子どもの在り様を描いた本。
単純な体験談ではなく、執筆当時からの振り返っての視点などもある。
軍部などの戦争指導者や「おとな(教師)」への皮肉を込めた記述など、読んでいて思わず笑えてしまう(こういうことが、まじめに行われていたと思うと、本当に無謀な戦争をしたものだと感じます)。
著者の代表作として「ボクラ少国民」のシリーズも是非読んでみたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
★★★★ 子供の視点での'戦争”が語られている。
戦争そのものというより、戦争がもたらした生活や学校、遊びといった子供の世界を子供の目線で見せてくれる。
戦争というモノを身近なものとして、大人への批判、国家への盲信、士官への憧れ、という様々なレンズをつけながら覗かせてくれる。
そして、最後には、その視点を携えて大きくなった山中氏の、戦争に向き合う国家、社会に対しての批判が語られている。
戦争というものが、より立体的なものとして自分のなかに築かれた。そんな読後感のある作品。
2015/11/21 -
今の日本の教育は、戦前戦中の続きである。戦後、教育内容は変わっても、教師の考え方を変えるのは難しいかった。しかし、こどもを教育する者は教育者として、将来、この国を動かす大人になるこどもたちに何を伝えるべきなのか、正しく考え伝えることが必要であると思う。
自分の感覚や知識に頼らず、常に社会を見て、必要な刺激や情報をこどもたちに伝えることがよいのではないか。
戦争は絶対にいけないと思える大人に育てることが一番必要だと感じた。 -
4004203562 219p 1991・12・5 11刷
-
この人は太平洋戦争について本当に詳しく調べていて、実体験とあわせてたくさんの本を書いているけれど、この本も日々の暮らしのことから国の動きまでしっかりと教えてくれる一冊です。時折、文章のなかに感情的なものが混じるところがまた、この人らしくてよい。