- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004203674
作品紹介・あらすじ
幼児キリストを胸に抱く聖母マリヤの姿は、永遠に女性的なるものの典型として、キリスト教圏のみならず、世界中の人びとに親しまれ崇められてきた。いまも広くヨーロッパにみられる聖母崇拝に焦点を当て、マリヤにちなむ伝承や伝説、讃歌、年中行事、絵画や彫刻などを通して、人びとがマリヤに托した願いと祈りをさぐり出す。
感想・レビュー・書評
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・マリヤを愛することはわたしの喜び!
わたしの胸に千の心があったら
その心は千の喜びのコーラスを奏でるでしょう
おおマリヤよ、聖母よ、心はあなたのもとへ高まります
・今日でも軍人が剣を抜いて顔の正面に近付けるのは、剣のつかに彫ってある十字架とマリヤ像に接吻し、「神とマリヤの国」を守る誓いをあらわす中世以来の騎士のならわしに従ったものである。
・宗教改革の中心的存在であったマルチン・ルターは「マリヤの賛歌」などを書いているように、熱心な聖母崇拝者である。彼に熱烈に傾倒したクラナッハは聖母を画くとき、いつもルターの立ち合いを乞い、でき上がった作品について種々の助言を得たといわれている。ルターの聖母にたいする態度をのちのルター派は勝手に捨ててしまい、ルターのなかから自分たちの合理的批判的なことに都合のよい部分だけを取り出して教理網領を作り、一派として独立するが、ルターと、ルター派ないしはプロテスタント派はその点で全く区別しなければならず、本来ルターの持っていた温かな人間味に欠け、冷やかなものになってしまった。福音派は聖母を教会から排除し、聖者像も置いていない。 -
マリヤの基礎となる以前の母神崇拝を取り上げ、母性を切り刻んだ跡に、伝承や習俗、美術分野に現れる、賛歌、図像を説く。文章も読みやすく、これといって問題点もないように感じる。悪く言えば平凡な本。