子どもの宇宙 (岩波新書 黄版386)

  • 岩波書店 (1987年9月21日発売)
3.92
  • (85)
  • (101)
  • (89)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 1455
感想 : 97
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004203865

みんなの感想まとめ

子どもたちの内面に広がる複雑で秩序ある宇宙を理解することの重要性を描いた作品は、子育てにおける悩みやストレスを和らげる手助けとなります。子どもと家族、動物、死などの関わりを通じて、それぞれの「宇宙」を...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 子育てを何年続けてもパターン化は難しい。前回うまく行っても同じようにはいかない。ストレスの原因にもなる。
    この本では、子どもと家族、秘密、動物、時空、老人、異性、死それぞれの関わりで生まれる「宇宙」について論じてある。児童小説を引き合いにしているため、事例としても理解しやすい。子どもにはそういう宇宙があり、自分とは異なる宇宙なのだと理解する一歩になるだけでも読んだ価値はあった。

  • 忙しい日々に追われてつい忘れがちな、子どもの中にある広大で複雑で秩序ある宇宙の存在を尊重できているか?と省みるきっかけになった。

    児童文学の名作の中に子どもの宇宙の本質を読み解く切り口も面白いし、臨床心理学の第一人者の言葉はやはり重い。

    【大人はよく忙しいと言うけれど、それはこの世の儚さを実感するのを避けるために、忙しさの中に逃げ込んでしまっているのかもしれない。子供たちの時空を超えた世界の債権は、我々大人にとっても教えられるところの大きいものである。】

  • 「子どもの宇宙」という題にふさわしい。
    誰しも子どもの頃に宇宙を持っていた、その宇宙は果てしなく広く、大人は何もわからないし、分かろうとしてくれただろうか。

    「大人になるということは、子どもたちのもつこのような素晴らしい宇宙の存在を、少しずつ忘れ去ってゆく過程なのかとさえ思う。」1

    子どもに接する機会のある方(いわゆるすべての方なのだが)にぜひ一読していただきたい。ふとした言葉や行動を何気なく子どもたちは見ている。それら行動の一つ一つが子どもの宇宙にどのように影響するのかはわからない。分かろうとすることはできるが、それが正解かもわからない。
    詰め込み教育といわれ、数字のみで評価したりされたりする機会が増えてきた。大人だけでなく子どもたちも数字で評価している。それだけでは何も生まれない。子どもたちに自分自身の宇宙を探るような導きをしたいものである。


    読書メモ
    秘密をもつということは、取りも直さず「これは私だけが知っている」ということなので、それは「私」という存在の独自性を証明することになる。48

    秘密を打ち明け、それを共有してゆこうとするとき、それに伴う苦しみや悲しみの感情も共にしてゆく覚悟がないと、なかなかうまくはゆかないものである。59

    この世の何らかの存在を「絶対的」と思うことは素晴らしい。しかし、それは必ずどこかで裏切りに会わなければならない。この世のものには、そもそも、絶対なんていうものはないのだから、これは致し方ないことである。121-122

    方向性が明確に定まっているところでは、指導者や教師が活躍する。彼らは「正しい」かについて確信をもっており、同じことを繰り返し言っておればよい。135
    この文章は本質をついていると感じる。このような大人ばかりでは子どもたちもつまらないだろう。

    恋は人を盲目にし、自分と恋人以外のものは目にはいらなくなる。しかし、人間がこの世に生きていくためには、どうしても自分たち以外のものへの配慮が必要であるし、それに気づいたとき、恋するものの苦悩がはじまる。この苦悩によってこそ人は鍛えられ、成長するのだ。苦しみのない恋はあまり意味がない。193

    権威とぶつかる勇気もなくて、異性と出会おうとするのは虫がよすぎるのである。202

    これらはすべて本書にある文章で、子どもを知ることは自らの成長につながることが分かるのではなかろうか。子どもと接することを忌避することなく自らを成長させていきたいものである。

  • 河合先生の本を少々深堀りしてみようと思い読んだ。

    冒頭いきなり、著者は「この宇宙の中に子どもがいるということは誰でも知っていることだが、一人ひとりの子どもの中に宇宙があるということを知っているか?」と読者に呼びかける。

    また著者は、大人がそのことに無知であると、子どもの中の宇宙を歪曲してしまったり、破壊してしまうことさえあると警告する。それも教育とか、指導とか、善意とかの名のもとに!

    自身は失敗者の大人の一人であり反省とフォローアップを目的にいま読んでいるところだが、できれば多くの方には予防の位置づけで読んで頂きたい本であると思う。

    子どもの中の宇宙の存在について、実際の子どもの事例を通じ、あるいは児童書の中での登場人物を通じて、著者は示してくださる。

    従って、本書に紹介されている数々の児童文学は、読者が大人になって忘れかけている宇宙をも一度思い出すのに有効な書ばかりだと思われる。

    個人的には、カニグズバーグの「ジョコンダ夫人の肖像」という児童書に非常に興味がわいた(ダビンチのモナ・リザに関する話らしい)。その本質は、子どもが大人の導者となるという話であり、ダビンチの導者となった子どもの話のようである。児童書でなく一般書にしても面白そうである。

    章立ては次のようになっている。
    Ⅰ 子どもと家族
    Ⅱ 子どもと秘密
    Ⅲ 子どもと動物
    Ⅳ 子どもと時空
    Ⅴ 子どもと老人
    Ⅵ 子どもと死
    Ⅶ 子どもと異性

    子どもと老人、、、それぞれの共通点が述べられていたがその視点が面白い。子どもは死の世界から来たばかり、老人はもうすぐ死の世界へ向かう。従って、どちらも死の世界と隣接していると。これは、宇宙から生まれ、宇宙に帰っていくというイメージだろうか。

    そんなこともあって子どもと老人の関係性は強いというのが第Ⅴ章であり、その一例が上記のダビンチの話だ。

    機会をみつけて、カニグズバーグの「ジョコンダ夫人の肖像」他、紹介されているいつくかの書にも触れてみたいと思った。

  • 子どもの内面の広大な宇宙の存在に、気づけるようにありたい、と思える。
    紹介されていた児童文学に、それぞれじっくり向き合ってみたい。
    今からでも、子どもの宇宙を思い出すのに遅くありませんように!

    〈読みたくなった本〉
    『クローディアの秘密』 カニグズバーグ
    『ふたりのロッテ』 ケストナー
    『秘密の花園』 バーネット
    『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス
    『ノンちゃん雲に乗る』 石井桃子
    『ジョコンダ夫人の肖像』 カニグズバーグ
    『人間の深層にひそむもの』 河合隼雄

  • (基本星をつけるのは、システム上評価によって新しい本と出会いたいがためにやってるんだけど、)著者の子どもへの強い思いに共感して☆5にしたい。
    子どもの内にある宇宙は途方もなくすばらしいのに、基本この世界でかれらの声はかき消されがちだから。
    著者の他の本での引用時以上に、ここで引用した児童文学を読んでくれ〜〜という推しを強く感じられたので、引用されているものはもちろん、紹介されているもの以外の本もぜひ読みたいと思う。いつもこの著者の紹介している本を読むのが楽しみ。

  • この本自体が宇宙ではないかと思われるくらい、広がりがある。子どもの宇宙を守れる大人になりたい。強くそう思う。大人が思っている以上に子どもはすごい。そう痛感した。
    この本には様々な児童文学が紹介されている。どれも面白そうで手に取ってみたいと思うものばかりだった。

    • hanchassoさん
      是非読みたいです!チャンスがあったら貸して~
      是非読みたいです!チャンスがあったら貸して~
      2013/02/04
  • ・この宇宙のなかに子どもたちがいる。これは誰でも知っている。しかし、ひとりひとりの子どものなかに宇宙があることを誰もが知っているだろうか。それは、無限の広がりと深さをもって存在している。大人たちは、子どもの姿の小ささに惑わされてついその広大な宇宙の存在を忘れてしまう。大人たちは小さい子どもを早く大きくしようと焦るあまり、子どもたちの中にある広大な宇宙を歪曲してしまったり、回復困難なほどに破壊したりする。このような恐ろしいことは、しばしば大人たちの自称する「教育」や「指導」や「善意」という名のもとになされるので余計にたまらない感じを与える。
    私はふと、大人になるということは、子どもたちの持つこのような素晴らしい宇宙の存在を少しずつ忘れ去ってゆく過程なのかとさえ思う。それでは、あまりにもつまらないのではなかろうか。

    (僕は覚えている。4歳の時の自意識と、今の自意識、自我というか、自分というものの観念が全く変わらないという事を。人を見る時、相手が大人とか考えず対等に思っていたなあ。)


    ・自分の子どもが自分が養子であることに気づいたのではないか。このような時、本人に打ち明けるべきか、何が正しいかという議論は何とでも言え無意味である。ともかく養子としてもらわれてきた本人にとって、その事実がどれほど簡単に受け入れ難く、大変なことか、ということである。それに大人がどれ程共感できるかが最も大切なことなのである。
    このような時に私が「専門家の意見」として秘密を保持し続けるべきだとか、打ち明けるべきだなどと答えると、この親たちは専門家に自分たちの責任を肩代わりさせて養子となった子どもと共に背負うべき苦しみを放棄してしまうであろう。
    だから、このようなとき私のするべき事は、期待されているような「答」を言うのではなく、この子どもの置かれている状態を、親たちに心から分かってもらうように努力する事なのである。

    ・心理療法をしていて、特にそれが死にまつわる事であるとき、このようなまったく不思議な現象に出会う事が多い(死の時刻に縁者に挨拶にくる、しかも同じ姿を複数の人が見る、など)。
    われわれはこれをどう説明するかなどというよりも、事実は事実として受け止め、そこに込められた意味について考えてみるべきだろう。

    ・心理療法というととかく来談者の秘密を暴き立てるものと思っている人もあるようだが、この例に示されるように、われわれはむしろ、その秘密をできるだけ大切に扱うのである。

  •  忘れていた子供のころの感覚をふと思い出して、いいなぁ、なつかしいなぁと思うことがある。多くの大人が、子ども時代に忘れてきてしまったものは、大人になって忘れてしまったものは何か。子供は「何となく感じて」いる。

  • 大人になる過程で、忘れてしまうことはあまりに多い。そしてそれこそが、子どもの可能性に繋がるとても大切なことだったりする。
    将来親になった時、この本を思い出し、子どもの豊かな感受性や思考をまっすぐ受け止めたい。

    -子どもと秘密
    「私しか知らぬ秘密」は他人に依存していないので、アイデンティティを支えるものとしては、真に素晴らしいものと言わねばならない。

    秘密を打ち明け、それを共有してゆこうとするとき、それに伴う苦しみや悲しみの感情も共してゆく覚悟がないと、なかなかうまくはゆかないものである。

    -子どもと動物
    自立ということは難しいことで、それまでには相当な一体感を味わっていなくてはならない。それが不足すると、どうしても分離するときに心残りがして自立に失敗してしまう。

    自立することは、母親と無関係になることではなく、母親と新しい関係をつくることである。

    -子どもと異性
    異性への接近は、世界への接近である。本気でそれを行おうとするかぎり、それはその他の多くの仕事をなすことを強いるのである。異性への接近をこころみる者は、その段階に応じた仕事をひとつひとつこなしてゆかねばならず、それは思いのほかに遠い道なのである。

  • 学生の頃読んだものを再読。

    子どもの心や頭にある(そして大人である我々が手放してしまった)広い宇宙に想いを馳せながら、その宇宙を汚すことなく子どもと向き合うための指南書。

    教育や福祉で子どもに関わる人にはぜひ読んでほしい。

  • 子供の心に広がる宇宙を学術的に読み解こうとする著書という意味では、この手の教育論として存在する他の図書のような経験則的なアプローチとも異なり、これはこれで必要な一冊。臨床的な側面と心理学から体系的な整理の両方に意味があるのだと考える。そのためか、本著では、書物からの引用が多い。

    子供が秘密を持つことの大切さ。ペットが代理母の一部機能を果たすこと。考えてみる。核家族化から共働きへと社会が更に変わり、ペットも中々飼えなくなり、老人は老人ホーム、近所付き合いは疎遠。彼が彼でいるだけで温かく見守る代理機能を果たす関わりが減る事で、子供に齎す影響とは。この事が中々社会に飛び出せない引きこもりを増やす一側面ではないだろうか。

    日本とは世界一、隣近所に無関心な国なのだという。一方で、新型ウイルスのように、それを発症させた人が悪かのように吊るし上げる陰湿さをもち、芸能人を社会的に抹殺する執拗さをもつ国だ。社会制度は変わっても組織への忠誠心は、そうした恐怖心からも変わらない。社会は常に私を抹殺しかねない。我々はどこから間違え始めたのか。

    言いたい事を言える人たちがYouTubeで流行っている。我々は、本当は、いつでも言いたい事を言える人に、変わりたいのだろう。この本で、置き忘れた子供の純粋さを思い出すのも良いかもしれない。

  • 遊戯療法の事例や児童文学を例にあげながら、子どもの心がもつ深くて広い宇宙について解説する。子どもへの温かい敬愛の情が、全編に渡って文章を通して伝わってくる。子どもは単なる小さな半人前の存在ではなく、それぞれに確固たる心を持って成長してゆく存在であることを、自分もそうだったと重ね合わせて思い出した。もっと子どもの心に触れるために、紹介されている児童文学を読みたくなった。

  • 「子供の宇宙」。
    タイトルが素晴らしい☆
    ちょうど知りたかった子供の心理が知れたのでよかった☆
    子供って、深いなぁ・・・
    文中に紹介されている児童文学の各書にも興味が持てました。
    数冊読んでみたいな♪

  • 読みやすかったです。様々な本が引用されていて、そちらが読みたくなりました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そちらが読みたくなりました。」
      私もそうでした!
      「そちらが読みたくなりました。」
      私もそうでした!
      2013/09/05
  • 「親は自分が子どもを愛しているということに、あまりに安心しすぎている。」

    「大人はこの世のことにあまりにも縛られすぎている。大人は「忙しい」とよく言うけれど、それはこの世のはかなさを実感することを避けるために、忙しさのなかに逃げこんでしまっているのかも知れない。」

  • .

  • こどもの豊かな発想力や感受性に驚くことがある。私たち大人と言われる人たちも、かつてそうだった。子供と大人は分断されたものではなく、徐々に精神が成熟して、宿命観を持つようになってくるのだ。しかし、子供の時に触れたキラキラした世界や疑問に思ったことはこの歳になっても容易に思い出させてくれる。どうでもいい教科書の暗記は全く覚えていないのに。こどもの時に見ていた、主語が大きくて何事も大袈裟な(三島由紀夫は、幼年時代を時間的にも空間的にも紛糾した舞台である、と述べたがまさにその通りな)世界と、今の見えている世界を行き来できるような自由な精神が欲しい。

  • 途中までだけど、「子どもと時空」まで読んだ。

    子どもって勝手に成長するからこねくり回さない方が良いね、って

  • 高校生の時に読んだものを再読中

全81件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

河合隼雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×