日本語 新版 下 (岩波新書 新赤版 3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300038

感想・レビュー・書評

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  • 1988年初版。
    上巻は、世界の中の日本語、発音、語彙。

    下巻は、日本語の漢字について、日本語文法、日本語のこれから、の三つからなり主に日本語文法を扱っている。

    文法は日本語の文法と外国語の文法を比較することで日本語文法の特徴を浮き彫りにし、世界でも日本語が十分立派な言語であるということを示している。

    日本語のこれからについては、35年前の予想なので当たっている所当たっていない所があるが、35年前の予想よりも言語環境が遥かに進化している。

    日本語自体は多少変わったが微々たるもの。35年前と比べて感覚として日本語の98%は変わっていない気がする。新語が出てきては淘汰されている。

    最近目にするのは英語の頭字語(acronym)で略語(abbreviation)を作るということで、例えばJAXAはJapan Aerospace Exploration Agencyの略称で、日本語の正式名称は「宇宙航空研究開発機構」のことなのだが、このままJAXAで表記している。この英語の略語表記が急に増えた気がする。一方、日本国憲法などは古く分かりにくい日本語のままである。

  •  紹介は上巻に書きました。そちらをお読みください。
     初歩の学生さんに案内を書いていいます。覗いてみてください。
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201904110002/

  • 日本語、という言語を、徹底的に追求した名著。
    様々な視点から、日本語という言語の本質を見極めようとする試み。
    その、膨大な手間と、卓越した視点が凝縮されています。

    「日本語」。
    その独自性。多国語との類似性。
    長所。そして短所。
    日本語を日本語たらしめる、数々の要素。
    それらを一つ一つ、丁寧に検証した一冊です。

    言語を論ずる際には、その対象となる言語だけを考えては駄目。
    世界各国に散らばる他言語との対比によって、対象言語の特色を浮き出させる必要がある。
    これは、比較言語学という学問の手法らしいです。
    確かに、この考え方は、いろいろな学問に通じる考え方ですね。

    本書はそこを基点とし、「日本語」を日本語たらしめる要素を一つずつ丁寧に検証しています。
    その手法はあくまで緻密ですが、決して堅苦しくはありません。
    この抜群の平衡感が、著者である金田一春彦氏の持ち味だな、と思います。
    比較的難解な内容の筈ですが、つっかえることなく、すらすらと読めました。
    尤も、一度の通読程度では、その内容を完全に理解したとはとても言えないですけれど。

    「日本語」という言語の特色を、ここまで鮮明に浮かび上がらせたことは本当に素晴らしい。
    40刷を超える、超が付くほどのロングセラーになっている事に、深く納得しました。
    日本語の持つ独自性、一方で論じられる多国語との類似性。
    日本語の持つ長所と短所。
    それらが、短い章立てで綺麗に書き記されています。

    自分たちの母国語の特色と可能性。
    それを知ることは、とても大事なことだな、と改めて思いました。
    日本語を愛する人、必読の一冊と思います。
    読んで損はない。むしろ得るものだらけである。
    そう、断言致しましょう。

  • 上巻よりも文法に関する考察が多い。

    アフリカを「未開」の国と呼ぶなど、時代を感じさせる。

  • 他国語と比べたときの日本語の特徴が、語彙や文法等色々な面から考えられていた。

    個人的には上巻より下巻のほうが楽しんで読み進められた。

    1回読んだだけでは完全には理解できないので、定期的に読み返していきたい。

  • 【電子ブックへのリンク先】※スマホ・読上版です!

    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000085140

    ※学外から利用する場合は、「学認アカウントを・・・」をクリックし、所属機関に本学を選択してキャンパスIDでログインしてください。

  • 上巻に比べると、文法解説などは少し読んでいて面白さに欠ける。しかし、古典や外国語での例も引きながら日本語の特色について検討しているのは、本当に類書をみない、貴重なことである。

    ワープロの普及で日本語がどう変わるかという検討もされている。漢字は一画足りなくてもそれとわかれば良いのではないかと、日本語学の第一人者が提案しているのは面白い。
    漢字を正しく書くということがそれほど重要ではない時代になってきている。

  • 上巻に続いて下巻も読了。
    文法の章はさすがに読み通すのに骨が折れましたが、名著ですね、当然ながら。

  • さまざまな面からみた日本語の特徴や他言語との違いがよくわかる。
    日本語の特徴として、よく言われる主語、述語の関係や、助詞「は」、「が」、などなど。
    更には一般的に日本語の不便な面の特徴といわれている部分に対し、どうやら不便ではないらしい部分もあるということも書かれている。
    内容も比較的わかりやすく、一般者向けに書かれたもののようだ。
    このように、比較的簡単に日本語のことが、知識として理解できる良書は大変素晴らしい。

  • 下巻では、日本語の表記と文法について解説がなされています。

    橋本進吉、時枝誠記、三上章といった諸家の文法を比較しながら、著者自身の観点から評価をおこなっているところもありますが、けっして難解ということはなく、分かりやすい言葉で説明がおこなわれています。国文法史についても、少し勉強してみたいという興味をかき立てられました。

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著者プロフィール

大正2年、言語学者金田一京助の長男として東京に生まれる。昭和12年、東京帝国大学国文科を卒業。専攻は国語学。名古屋大学で助教授、東京外国語大学、上智大学で教授を歴任。東京芸術大学、ハワイ大学、在中国日本語研修センター(北京)、NHKアナウンサー養成所などで講師、玉川学園客員教授なども務め、日本ペンクラブ理事なども兼任した。著書に、『日本語』『ことばの歳時記』など多数。なかでも教科書や辞書『現代新国語辞典』他の編纂で多くの人に親しまれた日本語研究の第一人者。平成9年文化功労者に選ばれる。平成16年5月没。

「2016年 『美しい日本語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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