日本人の英語 (岩波新書)

  • 岩波書店
3.87
  • (300)
  • (389)
  • (361)
  • (28)
  • (7)
本棚登録 : 4581
感想 : 358
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300182

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 988年刊行。著者は明治大学政治経済学部専任講師。

     日本語の文法用語にはない冠詞や前置詞。さらに日本語では明確に分別されない英語特有の時制、また機能語としての関係詞は、日本人による和文英訳の場合、さらに英文を作る場合にネックとなる要素である。
     本書は、英語ネイティブから見て、日本人の英語表現において陥りやすい陥穽につき、平易な英文(誤文も提示)を基に解説していく。

     もとより時制や関係詞などは高校での学習でもうるさく検討した記憶があるし、英文を読むという観点でも、文章理解の肝になるところから捨て置いた記憶はない。おそらく多くの人はそうだろう。
     しかし、前置詞や冠詞などは手を回しにくい。それは本書を読むと、これらは冠詞や前置詞は数多くの英文に当然の如く鎮座するため、当たり前のように読み飛ばしてしまうためだと気づかされる。
     ところが、かような冠詞・前置詞が、実は、英文(会話も)の細部のイメージを左右し、その結果、日英のディスコミの一端となっている。
     本書が指摘するこの事実には蒙を啓かれる思いだ。殊に、前置詞が動詞の意味内容を左右する機能を果たしている(さらに言えば、意味内容の把握には動詞よりも前置詞の方が重要、ないし同程度に重要だ)ということは、漫然と記憶しがちなイディオムに関して、遥かに豊潤なイメージを付与することに結実するに違いない。

     日本人の英語の不自然さをより具体的にイメージするならば、日英の立場を違えて考えるねと容易に理解できそうだ。すなわち、外交群の日本語学習者の中には、助詞の変な使い方をする人が少なくない。勿論、彼らの文章や発言の意味を理解することは可能であるけれど、しかしそれはちょっと…。という感情に似ているのかもしれない。

     勿論本書は冠詞や前置詞の重要性を説くだけに止まるものではない。ただ、刊行後一年も経たずに9刷まで増刷されたのも宜なるかなと感じさせる読後感であることは間違いない。お勧めの一書である。

  • ためになる本です。

    aとtheは飾りではない
    onとin(offとout)の概念
    byとwithの違い
    have been ~ingのニュアンス
    , which ~~~ ,は()の意味、which ~~~は他と比べるニュアンスがある

  • この本の著者は東工大での研究歴があります。書くための英語の本で、読みやすく、関係代名詞の使い方、冠詞の使い方などがとても役に立ちます。同じシリーズの『続 日本人の英語』(1990年)と『実践 日本人の英語』(2013年)もお薦めです。
    (選定年度:2016~)

  • ちょっと読みにくくはあった。受け手の問題。

  • 大多数の日本人がわかっていないという「英語の論理」を丁寧に解説した本。『日本人の英語』というタイトルがついているが、その意味では『アメリカ人の英語』(イギリス人でもいいが)と言った方がいいのではないか。この本では、英語をネイティブで使う人が、文章を構成する上で論理的にどのように世界をとらえているのかが文法についての議論を通して説明される。特に、日本語には存在しない、もしくは強く意識されることがないが英語には大きな存在である文章構成上の要素を取り上げて説明している。

    その要素というのは次のようなものだ。

    ・冠詞 - 「a」と「the」と「冠詞なし」の違い
    ・前置詞 - 「with」と「by」 、「on」と「in」、「off」と「out」の違い
    ・時制/完了形/進行形のロジック
    ・関係代名詞/関係副詞のロジック
    ・受動態と能動態
    ・副詞と論理構造 - therefore、thereby、hence、so、as、because

    中でも冠詞についての説明は、その論理の明確なロジックを教えてくれたという点で、これまで読んだ冠詞の説明の中でもピカ一だ。高校のときにこんな説明をしてくれる先生がいたらもっと英語が好きになっていたかもしれない(もちろん、やはり好きになんてなっていなかったかもしれないが)。
    著者は、「ネイティブスピーカーにとって、「名詞にaをつける」という表現は無意味である」という。どういう意味か。「もし「つける」で表現すれば、「aに名詞をつける」としかいいようがない」からだそうである。なぜなら、「aというのは、その有無が一つの論理的プロセスの根幹となるものであって、名詞につくアクセサリーのようなものではない」からである。もちろん、theについてもaと同じく「その有無が英語の論理の根幹をなすもの」なのである。その意味で冠詞については「文脈がすべて」ということがわかる。

    他の、「in」と「on」、「off」と「out」の違いについて説明した箇所においても、イメージが視覚的に湧いて非常によくわかった(気になった)。たとえば、outは三次元関係を表し、offが二次元関係を表す、といった点などだ。関係詞の制限的用法と非制限的用法も、そういう違いがあったなと思い出したが、初めて腑に落ちたような気がした。

    日本語非ネイティブの著者は、日本語を書くことに対して「いまだにフラストレーションばかりを感じている。語彙が限られているし、言い方が自然かどうかは、自分の判断だけでは自信が全然ない。いくら時間をかけて書いたとしても、書き上がったところで、「いいものが書けたな」という満足感を得たこともない」という。 そう語る著者の日本語は、日本人の自分から見てもおかしなところはほぼなく自然であるどころか、多くの日本人の日本語よりも論理的で説得力もある。それでも、ネイティブではない著者にとっては、それが自然かどうかの判断が最後のところで自信がない。日本人の書く英語が、それを読むネイティブの著者にとって不自然なものであることがよほど多いからなのかもしれないが。

    本書で取り上げられた冠詞や前置詞の説明などから、その人の母語により、世の中を分節してとらえるロジック自体が違ってしまうことが伺えて非常に興味深い。今後、きちんとした英語を書く機会がどれだけ訪れるかはわからないが、少しは意識をしてトレーニングをしてみないとなあと思えた。

    英語の勉強というよりも、日本語と英語という言語間における論理の違いを知るという観点で得るところが多い本。まったく興味ないよ、という人にはおすすめするものではないが、英語をよく使う人にとっては、勉強以外の面で意外に面白く感じるところが多いのではないか。そのついでに語学力向上にもなるかもしれないという期待感で読むのがちょうどいい本。

    そういえば学生のときに同じ研究室にいて日本語を学んでいたシリア人に、「は」と「が」の違いをよく聞かれたことを思い出した。うまく説明できないことが多かった。「は」は「は」で、「が」は「が」なんだと。この人が説明するくらい「は」と「が」の論理的違いと日本語の文章構成における助詞の位置づけを説明できればよかったのだが。彼はいまごろどうしているのだろうか。

    ※ 「Therefore,」という表現は一切使うべきではないそうだ。知らんかった。

  • Amazonの英語カテゴリーで評価が高かったので読んでみました。
    the, aなどの定冠詞、単数形、複数形使い方はすぐに役立ちそうですね。
    後半は、英語で論文を書くならこういう表現が良い、という話。
    この辺は簡単に読みました。
    現在読んでいるけど、「続・日本人の英語」の方が話は面白いと思う。

  • 2024初読み!

    父から大学入学後にプレゼントされて、俺も読み終わったら読みたいって言ってたのでやっと貸せる

    なるほどなあと思う点多々
    こういう知識を授業でちらっと話せたらかっこいいし、生徒の中には面白いって感じる子もいるんだろうな〜

    大学生ラスト数ヶ月、、!
    小説だけじゃなくて新書や自己啓発本、ビジネス書?なんかも読むぞ^_^

    2024の目標は30冊!!

  • この本、すごく論理的に日本人の間違えやすい英語について説明していて、なぜ日本人が間違えるかというと、英語には日本語にない概念があるから、というのがその理由。

    中学生英語で教えたほうがいいのかもしれませんが、中学生には少し難しいかもしれません。英語圏では数や量に対して厳密です。だから単数形か複数形かにはシビアです。また文脈を重視するからaとtheの違いにもシビアです。初めてのものであればa。既に文脈上、認識があればtheというような厳格な使い分けがあります。

    これくらいのざっくりした理解でも日本人の、曖昧な間違いだらけの英文はだいぶ改善されるようです。

    日本語でも文脈はあって、「昔あるところにおじいさん”が”いました。おじいさん”は”、、」というけど「昔あるところにおじいさん”は”いました。おじいさん”が”、、」とは言わないでしょうと。主語における「が」と「は」の違い。それと同じくらい英語においてaとtheは根本的に違いますよ、と。

    自分は大学受験やそのあと社会人で英語を日常的に使ってきたので、日本人の中では英語の学習を多くやっている部類に入ると思いますが、この本で説明されているようなことについてはあまり気にしたことはなかったし、習う機会もなかったです。知らない単語に出くわしたとき、辞書でその第一義を調べると同じような意味の単語というのがたくさんあるわけですが、あまり細かく追究することはありませんでした。しかし、たくさんある理由というのは、細かいニュアンスが違うからであり、フォーマルな印象を与えたいもの、カジュアルな印象を狙ったもの、学術論文で使うのが適切なもの、日常的な会話で親密さを表すものなのなど、言語は生きものであるということを改めて認識しました。

    例えば日本語でも上記の文章で「しかし」を使っていますが「でも」に置き換えてしまうと文章が人に与える印象は大きく変わってしまう、英語にも当然そういうことはある、ということですね。

  • 英語ネイティブが英語を読み書きするとき、彼らの頭の中で自然に流れている考え方が分かりやすく説明してある。語学仲間に教えてあげたくなるような話が満載で面白かった。

    ただ、細々と英語学習を続けている身としては、読めば読むほどある種の絶望感にうちのめされる。

    “最後の問題として「英語の流れ」に熟達しようとするなら、なるべく日本語を頭から追い払って、英語を英語として考えるしかないような気がする。”(p.193)

    それが一番難しいんですよね・・・。

  • 25歳になって読むと、なんとなく分かる。
    前置詞や冠詞のニュアンス、これは中学以来の英語勉強で積み重ねてきた学習の末にこの本を読むことで、「なんとなく分かる」レベルになっているのかもしれない。

全358件中 1 - 10件を表示

マーク・ピーターセンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
遠藤 周作
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×