日本人の英語 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300182

感想・レビュー・書評

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  • 988年刊行。著者は明治大学政治経済学部専任講師。

     日本語の文法用語にはない冠詞や前置詞。さらに日本語では明確に分別されない英語特有の時制、また機能語としての関係詞は、日本人による和文英訳の場合、さらに英文を作る場合にネックとなる要素である。
     本書は、英語ネイティブから見て、日本人の英語表現において陥りやすい陥穽につき、平易な英文(誤文も提示)を基に解説していく。

     もとより時制や関係詞などは高校での学習でもうるさく検討した記憶があるし、英文を読むという観点でも、文章理解の肝になるところから捨て置いた記憶はない。おそらく多くの人はそうだろう。
     しかし、前置詞や冠詞などは手を回しにくい。それは本書を読むと、これらは冠詞や前置詞は数多くの英文に当然の如く鎮座するため、当たり前のように読み飛ばしてしまうためだと気づかされる。
     ところが、かような冠詞・前置詞が、実は、英文(会話も)の細部のイメージを左右し、その結果、日英のディスコミの一端となっている。
     本書が指摘するこの事実には蒙を啓かれる思いだ。殊に、前置詞が動詞の意味内容を左右する機能を果たしている(さらに言えば、意味内容の把握には動詞よりも前置詞の方が重要、ないし同程度に重要だ)ということは、漫然と記憶しがちなイディオムに関して、遥かに豊潤なイメージを付与することに結実するに違いない。

     日本人の英語の不自然さをより具体的にイメージするならば、日英の立場を違えて考えるねと容易に理解できそうだ。すなわち、外交群の日本語学習者の中には、助詞の変な使い方をする人が少なくない。勿論、彼らの文章や発言の意味を理解することは可能であるけれど、しかしそれはちょっと…。という感情に似ているのかもしれない。

     勿論本書は冠詞や前置詞の重要性を説くだけに止まるものではない。ただ、刊行後一年も経たずに9刷まで増刷されたのも宜なるかなと感じさせる読後感であることは間違いない。お勧めの一書である。

  • この本の著者は東工大での研究歴があります。書くための英語の本で、読みやすく、関係代名詞の使い方、冠詞の使い方などがとても役に立ちます。同じシリーズの『続 日本人の英語』(1990年)と『実践 日本人の英語』(2013年)もお薦めです。

  • ちょっと読みにくくはあった。受け手の問題。

  • 大多数の日本人がわかっていないという「英語の論理」を丁寧に解説した本。『日本人の英語』というタイトルがついているが、その意味では『アメリカ人の英語』(イギリス人でもいいが)と言った方がいいのではないか。この本では、英語をネイティブで使う人が、文章を構成する上で論理的にどのように世界をとらえているのかが文法についての議論を通して説明される。特に、日本語には存在しない、もしくは強く意識されることがないが英語には大きな存在である文章構成上の要素を取り上げて説明している。

    その要素というのは次のようなものだ。

    ・冠詞 - 「a」と「the」と「冠詞なし」の違い
    ・前置詞 - 「with」と「by」 、「on」と「in」、「off」と「out」の違い
    ・時制/完了形/進行形のロジック
    ・関係代名詞/関係副詞のロジック
    ・受動態と能動態
    ・副詞と論理構造 - therefore、thereby、hence、so、as、because

    中でも冠詞についての説明は、その論理の明確なロジックを教えてくれたという点で、これまで読んだ冠詞の説明の中でもピカ一だ。高校のときにこんな説明をしてくれる先生がいたらもっと英語が好きになっていたかもしれない(もちろん、やはり好きになんてなっていなかったかもしれないが)。
    著者は、「ネイティブスピーカーにとって、「名詞にaをつける」という表現は無意味である」という。どういう意味か。「もし「つける」で表現すれば、「aに名詞をつける」としかいいようがない」からだそうである。なぜなら、「aというのは、その有無が一つの論理的プロセスの根幹となるものであって、名詞につくアクセサリーのようなものではない」からである。もちろん、theについてもaと同じく「その有無が英語の論理の根幹をなすもの」なのである。その意味で冠詞については「文脈がすべて」ということがわかる。

    他の、「in」と「on」、「off」と「out」の違いについて説明した箇所においても、イメージが視覚的に湧いて非常によくわかった(気になった)。たとえば、outは三次元関係を表し、offが二次元関係を表す、といった点などだ。関係詞の制限的用法と非制限的用法も、そういう違いがあったなと思い出したが、初めて腑に落ちたような気がした。

    日本語非ネイティブの著者は、日本語を書くことに対して「いまだにフラストレーションばかりを感じている。語彙が限られているし、言い方が自然かどうかは、自分の判断だけでは自信が全然ない。いくら時間をかけて書いたとしても、書き上がったところで、「いいものが書けたな」という満足感を得たこともない」という。 そう語る著者の日本語は、日本人の自分から見てもおかしなところはほぼなく自然であるどころか、多くの日本人の日本語よりも論理的で説得力もある。それでも、ネイティブではない著者にとっては、それが自然かどうかの判断が最後のところで自信がない。日本人の書く英語が、それを読むネイティブの著者にとって不自然なものであることがよほど多いからなのかもしれないが。

    本書で取り上げられた冠詞や前置詞の説明などから、その人の母語により、世の中を分節してとらえるロジック自体が違ってしまうことが伺えて非常に興味深い。今後、きちんとした英語を書く機会がどれだけ訪れるかはわからないが、少しは意識をしてトレーニングをしてみないとなあと思えた。

    英語の勉強というよりも、日本語と英語という言語間における論理の違いを知るという観点で得るところが多い本。まったく興味ないよ、という人にはおすすめするものではないが、英語をよく使う人にとっては、勉強以外の面で意外に面白く感じるところが多いのではないか。そのついでに語学力向上にもなるかもしれないという期待感で読むのがちょうどいい本。

    そういえば学生のときに同じ研究室にいて日本語を学んでいたシリア人に、「は」と「が」の違いをよく聞かれたことを思い出した。うまく説明できないことが多かった。「は」は「は」で、「が」は「が」なんだと。この人が説明するくらい「は」と「が」の論理的違いと日本語の文章構成における助詞の位置づけを説明できればよかったのだが。彼はいまごろどうしているのだろうか。

    ※ 「Therefore,」という表現は一切使うべきではないそうだ。知らんかった。

  • 以前読んだ「ニホン語、話せますか?」というアメリカ語に関するエッセイの著者である。

    要するに日本人が書くアメリカ語文はどうもおかしい(著者は明治大学の先生で、学生などの和文英訳を添削していていつも直面することらしい)、それはなぜで、ではどうしたらいいのかということを、豊富な例文を交えて説く本なんである。

    the と a 、単数と複数、on と in(前置詞の問題)、完了形と進行形…。
    似通った(でも意味をたどれば明確に違う)副詞や、関係代名詞の選び方…。

    など、ここで議論されているのは日本語や日本のアメリカ語教育の中で誤解されて来たか、もしくは明示されてこなかった問題である。

    こうしたごく基本的なパーツが、アメリカ語では(もちろん無意識的ながら)極めて厳密に使われているが、日本人もこれらの背景をつかみ、適切に使うことでグっとこなれたアメリカ語文を書くことができるようになる、というわけだ。

    例文とともにそんな説明を読んでいると、なるほど日本語的思考から離れた“アメリカ語脳”が鍛えられて行くような気がする。

    ま、オレなんかが読んでもどうもならんけど、少しアメリカ語に堪能な人が、より洗練されたアメリカ語使いに脱皮しようという時に読んだらすごく勉強になる本なんじゃないだろうか。

  • 途中まで

  • 結構難しかったです

  • 1988年の古い本ですが、本書での冠詞・前置詞の説明や、「〜ゆえに」のニュアンスの違い、時制のイメージなど、受験英語のルールに染まった考えでいかに変な英文を量産してきたか気付いて目から鱗が落ちるようです。
    英語がある程度書けるようになった今に読んだからこそ、一層の面白みが感じられたのだと思われます。

    やはり生の英語をもっとたくさん読まないと英語感覚は身につかなそうです。

  • 教養を感じさせる英語を書くにはどうすべきかが、具体的な例とともに書かれています。日本人の研究者が書いた論文の添削を手を抜くことなく取り組んで頂いた積み重ねにより生まれた本だと思います。そして筆者の日本語のレベルの高さには敬服しました。

  • aとtheの違い、onとinの使い分け、また学術論文を書く際の注意など、核心を突いた解説は評判通りだった。ただ、体系立てて整理しているわけではなく、思いついたままという感じで、この本で何かを網羅できるわけではない。例文もやや難解で、訓練にはなるが、根気の要る本だった。

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