生物進化を考える (岩波新書)

著者 : 木村資生
  • 岩波書店 (1988年4月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300199

作品紹介・あらすじ

ダーウィンによって確立された進化論はどのように発展していったのか。分子生物学は進化論をいかに豊かにしたのか。進化の道筋は現在どのように考えられているのか。革命的な「分子進化の中立説」を提唱して世界の学界に大論争を巻き起した著者が、『種の起原』から中立説までの進化の考え方をやさしく説き、人類の未来にも想いを馳せる。

生物進化を考える (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 1988年刊。著者は国立遺伝学研究所名誉教授。◆分子進化における中立説と表現型に関するダーウィン的進化論とを組み合わせつつ、現代生物進化学までの議論展開と現代の到達点を解説。◆中立説関連叙述はそれほど違和感なし。ただより詳しい書はあるかも。◆一方の表現型。ダーウィン擁護と今西進化論への批判(生理的嫌悪にも思える書きぶり)が喧しいが、本書の全体がダーウィン擁護になっているかはかなり疑問。優位個体が集団に拡散し、種全体の変容・進化を齎すというのが、ダーウィン進化の肝とするのに、①観察では劣位個体の除去のみ。
    ②蜜蜂など社会性昆虫の働き蜂の如く、群進化としか言えないものや、クジャクなど性淘汰進化の説明が上手くできていない。③ヒトの脳やキリンの首などの急激な表現型の変容の説明に窮する。④環境大激変(隕石落下・大火山活動等)で恐竜絶滅、鳥類残存なんてのは優勝劣敗と言える?。◇むしろこれらは、環境適応の程度の差、つまり環境には食性・競合種・環境の多様性と変異の大小・棲み分け可能な変異化など多様な要因が含まれる上、種の生存如何はその複合要因と見た方が納得しやすいのでは。少なくともダーウィン一元論的崇拝は疑問。

    ◇勿論ダーウィン進化論も、環境適応性の強弱で種絶滅が起きる場合もあるという意味に抽象化すればそれほど違和感はない。このように記述内容に違和感はないのに、その一方で著者が何故これほど自然淘汰仮説の正しさだけを強調・強弁するのか??。◆また、分子進化と表現型進化との接合を「隔離」だけしか出せないのはかなり乱暴?。◆なお、狼から犬への短期間での進化、犬の多様な表現型など、分子進化が小さくとも表現型の多様性が実現できる実例がある。ここから色々派生させて考えると面白いかもしれない。

  • 2013.5.6 読了

  • 中立説のことを知りたくて読んだ。
    統計の話しになると難しいのだがが、進化についての丁寧な記述は読んでいて気持ちが良かった。

  • (2015.10.12読了)(2008.06.22購入)
    生物進化についての本を読んでいると、参考文献としてこの本がわりと頻繁に出てくるので、読んでおこうと手に取りました。
    この本は、学問としての進化論は、どんなものかの紹介なのでしょう。数式のようなものが出てきて、ちっともわかりませんでした。まったくお手上げでした。
    ダーウィンは、メンデルの遺伝の法則もDNAのことも知らなかったので、進化について論じるのに苦労したわけですが、メンデルの法則やDNAによって、論じやすくなったし、実証実験的なものもやりやすくなったのだと思います。
    それにしても、突然変異と自然淘汰で、進化を説明しようという、ネオダーウィニズムには、納得しがたいものがあるのも事実で、趣味としての進化論の肩を持ちたくなります。
    いろんな種の生き方の仕組みを見ていると、その見事さを突然変異と自然淘汰によるものという説明で、なるほどそうですかとは、とても言えないわけです。
    どうしても、生き物の意思みたいなものを想定したくなります。意思が遺伝子に影響を与えることができるか、と言われると、答えに窮してしまうわけではありますが。

    【目次】
    はしがき
    第一章 生物の多様性と進化の考え
    第二章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
    第三章 進化の道すじをたどる
    第四章 進化要因としての突然変異
    第五章 自然淘汰と適応の考え
    第六章 集団遺伝学入門
    第七章 分子進化学序説
    第八章 中立説と分子進化
    第九章 進化遺伝学的世界観
    参考文献

    ●ダーウィン(13頁)
    彼(ダーウィン)はビーグル号による世界周航以後長年にわたって集めた膨大な資料を用いて生物進化が事実であることを世界の学者に納得させただけでなく、自然淘汰によって適応的進化が起こることを明らかにした。
    ●遺伝の仕組み(17頁)
    ダーウィンが自説を『種の起源』にまとめるにあたって、彼を悩ました最大の難点は、遺伝の仕組みが分からぬことであった。
    ●集団遺伝学(31頁)
    集団遺伝学の研究対象は生物の集団とくに有性繁殖によって結ばれた同種個体の集まり、言い換えると繁殖社会である。このうちには各種の対立遺伝子がいろいろな割合で含まれており、これらを「遺伝子頻度」と呼ぶ。集団遺伝学では、これらの頻度が突然変異、自然淘汰などの進化要因の下でどのように変化していくかを追求する。言うまでもなく、集団遺伝学の重要な目標の一つは進化機構の解明である。
    ●突然変異(114頁)
    「突然変異、すなわち著しい奇型」といった観念は間違っている

    ☆関連図書(既読)
    「ダーウィン先生地球航海記(1)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1995.06.23
    「ダーウィン先生地球航海記(2)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1995.10.02
    「ダーウィン先生地球航海記(3)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1995.11.20
    「ダーウィン先生地球航海記(4)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1996.01.20
    「ダーウィン先生地球航海記(5)」チャールズ・ダーウィン著・荒俣宏訳、平凡社、1996.02.23
    「ダーウィン」八杉龍一編、平凡社、1977.01.14
    「種の起原」チャールズ・ダーウィン著・堀伸夫・堀大才訳、朝倉書店、2009.05.10
    「ダーウィンの思想」内井惣七著、岩波新書、2009.08.20
    「ダーウィン『種の起源』」長谷川眞理子著、NHK出版、2015.08.01
    「生物の世界」今西錦司著、講談社文庫、1972.01.15
    「私の進化論」今西錦司著、思索社、1970.05.01
    「進化とはなにか」今西錦司著、講談社学術文庫、1976.06.30
    「ダーウィン論」今西錦司著、中公新書、1977.09.25
    「主体性の進化論」今西錦司著、中公新書、1980.07.25
    「さよならダーウィニズム」池田清彦著、講談社選書メチエ、1997.12.10
    「38億年生物進化の旅」池田清彦著、新潮社、2010.02.25
    「「進化論」を書き換える」池田清彦著、新潮社、2011.03.25
    「失われた化石記録」J.ウィリアム・ショップ著・阿部勝巳訳、講談社現代新書、1998.03.20
    「NHKスペシャル 生命大躍進」生命大躍進制作班著、NHK出版、2015.07.10
    (2015年10月13日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    ダーウィンによって確立された進化論はどのように発展していったのか。分子生物学は進化論をいかに豊かにしたのか。進化の道筋は現在どのように考えられているのか。革命的な「分子進化の中立説」を提唱して世界の学界に大論争を巻き起した著者が、『種の起原』から中立説までの進化の考え方をやさしく説き、人類の未来にも想いを馳せる。

  • 医薬翻訳の勉強に使用。

  • 現在の遺伝学の基礎となっている書籍である。
    これには、ダーウィンから今までの遺伝学の流れが網羅されており、どんな人でもスラスラ読むことができると思う。

  • 集団遺伝学という学問を初めて知った。確率統計学に基づいた非常に数学的な学問分野であり、説得力がある。

    それにしても、評価の困る本である。

    まず、難易度。言葉遣い、概念とも直感的に分かりにくい。これは現代生物学の基礎知識が社会常識の範疇にないことが大きいかもしれない。

    そして、優生学の考え方。これは私的にはにわかに受け入れがたいが、ある立場からは検討の余地のあるものなのかもしれない。

    しかし、出版後、24年もたっているにもかかわらず、いまだ色あせていない部分がある。

    ・P3 極限生物の記述
    ・P60 共生説:ミトコンドリア、葉緑体、鞭毛などの細胞小器官は太古に共生することでできた。
    ・実際の進化の歴史がよくわかるようになったのは、カンブリア紀になってから。今から6億年前。
    ・人間をつくる最低の情報量は大英百科事典1セット(23巻)分。
    ・SOS修復。死ぬより突然変異の方がマシ。
    ・突然変異=著しい奇形は誤り
    ・遺伝率。人の背丈は乳牛の乳料より高い。
    ・P155 人が偶然から生まれる可能性はないが、進化によって生まれる可能性は高い。
    ・いとこから劣性遺伝病が生まれるのは、そうでない場合に比べて、7倍になる。
    ・アミノ酸座位の増減による違いは、ヒトとコイ(約4億年前)の分岐で初めて見られる。
    ・分子レベルでは突然変異の蓄積速度は一定
    ・黒人 東洋人 白人 の順に発生
    ・全生物を横断的に調べるためにリボソーム5SーRNAが使われる。
    ・古細菌はむしろ新しく真核生物に近い。コケはシダの退化系。
    ・変化の保守性は分子進化の大きな特徴。
    ・人類が進化の過程で脳の容量が300万年で2倍になったのが表現型進化としては異例。

  • [ 内容 ]
    ダーウィンによって確立された進化論はどのように発展していったのか。
    分子生物学は進化論をいかに豊かにしたのか。
    進化の道筋は現在どのように考えられているのか。
    革命的な「分子進化の中立説」を提唱して世界の学界に大論争を巻き起した著者が、『種の起原』から中立説までの進化の考え方をやさしく説き、人類の未来にも想いを馳せる。

    [ 目次 ]
    第1章 生物の多様性と進化の考え
    第2章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
    第3章 進化の道すじをたどる
    第4章 進化要因としての突然変異
    第5章 自然淘汰と適応の考え
    第6章 集団遺伝学入門
    第7章 分子進化学序説
    第8章 中立説と分子進化
    第9章 進化遺伝学的世界観

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 進化という誤解されやすい現象について、世界に認められた「分子進化の中立説」を提唱した著者自身による一般向けの本。生存率を高める突然変異だけが進化のドライビングフォースではなかった。

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