絵で見るフランス革命: イメージ政治学 (岩波新書 新赤版 74)

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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300748

感想・レビュー・書評

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  • 主に民衆の視点(になるように描かれた)の風刺画や絵画を集めた本。フランス革命の時代の人々が何を見て何を見たかったかがまとめられている。

    巻末の年表を見ながら読むと分かりやすかった。

  • フランス革命には膨大な絵画が残されている。国王や王妃らの権力者を風刺した漫画から、民衆のエネルギーをダイナミックに描いた作品まで、革命のさまざまな側面が大胆に描かれ、当時の社会や思想状況について新しい視点を提供してくれる。革命の勃発からナポレオンの登場まで、絵画の中から歴史をたどり、革命の意味をあらためて問う。(袖)

    「絵画の中から歴史をたど」ることがまず面白い。なるほどなぁと手を打った。
    こういう傾向(同時代の情勢を賛否問わず絵画化すること)は全世界的に共通なんだろうか。日本では江戸末期から明治初期があたりそうなんだけど。
    しかしまぁ、反対派のカリカチュアの醜いことよ。

  • 【小倉孝誠・選】
    フランス革命を絵で図解するのではなく、革命のいくつかの出来事が絵や版画でどのように描かれたかをとおして、革命を政治的に読み解く。イメージの政治学という副題はそういう意味である。

  • (2017.02.10読了)(2005.05.05購入)
    副題「イメージの政治学」
    1月に上京した際に、「マリー・アントワネット展」を見てきました。
    ―――――――――――――――――――――
    マリー・アントワネット展
    主催:読売新聞社
    会場:森アーツセンターギャラリー
    会期:10月25日-2017年2月26日
    観覧料:一般1800円
    本展は、ヴェルサイユ宮殿が《企画・監修》し、華やかな宮廷生活をしのばせる絵画や、マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿で愛用した食器や家具、革命期に着用していた衣服など200点あまりを展示します。更に宮殿内にあった王妃のプライベート空間、「プチ・アパルトマン」を原寸大で再現。
    ―――――――――――――――――――――
    (観覧後のコメント)
    マリー・アントワネットは、20歳前後で断頭台の露と消えた、というイメージだったのですが、展覧会の展示を見て認識を改めました。
    4人の子どもを生んで、37歳で亡くなったとのことです。晩年の肖像画を見るとふくよかな堂々としたお母さんの顔をしています。
    何か本を読んでみたいと思います。
    ―――――――――――――――――――
    マリー・アントワネットの伝記か、小説でも読みたいところですが、残念ながら手もとにはないので手元にあるこの本を選びました。
    フランス革命は、1789年7月14日のバスチーユの占拠からはじまるのですが、その前の5月5日に「三部会の開会」というのがありますので、革命につながる動きは、このあたりからはじまっているということでしょう。
    ルイ16世の処刑は、1793年1月21日。マリー・アントワネットの処刑は、同じ年の10月16日。同じ日に処刑されたわけではないんですね。
    フランス革命は、1799年11月9日のナポレオン・ボナパルトのクーデターで終わりを告げる。
    フランス革命の期間は10年ということになります。この本は、この期間に製作された版画や絵画作品を革命の中の事件や風俗などにスポットを当てて紹介しています。
    各章、解説の文章が4ページで他は絵になっています。絵には簡単な説明がついています。もうちょっと説明を入れてほしい絵がいくつかあります。149頁の第4図、173頁の第6図、等です。
    マリー・アントワネットにかかわるところは、第6章の「王の処刑」です。

    【目次】
    はじめに
    1 不安と笑い
    2 記録への情熱
    3 「それは革命です」―バスチーユの占拠
    4 フリジア帽とサン=キュロット
    5 革命の自己表現
    6 王の処刑
    7 シンボルの闘い―自由・平等・友愛
    8 時間と空間の革新
    9 ギロチンの日々
    10 革命と女性
    11 革命の終焉
    12 イメージの政治学―エピローグ
    あとがき
    所蔵一覧・付図・年表

    ●フリジア帽(64頁)
    先端の垂れた赤い円錐形の帽子は、自由を意味する象徴となった。
    ●王の処刑(106頁)
    王は暴君として裁かれたのではなく、外国との密通、つまり祖国への裏切りによって有罪になった。
    ●理念(127頁)
    フランス革命の空間にはさまざまな理念が満ちていた。それら自由、平等、友愛、理性、法、正義、自然等々、はいずれも擬人化されてイメージになった。
    ●共和歴(147頁)
    各月はまったく均等に30日とし、12月の後にどの月にも属さないいくつかの日をつけて調整する。各月は等しく10日ごとに区切られる。一日は10時間、一時間は100分、1分は100秒とされる。
    ●サン=キュロット(230頁)
    革命にしぶといエネルギーとときには暴力も供給してきたサン=キュロットとは、建築や家具を作ったり、衣服を作ったりする職人か、小経営者であった。要するに貧窮した人々であった。さらに農民がいた。

    ☆関連図書(既読)
    「ロベスピエールとフランス革命」J.M.トムソン著・樋口謹一訳、、岩波新書、1955.07.20
    「世界の歴史(10) フランス革命とナポレオン」桑原武夫著、中公文庫、1975.03.10
    「フランス革命200年」河野健二著、日本放送出版協会、1989.04.01
    「フランス革命と数学者たち」田村三郎著、ブルーバックス、1989.04.01
    「図説・フランス革命」芝生瑞和著、河出書房新社、1989.06.22
    「ナポレオン発掘記」F.コクロー著・酒井傳六訳、法政大学出版局、1982.09.10
    「彼も人の子ナポレオン」城山三郎著、講談社文庫、1999.03.15
    「アラマタ図像館5 エジプト」荒俣宏著、小学館文庫、1999.11.01
    (2017年2月10日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    フランス革命には膨大な絵画が残されている。国王や王妃らの権力者を風刺した漫画から、民衆のエネルギーをダイナミックに描いた作品まで、革命のさまざまな側面が大胆に描かれ、当時の社会や思想状況について新しい視点を提供してくれる。革命の勃発からナポレオンの登場まで、絵画の中から歴史をたどり、革命の意味をあらためて問う。

  • 読了

  • 2013年7冊目

  • フランス革命を図解した本ではなく、革命期に出回った新聞漫画や記録絵画などから、当時の人々の革命のイメージを探る……という一冊。眺めているだけで当時の王や女王の人望、イメージが伺えて面白い。

  • もっと大きな紙面で観たかったし、カラーのものはカラーで見たかった。

    フランス革命に関する絵画には「目」が象徴的に使用されている。
    有名な人権宣言にもモチロン描かれている。
    これは革命派の党員達にフリーメイソンの会員が多かったから、
    と言う説があるが、これについては全く言及していないのがちょっと不満。
    賛否はともかく、有名な説であるのは確かなので多少なりとも触れてほしかった。

    革命中のカリカルチュアにプロパガンダの要素が加わり始めたのは意外と遅かった、
    と言うのがわかって良かったです。

  • 絵(戯画)も良かったが年表が政治面と社会・文化面に分けて書かれてあったので、乱雑な知識が詰まった頭を整理することができた。
    1791年憲法のしくみの図も分かりやすい。

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著者プロフィール

1928〜2011年。哲学者。旧制第三高等学校を経て、東京大学文学部美学科を卒業。千葉大学教授、神戸芸術工科大学客員教授などを歴任。1960年代半ばから、建築・写真・現代美術を対象とする先鋭的な批評活動を開始。1968年、中平卓馬らと写真表現を焦点とした「思想のための挑発的資料」である雑誌『プロヴォーク』を創刊。翌年第3号で廃刊するも、その実験的試みの軌跡を編著『まずたしからしさの世界を捨てろ』(田畑書店、1970)にまとめる。思考と表現の目まぐるしい変貌の経験をみずから相対化し、写真・建築・空間・家具・書物・映像を包括的に論じた評論集『ことばのない思考』(田畑書店、1972)によって批評家としての第一歩をしるす。現象学と記号論を駆使して人間の生と居住空間の複雑なかかわりを考察した『生きられた家』(田畑書店、1976/岩波現代文庫、2001/青土社、2019)が最初の主著となった。この本は多木の日常経験の深まりに応じて、二度の重要な改訂が後に行われている。視線という概念を立てて芸術や文化を読み解く歴史哲学的作業を『眼の隠喩』(青土社、1982/ちくま学芸文庫、2008)にて本格的に開始。この思考の系列は、身体論や政治美学的考察と相俟って『欲望の修辞学』(1987)、『もし世界の声が聴こえたら』(2002)、『死の鏡』(2004)、『進歩とカタストロフィ』(2005、以上青土社)、『「もの」の詩学』、『神話なき世界の芸術家』(1994)、『シジフォスの笑い』(1997、以上岩波書店)などの著作に結晶した。日本や西欧の近代精神史を図像学的な方法で鮮かに分析した『天皇の肖像』(岩波新書、1988)やキャプテン・クック三部作『船がゆく』、『船とともに』、『最後の航海』(新書館、1998〜2003)などもある。1990年代半ば以降は、新書という形で諸事象の哲学的意味を論じた『ヌード写真』、『都市の政治学』、『戦争論』、『肖像写真』(以上岩波新書)、『スポーツを考える』(ちくま新書)などを次々と著した。生前最後の著作は、敬愛する4人の現代芸術家を論じた小著『表象の多面体』(青土社、2009)。没後出版として『トリノ 夢とカタストロフィーの彼方へ』(BEARLIN、2012)、『視線とテクスト』(青土社、2013)、『映像の歴史哲学』(みすず書房、2013)がある。2020年に初の建築写真集『建築のことばを探す 多木浩二の建築写真』を刊行した。

「2021年 『未来派 百年後を羨望した芸術家たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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