暮らしの中の太平洋戦争: 欲シガリマセン勝ツマデハ (岩波新書 新赤版 78)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300786

作品紹介・あらすじ

ガソリンを使わない「木炭自動車」とは?「衣料切符」の役割は?「千人針」の一時停止命令の裏に、何があったのか?珍らしいビラや貴重な極秘文書をふんだんに紹介しながら、「昭和」の終焉とともに忘れられようとしている戦争下の庶民の生活を描き出す。-1枚のチラシが、忌まわしい日々の悲惨と滑稽を何を雄弁に語ることか。

感想・レビュー・書評

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  • 児童文学者が、アジア・太平洋戦争時に発行された新聞・雑誌・ビラ等から、庶民生活の実情を描出したもの。当時の指導者・軍人に対する、戦中派庶民たる著者の怒りが言外から伝わってくる。戦中の衣食の状況、燃料事情、国債購入や郵便貯金の奨励による戦費調達の実情がよくわかるが、かかる生活の足元を見れば、特に日米戦争をいかなる目算で遂行しようとしたのか、見通しの暗さに暗然とする思いである。なお、闇米価格が配給価格の約30倍もあり、当時の小作農の中には多額の現金を得られた者もいたと推認させる事情が見つかったのは収穫だ。

  • 20131103

  • 著者が長年かけて収集した戦前・戦中の民間文書や資料を時系列的に並べ、当時の世相や戦争の情況と対比させながら解説したもので、面白く読める本である。非常に貴重な資料の紹介もあり興味深いのだが、「こういうものがあります。そのときはこんな時代でした」という単なる説明のみで、深い考察がなされていないのは残念である。また、資料解説に対して著者のイデオロギーが反映されすぎていて、冷静な観点を失っているため、読むに耐えない部分もあった。
    かなりのコレクションを保存しているようなので、もう少し中立的な視点を保持しつつ、再びもっと多くの資料紹介を載せて出版されれば有益だと思う。
    もちろん、歴史を「物語る」資料を中心に太平洋戦争を描いた、という点では貴重な書籍であるし、こうした普段は見る事のできない戦時文書の写真も収録したのはありがたいことだと思う。

  • これを読むと、戦後の日本の変わり方の理由が少しわかる気がする。<br>
    <br>
    -2006年07月13日読了

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著者プロフィール

1931年北海道小樽市生まれ。児童読み物・ノンフィクション作家。戦時下を描いたノンフィクションに『ボクラ少国民』シリーズ(辺境社)、『少国民の名のもとに』(小学館)、『アジア・太平洋戦争史』(岩波書店)、『戦時児童文学論』『靖国の子』(大月書店)などがある。

「2019年 『山中恒と読む 修身教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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