豊かさとは何か (岩波新書 新赤版85 新赤版 85)

  • 岩波書店 (1989年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004300854

みんなの感想まとめ

教育や医療、そして人としての生き方や暮らし方について、日本とドイツの違いを深く考察する内容が展開されています。1989年に書かれた本書は、当時の日本の経済的豊かさが今後どうなるのか、またその影響がどの...

感想・レビュー・書評

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  • 「豊かさとは何か」というタイトルでありながら、筆者の思う「豊かさ」をさまざまな文献を引きながら補強していく内容。
    1989年に刊行しているので、バブル絶頂期に書かれたと思えば納得。なにかおかしい。その"なにか"を解像度高く書ききった一冊。参照文献も豊富で読み応えあり。

    ただ
    描かれる日本の姿が、不幸な面だけを切り取ったステレオタイプ(日本は学歴社会だとか、日本人は同調圧力で残業を断りにくいとか、真面目で働き屋さんとか)すぎて、よく言われる、根拠なき国民性によるものが多く違和感。
    主張が一方的過ぎて、感情的で、正直冷める。
    途中の章で、経済の指標で豊かになる構造についても触れてほしかった。あとから批判して崩しても良いから、多面的な話をしてほしかった。

    ーー
    第1章 今の日本は豊かじゃない!主張
    第2章 西ドイツはこんなに素晴らしい
    第3章 豊かさの指標の前例研究紹介
    第4章以降
    ゆとりがない。働き方が悪い。政策が悪い。など、具体的な項目で「日本が豊かではない」ことの説明。
    第6章 まとめ
    「豊かな社会の実現は、モノの方から決められるのでなく、人間の方から決められなければならない」
    「それぞれが、自分自身の豊かな人生の実現とは、どんな生き方なのかを、理論的にだけでなく身体的にも知らなければならない。」
    云々
    ーー

    わたしは、戦争を経てバブルの時代、明らかに日本人は豊かになったはずだと思う。それに、わたしは現代に生きていてバブル世代の豊かさが羨ましいとさえ思う。
    確かに苦しくて寝る間もなかったかもしれないが、そのシャカリキな時代が「豊かでなかった」と言い切るのは、不自然である。豊かさとは、なにか。

  • 随分と昔の内容だが、現在と状況がほとんど変化していないことに驚いている。失われた時間は戻らないが、豊かさとはいったい何かは、今では人によって違うのではないだろうか。

  • 教育、医療、人としての生き方、暮らし方が、日本とドイツでは大きく異なることが分かる。やはり政治の力が大きいのだと感じる。

  • 現在勉強中の資格試験の模試の文章理解問題に使用されていて、全文を読みたいと図書館で借りて読みました。

    1989年に書かれたものですが、提起されている問題は、改善されたと思われるものもあれば、相変わらず(もしくは悪くなっている)ものもあり、考えさせられました。

    当時は経済的(数字上)には豊かだった日本、このままでは経済的にも精神的にも豊かさのない国になってしまうのではないか、そんな気がしてなりません。

  • カネとモノが至高とされる生活は果たして豊かさを享受できるのか。高度経済成長に邁進した先進国の人びとは周囲に忖度して己の意見を押し留めてしまい大切なものを犠牲にしてしまったのではないか。それに気づく人はまだいい。気づかない人はそれが正しいマジョリティだと盲信するのはカルトにほど近い。そこに安住はあるのか、その先には疲弊した福祉や教育となればまさに現在の日本だと筆者暉峻淑子は警鐘を鳴らす。現代に流布する言葉・コモンという共同富を使った自治論を展開する斎藤幸平はその流れを継承している。なるほど線は繋がる。そして私たちは本当に今、声を上げるべきだと感じる。

  • 古本屋で出会った書籍のためおよそ30年前のデータや価値観で書かれたものですが、それでも現在の社会に対しても通ずる内容と感じます。
    ・当時のお金や物質的な豊かさばかりに囚われそれ以外の豊かさを国民が享受できる状況にないこと
    ・「健康で文化的な最低限度の生活」をうたいながら実際には生きるギリギリでしか支援が受けられないこと
    ・その他仕事や生活があまりにも豊かさを感じられないほどに厳しくなっていること
    ・これらに対する批判や提案とヨーロッパ(特にドイツ)での取り組みやそれによる生活の様子
    これらがとても印象的に感じました。カネやモノでしか評価されない豊かさについて考え、人生や生活をどうすれば豊かで満足に生活できるかを考えるきっかけになるのではないかと思います。

  • 平成を占う30年前の指摘。
    何もしないことによる豊さの享受を受けることができない時代。
    経済大国の内情の指摘。労働時間減少の提案。格差拡大。指摘された結果そのままに。
    当時の西ドイツでの著者の体験を指摘材料に日本を問うている。
    家信仰の根強さも見える。

  • 日本は仕事きちがいだと言われる、本当にそうだろうか?日本は著しく平等な国と言われるがそれは形式的な平等なのではないか?もはや日本でもっとも貧しいのは東京、その東京を日本代表であるかのように謳うのどうなのか?さまざまな視点から「豊かさ」を見つめ直す。

  • 1 金持ちの国・日本
    2 西ドイツから日本を見る
    3 豊かなのか貧しいのか
    4 ゆとりをいけにえにした豊かさ
    5 貧しい労働の果実
    6 豊かさとは何か

    著者:暉峻淑子(1928-、大阪、経済学者)

  • 1989年に刊行された本です。経済的な豊かさを至上の価値とする日本社会が本当の「豊かさ」を置き去りにしてきたことを批判的に論じています。

    著者自身が見聞した(当時)西ドイツのすばらしいところと比較することで、この国の教育、労働、福祉などの問題点が指摘されています。現在のヨーロッパは金融不安と移民問題で苦しんでおり、本書で書かれているような理想的な国家ではないのでしょうが、本書で指摘されているわが国の問題は改善されるどころか、ますます深刻になっているようにも思います。

  • 発刊年はやや古いが名著である。日本や日本人を相対的に捉えており、普段の自分自身の中にある根底の考えを見直すきっかけにもなる。

  • 30年前も今も変わらない話題。
    豊かさってなんなんだろうなぁ。

  • 10年以上前に読んだが,山崎亮氏が影響を受けた本ということを知り再読した。
    1989年にこのような内容をつづっていることに驚く。
    消費社会に没入している僕らの進むべき方向を示唆しているように感じた。

  • エーリッヒ・フロムが『生きるということ』のなかで説いた、人間の価値様式、「持つ様式」と「在る様式」を日本という社会にプロットして論じた名著といえる。人間にとっての本当の豊かさについて教えてくれる。

    がんばって働いても報われない、ひとりひとりのがんばり(特に過労死や自殺で死んだりすることもある)で支えられている経済至上主義と哀れとまで言える社会資本の貧しさのなかにこの国は存在している。

    余暇活動の価値も到底認められないから、有給取得率だって上がらない。これでは日々の暮らしのなかで、文化的価値を見出し、友人や家族など、人と人とのかかわりあいを通じて、自己実現を果たしていくなんて到底夢のような話。生涯学習論の中ではずっとこの話はしてきたのに。

    バブルのころよりはショボくなったんだろうけど、経済分野、土地への投機は相も変わらずこの国が大好きなこと。国の政策だって企業の設備投資を促すだの、結局は上から下へと流れていくもの(そして下には流れてこない)。社会資本整備、特に福祉への投資なんて政治家はいつもリップサービス程度。保育士や福祉職の待遇なんてどんな時も上がらない。

    こんな日本が本当に豊かな社会なのか?と考える前に、すべてを読み終え唖然としたこと。本書が刊行されたのは、今から30年近くも前のことなのに・・・

    結局のところ、今も昔も何も変わっていない。この国には進歩も本当の豊かさもあったもんじゃないのかと。

  • この本はすごく良かった。studio-Lの山崎さんがオススメしていて興味を持って手にとって、まさに暮らしの豊かさについて考えさせられました。本当によく考えられている。お金を稼ぐために、ではなくて、「より豊かに生きる」ということを何十年、何百年と考え続けてきたエッセンスが詰まった一冊だと思いました。日本にも、このまちにもまだまだできることがあるなぁと考えさせられた一冊でもありました。

  • 2019.2021 明治学院大学 社会学部 社会福祉学科 B日程 

  • 2019.2021 明治学院大学 社会学部 社会福祉学科 B日程 

  • 経済、社会文化、医療福祉、建築、あらゆる分野に基づいた包括的視点で豊かさについて検討することができて面白かった。違う言い方をすると、あらゆる分野の知見に基づいて考察を重ね続けないと真の豊かさに到達できないのかなとも思う。個人的には住環境と豊かさの関係性を知ることができて興味深かった!

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/85/K

  • 30年以上前の本ですが、まだまだ現在でも考えさせられるものがたくさんありました。ほんとの豊かさとは何かはやはりよく考えなければならないですね。斎藤幸平さんの人新世の資本論に通ずるものを感じました。経済学者が書いたところがまたいいですね。

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