ODA 援助の現実 (岩波新書 新赤版 97)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300977

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  • ▼資源小国の日本が生き残るには、国際社会に対してアピールを続け、必要だと認識される道を行くしかない。ODA[政府開発援助]は、そのアピールのうちの選択肢の一つである。
    ▼有償にせよ、無償にせよ、現在の日本が目指すはWin-Winの関係を築く援助だろう。その点、相手が求めているもの(こと)を実現するにあたって、日本にとっても利益があるならそれに越したことはない。
    ▼本書が書かれた当時の「持続的でない開発」への投資は、素直に反省されるべきである(その後、日本はODA大綱を改めODA4原則を掲げている)。しかし、相手のニーズを汲(く)んだ援助というコンセプトは――一理あるのは認めるが――その「相手」を誰に定めるかにより、玉虫色に輝いてしまう危険性も孕(はら)んでいる。
    ▼もっとも、そもそも「彼ら」は開発という援助を求めているのだろうか――通り一遍の「人権」を主張するくらいなら、そのくらい深く切り込み、新たな理論を打ち立てるような試みが為されてもいい時期に来ているのかもしれない。

  • [ 内容 ]
    いまや世界一のODA(政府開発援助)大国になろうとする日本。
    しかし、それは本当に相手国の人びとの役にたっているのだろうか。
    繰り返し疑惑が指摘される不透明なODAの構造、日本の援助により「開発」がおこなわれている発展途上国の現状、さらに自然環境や先住民の生活への影響などを明らかにし、これからのODAのあり方を考える。

    [ 目次 ]
    援助―その多面的な顔
    霞のなかのODA
    何が行われているのか
    受け入れ国側の事情
    誰のための援助か
    新しい発想、多様な試み

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    [ 参考となる書評 ]

  • 2008年05月07日 02:07記載:

    先輩に薦められて読んだ。
    有名なODA批判の本(らしい)

    発行が1989年ということで若干古いが、少なからず重要で且つ衝撃的な視点を提供してくれる。

    著者曰く、日本のODAがこれまでに先住民、少数民族の立場を不利にする役割しか果たしてこなかったという。

    知見の浅い僕にはこの主張の真偽が即座に判断できないこと、また現在はある程度問題点が改善されいてるであろうことからも、今読むと若干極端な意見を述べているような印象は受ける。
    しかしながらこういった批判的な視点というものは非常に貴重な示唆を与えてくれるだろうし、ODAの出所が税金である以上、国民に対してダークな部分の説明責任を果たしていくことも不可欠であると思う。
    そういった観点に気付かせてくれるという意味で興味深い本。

  • ODAの負の歴史を書いた本。
    読んでいると,怒りが湧いてくる本です。メラメラしてきます。
    現に20年前ほどは,このようなことがおきていたのでしょう。
    ガイドラインの重要性を痛感します。

  • なかなか勉強になった。最近、ODAがすごい好きです(笑)
    この本を読んで初めて知ったけど、この人は意外とODA界の有名人らしい。

    全体的に、この本が書かれた当時のODAのあり方について批判的やった。

    この人の批判のポイントは・・・

    ・「借款」と「贈与」によって取り扱う機関が異なってるせいで、援助に無駄な手間がかかってる→その手間にかかった費用までもがODAとして計上されてるから、非常に無駄
    ・日本企業の利益を考慮したODA多すぎ。(例えば、商社が海外のプラントやダムを建設するのにも、ODAが使われてたり)→それ、地元民のためになってないやん
    ・ODAに関する情報が非公開過ぎる。特に、供与先が不透明な場合が多い

    こんな感じやね。
    ちなみにこれは、この本が書かれた当時の話。かなり古い本やから、今は改善されたかも。

    まだ自分のノートが出来上がってないから、もう少し自分なりにまとめてみようと思います。
    そんで、現在との照らし合わせなんかもできれば、おもしろいかと。

    読んだ感想としては、この人は何でもかんでも批判してて、意地の悪いおっさんとしか思えなかったです(笑)

  • 草野氏みたいに論理的にわかりやすく美しく書けばいいのだけど、なんだか感情的に書いている印象をうけてしまう。せっかくの主張が際立たないよう。

  • 元横浜市立大学卒業生であり、市大教授でもあった鷲見先生の著作。これも記念に購入100円。いつ読むことになるのやら。

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