教育とは何か (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004301059

感想・レビュー・書評

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  • 「いいこと」が書いてある。臨教審の時代のものらしくその批判が書きたかったのだろう。畢竟最後の2章だけあればよかった。「教育とは」を問うているのであって、教育学的見地など学問的背景はかなり希薄で、ある学者の漠然とした信条、くらいに読むのが良いと思われる。
    「教育としつけは何が違うのか」であるとかといった問題に踏み込まれていなかったのは残念で、だからこそ「ヒト」にまで言及した大きな説明が空虚に響く。

  • 1989年刊行。

     教育の役割として、文化継承の意義を強調する。ただ、もっと切実な、差し迫ったテーマがあるはずと思わざるを得ない。
     しかも、教育はもう少しプラグマティズムの視点を大切にしてほしいと思っていることから、本書のイデオロギー色の強い主張には首を傾げるところが多かった。

  • 出番をあたえる。みようみまね。しつけ。

    C0237
    蔵書
    1990に初版

  • 370

  • 教育とは何か、人間を地球上の一生物として捉えなおすことから始め、産育から学校での知育、徳育に至るまで人の成長を追う形で真摯た見つめ直す点が特徴的。

    教育者は表現者である。子供達の反応に常に注意を傾け、彼らの役割を引き出してやることで自己肯定感を生み、社会的存在として自己を認識•成長させて行く尊い存在だと描かれている。

    現実に今教員となってこうした眼差しを持って子供達と関わっている者がどれほどいるか、教育の根本を見直す良い作品だった。

  • 地球上のあらゆる生き物たちは、種の持続のための努力としての子育てをおこなっています。本書では、キタキツネの子育てなどを例に取り上げて、子どもたちが厳しい自然環境の中で生きていくための力を身に着けていく様子が語られ、人間もまた、子どもが親たちの保護から離れて、新しい世代の個体として独り立ちし、未来に向けての種の持続のための努力に参加していくことが、大きな自然に根ざした営みだということが論じられています。

    さらに、人間のばあいは他の動物たちと違って、単に生物的な意味で成熟するのではなく、社会や文化、歴史の中でみずからの役割を知り、個性を伸ばしていくことが大切だと語られています。教育者の役割は、子どもたち一人ひとりが自分の個性を十全に伸ばしていくことを可能にすることにほかなりません。そして、さまざまな個性が互いに関わり合うことによって、また新たな文化が生まれてくることになるのだと論じられています。

    理想的な教育を求める情熱は伝わってきましたが、その一方で、ずいぶん牧歌的な話だなあ、という感想も持ちました。フーコーの権力批判的な言辞を借りて言えば、教育は、子どもたちの身体を社会に適応的な鋳型に嵌めるミクロな権力の渦巻く現場だという認識も、(それが教育の現場においてどういう意義があるのかということはさておいて)一方では必要なのではないでしょうか。本書のあまりにも素朴なヒューマニズムは、教育という装置の持つ権力的な側面を覆い隠してしまう危険性があるようにも思います。

  • 教育は深い。

  • 「人は変わることはできるが、変えることはできない」といった教育の思想的な話しがあってとても面白い話であった。
    単に教育の個別の問題ではなく、そもそも教育ってなんなのかじっくり考えたい人にはお勧めだと思う。

  • 教育とは「選ぶ力」と「結ぶ力」を引き出すのを助けるものだ、という主張に納得。前半、生物学的な見地から人が人であることとそこに関る教育の意味、みたいなことが書かれていて「いつまでこんな話が続くんだろう」と思っていたが、それらも「選ぶ力」と「結ぶ力」が必要な前提として、人間は「自己選択的」=”選びながらユニークに自分を創り出す”かつ「社会的」=”実に複雑・多様な仕方でちがいをこえてつながりをつくって生きる”点が他の生物と異なる点だということが言いたかったんだと後から理解した。
    この本は”ゆとり教育”に移行する前に書かれていた本だが、”詰め込み教育”から”ゆとり教育”へのシフトがこのような本質的な議論が反映された制度設計になっていれば、もっと違ったんだろうな、と思わせる。
    「教師とは一人ひとり音色の違う子供たちとともに謙虚な姿勢で真理・真実を探究していく大交響曲楽団の指揮者だ」という表現はとても崇高な理想で共感する一方、そんな難易度の高い職業ってどれほどの人が務まるだろうか?と現実とのギャップにとまどってしまう。

  • 【2010年5冊目】

    教育の意味を「生き物としてのヒト」という根本から考えていた.
    種の存続のための子育て,ヒトの子育てとは何か,ヒトの特性としての文化,それを「わかち,つたえ」るための教育...という風に,論理は進展していきます.終盤は,学校教育改革に対する現実的な話にもなって,人権の話で終わる.少なからず「教育」について勉強している身としては,読んでよかった.しかし,すごく意味のある内容だと思いつつも,現実の問題とどのようにつなげて考えたらいいのかわからなくなった.この本で言っていることと,現実の間には何層にも何かがある気がして,それが何かわからないので活かせない気がする歯がゆさ・・・.

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著者プロフィール

●大田堯(おおた・たかし)
1918年広島県生まれ。教育研究者(教育史・教育哲学)。東京帝国大学文学部卒業。東京大学教育学部学部長、日本子どもを守る会会長、教育科学研究会委員長、日本教育学会会長、都留文科大学学長、世界教育学会(WAAER)理事などを歴任。現在、東京大学名誉教授、都留文科大学名誉教授、日本子どもを守る会名誉会長、北京大学客座教授。
単著に『教育の探求』(東京大学出版会)、『教育とは何か』『教育とは何かを問い続けて』(岩波新書)、『地域の中で教育を問う』(新評論)他多数。2013年から自身の仕事の集大成として、『大田堯自撰集成』(全4巻、藤原書店)を刊行し、翌年春完結。
2011年には、その思索と行動の軌跡を追った映画「かすかな光へ」(監督・森康行)が完成、2015年5月現在全国500カ所以上で自主上映が展開中。

「2016年 『ひとなる ちがう/かかわる/かわる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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